第44話 最終決戦6 赤い死神と暴風王女は残虐王子と淫乱女神を攻撃しました
「マクシム。どうしたの?その傷は」
マクシムのテントに現れたアフロディアは左手に包帯を巻いたマクシムを見ていった。
「ふんっ。男女にやられたのだ」
不機嫌そうにマクシムは言った。
「まあ、みっともない。あんな男女にやられて恥ずかしいと思わないの?」
「ちょっと油断したのだ」
マクシムは言い訳する。
「その怒りをアレクにぶつけるのは良くないのではなくて」
アフロディアが言う。アフロディアは決して息子を毛嫌いしているわけではないのだ。
「ふんっあやつは儂の血を受け継いでいるにも関わらず、シャラザールに投降せよと意見したのだぞ。そのような事が許されるわけあるまい」
マクシムは言う。
「それはそうだけど戦って負けたあなたと戦わずに逃げたアレクでは変わらないのではなくて」
「ふんっ。ゼウスが来たので、早速ゼウスに媚を売り出したのか」
「だってお父様は少なくともシャラザールに勝てそうですもの。あなたとは違うわ」
「ほう、そう言って儂を見捨てるのか」
マクシムはアフロディアを抱き寄せた。
「いやあね。まだ見捨てると決めたわけではないわ」
「そうだな。貴様はアレクの想い人が犯されて泣き叫ぶのを見て笑っていたのだからな」
「いやあね。犯したのはあなたでしょ。嫌がる息子の恋人を強引に犯して、皆で犯したんじゃない。泣き叫ぶのが面白いからという理由で」
二人は笑いあった。
そして、その瞬間テントが炎で一瞬にして吹き飛んでいた。
そこには怒りのあまり真っ赤になったアレクがいた。
「アレクどうしたの?」
驚いてアフロディアが聞いた。
「母上。今の言葉聞きました。イネッサを殺したのは兄上と母上だと」
アレクが冷たく言い切った。
「イネッサって誰」
「犯されるのを見てお前が笑っていた女だよ」
「ああ、あの、あなたの名前を犯されながら泣き叫んでいた少女ね」
その瞬間火炎魔術が発動しアフロディアを包んでいた。
「ギャアアア」
アフロディアは火達磨になって倒れ込む。
転がりまわって火を消した。
黒焦げになってアフロディアは立ち上った。
「な、何をするのアレク。あなた、実の母に。あなたの為を思ってしたんじゃない。あんな、辺境の地の小娘なんてあなたに必要ないわ。ギャアアア」
アフロディアは再び火達磨になる。
「そんな理由でイネッサをおもちゃにして殺したんですか」
「な、あなた、いつまでやるの。私も許しませんよ」
「そうだ。アレク。貴様は我らのあとを継ぐのだ。あんな小娘に現を抜かしているのでは無い」
次の瞬間マクシムに火炎魔術を放つが、マクシムは転移して躱す。
「ほう、貴様私とやるというのか」
マクシムが面白がって言った。
「ふんっ。地獄に送ってやるよ」
アレクはそう言うと爆裂魔術をマクシムに放っていた。
マクシムはそれを避ける。
しかし、そこには剣を抜いたアレクが斬りかかっていた。
マクシムも剣を抜いて受ける。
アレクは剣を引くや斬りつける。
マクシムは受ける。
飛び退るや再度斬りかかる。
マクシムは受けた。そして、斬り返す。
アレクが受けて再度斬りかかる。
マクシムは受けた。
その後ろからジャンヌが爆裂魔術を放った。
マクシムは障壁を張る暇もなく、背中にもろに受ける。
爆発する。
マクシムは弾け飛んでいた。
ジャンヌも怒りに満ちていた。
ジャンヌは再度攻撃しようとしたが、アフロディアが衝撃波を放って攻撃してきた。
とっさにジャンヌは避ける。
「あなた、アレクの何なの、新しい女?」
アフロディアが言う。
「んなわけ無いだろうが、自分と一緒にするな淫乱ババア。」
ジャンヌが爆裂魔術をアフロディアに向けて放つ。
「何ですって」
それを障壁で防いで爆裂魔術をジャンヌに放つ。
ジャンヌはそれを避けた。
「貴様だろ。皇帝の妾のくせに、その息子や将軍共にまで媚を売って寝ているっていう淫乱ババアは」
「貴様良くも、美の化身のわらわに向かってその口を利くとは。貴様は男女の部下か」
「何が美の化身だ。真っ黒になって炭の化身の間近いだろうが。貴様の心と同じでまっ黒焦げだぞ」
「おのれもう許さん」
切れたアフロデイア次々に爆裂魔術を放つ。ジャンヌは転移して次々に躱した。
一方マクシムはアレクに切りつけられたが、何とか剣もろとも弾き飛ばす。
二人はまた、斬り合いを始めた。
そして、その様子がカメラにはっきりと捉えられて天界に放送されていた。
「ねえ、ママ、犯すってなあに」
女の子が尋ねた。
「しぃぃぃ。何でも無いのよ」
母親は切れていた。小さな子供がいる前で何という事を話題に出すのだ。
それもあの姿はゼウスの息子の戦神マルスと娘の美の女神アフロディーテだ。
地界へシャラザールに叩き落されてからも相も変わらず、ゲスな事をしているらしい。
「皆さん、すいません。カメラが変なものを捉えて」
「ママ、あの男の人と黒焦げにされた女の人が悪い人だよね」
少女が言い切った。
「お嬢ちゃん、なんてことを」
役人の娘が慌てて飛んできた。
「あなた。か弱い娘がいる前でなんて物画面に出すの」
母親が切れていた。
「いやあ、すいません。カメラの調子が悪くって」
役人も流石に謝る。
「彼奴等悪いやつだよ。男の川上にも置けない奴らだ」
しかし、子供達の口は止まらなかつた。男の子も言い切った。
「いゃ、その」
役人もなんとも返せなかった。
「あの悪い奴の仲間がゼウスならゼウスも悪いやつでしょ」
女の子が言う。
「お嬢ちゃん。全能神に対してそんなこと言っては駄目よ」
「だって、シャラザールは正義の味方なんだよ。シャラザールが戦うのは悪役代官って決まっているんだから」
「すいません。黙っていてもらえませんか」
役人が猫なで声で頼む。
「えええ!、あなたも悪い人なの」
少女の声に切れそうになりながら何とか丸く収めようと役人は必死だった。
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