第34話 ノザレ退却戦9 北の侵略国家最強の師団が攻撃を開始して北方師団は崩壊しました
一方最前線のジャンヌ達の退却戦も悲惨だった。
こちらは北方師団1万人以上が逃げており、追ってくるのはノルディン第8師団のみと兵力に関しては互角だった。しかし、ノルディンの第8師団は精鋭であり、その力は各々の兵士にしても北方師団よりも強力であった。なおかつ、彼らは奇襲に成功して北方師団の指導部を殲滅することに成功しており、勢いに乗っていた。
その中、ジャンヌ達の1班は学生にも関わらず、善戦していた。
ジャンヌは魔導師団長のザクセンやエドウィンの第二大隊と連携して、何とか被害を最小限に止めていた。
ドカーーーん
近くで爆裂魔法が炸裂する。
ジャンヌは障壁を張って遮る。
しかし、第二弾が炸裂すると障壁が消滅してジャンヌも少し弾き飛ばされた。
すかさずジョンがジャンヌの前に立ち、爆裂魔術を敵魔導師に向けて放つ。
敵の魔導師は障壁で防ぐ。
そこへ雄叫びを上げて歩兵が突撃してきた。
ジャンヌとジョンで並んで爆裂魔術を浴びせる。
敵魔導師が障壁を張っていたが、それを突き破って爆発、2個小隊を弾き飛ばす。
しかし、更に大軍が迫ってきた。
「取り敢えず、下るぞ」
ジャンヌはブレットと連携して、8人となってしまった、一班を転移して1キロ下がらせる。
8人は倒れ込んで休憩した。
15分くらいは休憩できるはずだ。
8人は既に疲労困憊していた。
戦いが始まってから、既に3時間15キロは後退したはずだった。
そろそろ限界だった。申し訳ないが皆を連れて後20キロくらい後退するしか選択肢はなかった。
しかし、ここでジャンヌらが抜けたら、マーマレードの殿の戦力は大幅に低下するだろう。
死者が増えるのは確実だった。ジャンヌはどう対処するか選択を迫られていた。
しかし、そのジャンヌ達の前に迂回して来たノルディン帝国最強師団の第2師団が現れた。
「赤い死神も苦戦しているようではないか」
マクシム第一王子が戦場を見て言った。
「いかがなさいますか」
副官のマラートが尋ねた。
「よし、横から攻撃させろ。これであの軍は軍の体をなさないだろう。そのまま一気にノザレに向かうぞ」
「はっ」
副官は魔導師達に何とか組織だって逃げるマーマレード軍を横から攻撃させた。
「隊長、横から新たな軍が出現しました」
エドウィンらにとってそれはまさしく、死刑宣告にも等しいものだった。
後ろからのアレクの部隊に対抗するのに必死だった北方師団は横から突かれて驚愕し、戦線はあっけなく崩壊した。
「よし、全軍突撃せよ」
マクシムは命じていた。
剣を抜いて歩兵達が突撃していく。
北方師団はもはや軍の形をしていなかった。
皆必死に逃げ出したが、それを第2師団の面々はなで斬りにしていった。
それを見てジャンヌは敵第二師団に攻撃を掛けることを決意した。
そうしなければ北方師団は壊滅する。
「おい、敵の横を突くぞ」
ジャンヌが叫んでいた。
「しかし、ジャンヌ」
「北方師団が全滅したらマーマレードは終わりだ。何としても敵の攻撃速度を弱めねばなるまい」
ジャンヌが言った。
「判った」
「最後にやるか」
ジョンとブレットも頷いた。
8人は敵の真横に転移した。
そして、その瞬間にあらん限りの力を使ってジャンヌとジョンは爆裂魔術を浴びせていた。
突撃に移っていた第2師団の歩兵部隊の土手っ腹に爆裂魔術が炸裂した。
真横からの攻撃は想定しておらず、軍の真ん中に亀裂が走る。
剣を抜いてジャンヌら8人は突撃した。
しかし、敵は百戦錬磨の第2師団、しかもまだ現地に到着したてであまり疲れていなかった。
ジャンヌらはあっという間に冷静さを取り戻した第2師団の面々に取り囲まれる。
ジャンヌは切って切って切りまくった。
しかし、多勢に無勢、最初にロバートが魔導師の爆裂魔術をモロに受けて弾け飛んでいた。
「ロバート!」
叫んだジャンヌに隙きが生まれた。
そこへ別の魔導師が近距離から爆裂魔術を仕掛けた。
ジョンがその前に身を挺して飛び出す。
ジャンヌの前に出たジョンが襤褸布のように弾け飛んでいた。
「ジョン!」
ジャンヌは弾け飛ぶジョンを見て切れていた。
「おりゃあああ」
叫んで剣に魔力を込めて切り結んでいく。
怒涛の進撃だ。しかし、多勢に無勢、ジャンヌの周りに兵士達が群がってくる。
ここまでか。
ジャンヌは諦めようとした。
そのジャンヌの真横を縦に斬撃が走った。
ドカーン
凄まじい爆発が起こる。
その斬撃の筋は第2師団を一刀のもと真っ二つにたたっ斬っていた。
この一撃で500人以上が即死した。
続いて第二撃がその横を走る。
突撃に移っていた第2師団の突撃が止まっていた。
彼らの目は前に現れた光を纏った女騎士に釘付けになっていた。
振り乱した金髪。
その眼光は鋭く、ありとあらゆる者を見下しているようだった。
金色に光る魔力を纏ったその姿はまさに、救世主の戦神だった。
「シャ、シャラザール」
兵士らは叫んでいた。
そう、それは教科書に載っていた、故郷を蛮族から守る戦神シャラザールの姿そのものだった。
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