第46話 最終決戦8 戦神は全能神の必殺技の前に絶体絶命のピンチに立ち、天界では子供達が立ち上がりました。

「ふんっ。マルスの軍も弱いの。こちらも片をつけるか」

シャラザールの相手をしながら片手間に戦線を俯瞰していたゼウスは嘆いた。

ゼウスはシャラザールを相手に優位に戦いを進めていた。シャラザールはゼウスから致命傷は受けていないが、度々ダメージを受けていた。徐々にゼウスに追い詰められていた。

「シャラザールよ。そろそろ勝負をつけるぞ」

ゼウスは、戦いを終わらせることを決意した。シャラザールに対して攻撃力を上げて雷撃を打つ。

シャラザールはそれを避けた。その一瞬のすきに乗じてゼウスが、一気にシャラザールに接近する。


「もらった」

そして、近場から渾身の力を込めた雷撃をシャラザールに浴びせた。

しかし、それはシャラザールの草薙の剣によって弾き飛ばされた。


「何」

勝負あったと思ったのに弾き返されてゼウスは驚いた。


「そろそろ剣も馴染んできた頃じゃ。ゼウスよ。余もそろそろ本気を出すぞ」

「何じゃと」

剣を構えると、シャラザールは一気に間合いを詰める。

そして、一刀両断しようと剣を振り下ろした。

ゼウスはそれを雷霆で受けた。

そのまま雷撃をシャラザールに見舞う。

しかし、シャラザールはびくともしなかった。

「何じゃと」

ゼウスは驚愕する。


「ふんっ。喰らえ」

シャラザールは叫ぶとともに爆裂魔術をゼウスに叩きつけた。

ゼウスが弾き飛ばされた。



「やったーーーー」

子供達が飛上った。

「いけぇぇぇシャラザール」

「行け行けシャラザール」

大歓声が起こる。


「だまりなさい。」

「静まれ」

役人達が叫んで抑えようとするが、


「いーーけ、いーーーけ、シャラザーーーール」

一人の高校生くらいの少年が叫んだ。

「行け!行け!シャラザール!」

その後に子供達の大合唱が響いた。

「いーーけ、いーーーけ、シャラザーーーール」

「行け!行け!シャラザール!」

その声がどんどん大きくなってくる。

「イケイケシャラザール。悪のゼウスをやっつけろ」

「行け!行け!シャラザール!悪いゼウスをやっつけろ」

大広場はもう役人達の手に負えなくなってきていた。

子供達は流行っているシャラザールの応援歌の替え歌まで歌い始めた。



 


「おのれ、シャラザールめ。油断しておったわ」

ゼウスは瓦礫を取り除きながら立ち上がった。ゼウスは久しぶりに切れていた。


「貴様もこれまでじゃ」

そう言うやゼウスは手に持った雷霆をシャラザールに向けて投げつけた。

ゼウスの必殺技だ。それはシャラザールの手前で雷となり、周囲を一瞬で凄まじい雷の塊に変えて、シャラザールに襲いかかった。シャラザールは一瞬で雷に包まれてしまった。凄まじい光の乱舞の中に閉じ込められる。



「きゃあああ」

「シャラザール様」

「シャラザールが」

画面を見ていた子供達が悲鳴を上げた。


「ふんっ見たか。ゼウス様は絶対なのじゃ」

「所詮男女などこれで終わりじゃ」

役人達はほっとして立ち上った。


「兵士達よ。シャラザールに味方した者たちを不敬罪で全員捕まえよ」

役人が命じる。

観客たちは動揺した。

「そんな、この子達は関係ない」

「許して下さい」

「子供達は関係ないだろう」

大人たちを無視して、役人が更に命じようとしていた。



そこに一人の子供が我慢できなくなって立ち上がった。


「待て、愚か者共、余は戦神シャラザールじゃ」

両手を腰に当てて叫んでいた。

皆目が点になって子供を見ていた。


「違うぞ、こうやるんだよ」

別の男の子が立ち上がる。


「そこのおべっか使いの無能者共よ。余がその方らに負けるわけ無かろう」


「違うだろ。そこの邪神ゼウスの腰巾着共、余も我慢の限界じゃ。貴様らから先に成敗してくれるわ」

もっと大きい高校生くらいの少年が立ち上がった。


「はあああ」

「あなた達馬鹿なの。じっとしていたら見逃してあげようと思ったけど、警備兵、そこにいる生意気な奴らを皆、捕まえておしまい」

役人が命じた。



バコっ

その女に石が当たった。

「痛い、何すんのよ」

ぱこっ

と次の石が頭に当たった。

「ギャアアア」

女は倒れ込んだ。



「皆、今こそ、悪の腰巾着をやっつけるんだ」

男の子が叫んだ。


子供達を中心に全員一斉に役人らに襲いかかった。

役人達は一瞬で子供達に制圧されてしまった。

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