第43話 最終決戦5 両軍互角の戦いでした

軍同士の戦いは互角だった。

マーマレードの魔導師団は人数は100人強だったが、その力は強力だった。

兵士の数は3万対1万だったが、魔導師の数は変わらず、マーマレード軍は今までの鬱憤を晴らすように戦っていた。ノルディン軍は追撃戦で多くの魔導師を倒されたのが響いていた。


「死ねえええ」

ザンは火炎魔法を右端の魔導師に浴びせる。

魔導師は弾け飛んでいた。

これで5人目の魔導師だ。

右翼に回された魔導師は30人。しかし、爆裂系の魔導師を中心に配置していたので、中々強力だった。敵についている魔導師を次々に倒していく。


中央部はザクセンが指揮を取っていた。しかし、第2師団を中心にした敵は中々強力だった。

往々にしてザクセンは押されていたが、なんとか戦線を維持していた。


左翼はアレクの第8師団が中心だったが、指揮官らが囚われていたので仕方無しに戦っているのが現状で辛うじて互角の戦いをしていた。



そしてその上空ではシャラザールとゼウスが戦っていた。

ゼウスが雷撃を次々に放つ。

その雷撃をシャラザールは草薙剣で次々に受けていた。

しかし、たまに、受けるのに失敗する。

シャラザール本人に雷撃が直撃する。

ジャンヌは地上に叩きつけられた。


「何じゃ。威勢のよい言葉を放っていたのに、もう終わりか」

ゼウスが言う。

「ふんっまだまだだ」

シャラザールが起き上がるや爆裂魔術を放つ。

ゼウスは障壁で受けた。

そして、また雷撃を放つ。

草薙の剣で受ける者ラザール。

火炎魔術を放つシャラザール。



一方、天界ではその様子をゼウスの取り巻きが喜んでいた。

シャラザールに雷撃が命中する度に

「いけ。ゼウス様」

「そこです」

「惜しい。もう少し」


子供達はそれを見て歯をぎっと食いしばって見ていた。

「兄ちゃん。シャラザールは負けるの?」

妹が小さい声で訊ねる。

「馬鹿言うんじゃない。そんな訳無いだろう。正義の味方は最初はやられるんだ。今回みたいに。でもな、良く見ていろよ。俺達が応援してたら必ず、最後に勝つんだから」

兄も歯を食いしばって見ていた。




左翼の上空ではポセイドンとジャルカが見つめ合っていた。


「その方が賢神ジャルカか」

ポセイドンが聞く。

「違いますぞ。ポセイドン様。私はしがい無い人間の魔術師でございます。天界にその人ありと謳われたポセイドン様のお姿をお見かけしてこうして震えております」

「ふんっよく言うわ。シャラザールを封印したと見せかけて、こうして出してくるとは、元々、こうなるように貴様が仕組んだことよな」

「そのような。全能神様やポセイドン様のお言葉に逆らえるわけございません。シャラザール様のお力が強かっただけで。今回もシャラザール様に脅されてここに立っているだけでございます」

ジャルカが愛想笑いをした。

「ふんっどうかな。余がその方の言う通りなのか見てしんぜよう」

というや槍を構えた。

「ヒェぇぇ。お許し下さい」

ジャルカが平伏する。

「ふんっ、なんとも面白くないの」

ポセイドンはそう言うと宝槍トライデントを構えた。

風を起こすやジャルカ目掛けてはなった。

そよ風が吹く。

「あれえええ」

ジャルカが弾き飛ばされた。


ジャンヌやザクセン、シャラザールが見たらふざけるなと、切れていたことだろう。

「ふざけるな!」

「こんなのでやられるわけ無かろう!」

「何を遊んでいる!」

彼らは絶対にそう叫んだはずだ。

しかし、皆、今は自分の事に精一杯で誰もジャルカのことなど見ていなかった。

そして、ポセイドンは単純だった。これほど騙しやすい相手はいなかった。

心の中では絶対に馬鹿程騙しがいがあるとか思っているに違いなかった。

ジャルカはこのままシャラザールがゼウスを倒すまでやっているつもりだった。

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