第45話 最終決戦7 北の帝国最精鋭師団は窮地に立ちました
その頃、大軍の戦いは変化が起きつつあった。
中央の戦いはノルディンの第2師団を中心に相変わらず、攻勢だった。
マーマレードの第一魔導師団の3分の1と北方師団の半数を中心に守るのに徹していた。
左翼は中央師団の援軍を中心に敵第八師団と互角の戦いを展開していた。
しかし、右翼の戦いはザンらが敵の魔導師の一掃に成功していた。
こちらは援軍に来た第五師団が劣勢に立たされていた。
「よし、頃合いだ。全軍総攻撃だ」
エドウィンが命じていた。
北方師団の半数と第一魔導師団の強力火炎魔道士部隊が攻撃を開始する。
ザンらが火炎魔術を敵師団中央部に炸裂させる。
凄まじい爆発で師団は大混乱に陥った。
指揮系統が混乱する。
魔導師がやられたのでもう魔術から守ってくれる魔導師はいなかった。
次々に兵士達が魔導師に攻撃されてやられていく。
「やばいぞ」
「このままだとやられる」
「逃げろ」
兵士達は思わず浮足立った。
「突撃」
北方師団は隠れていた堰堤から体を飛び出して抜剣、突撃に移った。
激突は一瞬で一瞬にして援軍に来ていた第5師団はは潰走に移っていた。
「よし、これを気に中央部に攻撃を移す。敵第2師団の伸びた横っ腹を突くんだ」
エドウィンが叫んでいた。
ザンらは善戦していた中央部の第二師団に向けて火炎魔術を炸裂させる。
横にいた第五師団が敗走したので、第2師団の横っ腹ががら空きになった。
そこへ爆裂魔術の集中砲火を浴びたのだ。
第2師団は伸び切っていた側面を攻撃されて混乱した。
なんとか立て直そうとするが、そこに集中攻撃を受ける。
「ええい、何をしておる。魔導第三中隊は敵右翼からの攻撃を防御せよ。
我が軍が負けるわけにはいかんぞ。ゼウス様はシャラザールを圧倒しているんだ。
なんとしても持ちこたえろ」
マラートらの奮戦で何とか敗走を止めて反撃する。
「よし、今こそこちらも攻撃するぞ。全軍今までの鬱憤を晴らせ」
物陰から攻撃していたザクセンらは飛び出して中央部に攻撃を仕掛けた。
横からの攻撃を受けた第2師団が慌てて戦線をまとめている前面に総攻撃を仕掛けられたのだ。
「おのれマーマレードの奴らめ」
「げっ前からも大軍が来るぞ」
第二師団も前線のあちこちで兵士達がやられ、浮足立った。
「ええい、しっかりせよ。マクシム様がこれを見られたらどうなさる。何としても前線を持ちこたえさせろ」
副官のマラートが叫んでいた。
「第4魔導中隊は前面の援護に向かえ」
「第5魔導中隊は側面の援護に向かえ」
予備の部隊を次々に本陣から出してなんとか持ちこたえようとしていた。
普段ならばここにマクシムが現れて攻撃に移ってくれれば十分に勝てるはずだった。
彼らはマクシムらがアレクに攻撃を受けているとはよもや思ってもいなかった。
そして、一番大きなネックは昨日シャラザールに半数の兵士達がやられていた事だった。
兵士の絶対数が、特に魔導師の数が足りていなかった。
ノルデイン軍は窮地に立った。
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