第25話 赤い死神は北の砦を急襲しました

マーマレード北方師団。 vbノルディン帝国との国境に配備されている15000人。

北の街ノザレの北100キロの国境の地に配備されていた。司令官のロボック・ミハイルは現ミハイル侯爵、すなわちクリスの父の大叔父であり、前王妃の弟、クリスからは曾祖叔父にあたるのだが、面倒なので大叔父と呼んでいた。ここ20年間はこの地にあり、北方の守りを固めていた。現国王から見ると義理の叔父に当たる。国王の信頼も厚かった。

ロボックには孫はおらず、クリスとウィルを孫のように可愛がっていた。どちらかと言うとジャンヌとエドワードの方が血は近かったが、王家ということで遠慮もあり、性格的なものからもクリスとウィルを可愛がっていた。

彼の姉が王妃の時に側室といろいろあったので、クリスが王室に入るのには反対したが、国王と現王妃に説得されて諦めた経緯があった。クリスは名門ミハイル家の血を引くと同時にシャラザール帝国の別れた3国のうちの一つテレーゼ王国の筆頭公爵家ヨークシャー家の血もひいており、血筋の上ではどこへ嫁に出しても断られることはない家柄だった。というか、テレーゼ3姉妹の一番上が現テレーゼ女王のオリビア、2番めがドラフォード王妃のキャロライン、3番めがマーマレード王妃のエリザベスでクリスの母はテレーゼのヨークシャー公爵家の長女でキャロラインの侍女をしており、またこの3王女からは妹のように可愛がられていた。その子供のクリスも、小さい頃はエリザベスの娘のジャンヌは元より、キャロラインの息子のオーウェン・トラフォード皇太子やオリビア女王の娘のアメリア・テレーゼ皇太子ともよく遊んでおり、いじめられたり可愛がられたりしていた。一見おしとやかに見えるクリスだが、子供の頃にジャンヌに付き合わされて、子供がやるいたずらは一通り経験していた。カエルを手づかみしたり、虫を採ったりしたり、アメリアはそういうジャンヌを毛嫌いしていたが。

そのクリスを待つロボックは71歳という高齢だが、まだ、現役で毎日訓練も欠かしたことはなかった。兵士達には強面で知られていたが、今日は孫達が来るということでどこか表情が緩んでいた。


「師団長もクリス様がいらっしゃる時は違いますね」

参謀長のモルケトが言った。

「そうか。いつもと同じつもりだが」

「顔がにやけていますよ」

「もう儂にはクリスらと会う時くらいしか楽しみはないからな」

寂しそうにロボックは言った。

「儂は50年前に陛下から頼まれた大切な方を守りきれなかった。後悔しなかったときはない」

下を向いてロボックは告白した。

「師団長、何をおっしゃっているのです」

モルケトは驚いて言った。50年前といえば側室のエイミー様の件だろう。モルケトの士官学校時代の友人の母の事だ。

「いや、貴様には言っていなかったなと思ってな」

ロボックは顔を上げた。


「いや、すまん。このような場で言うことでもなかった。忘れてくれ」

「はい。それは聞かなかったことにしますが」

モルケトは戸惑った。ロボックがこんな昔の話を繰り言として言うのは珍しかった。




一方その北でのノルデイン軍の不審な動きはマーマレード軍は掴んでいなかった。

アレクの第8師団は3日前に北方の街バルチラに入った。ノルディンの国境の要塞まで10キロ、その先10キロにマーマレードの国境の砦があった。

昨日アレクはノルディンの国境の要塞に入り今日は早朝から極秘に接近。転移できるもの10名を2つに分けて2つの物見の塔に接近させて、攻撃させるとともに、アレクら5名が、要塞に転移攻撃、城壁を内側から破壊して、一気に接近していた師団で制圧する予定だった。


12時のパルチラの教会の鐘が大きく鳴った。

アレクら5名は転移して砦の屋上に出る。


そこにはクリスらが転移してくるのを待っていたロボックらがいた。

「来ましたかな」

転移の気配を感じてモルケトが意う。

しかし、それが赤髪を中心とした5名だと気づく。

「違う。敵襲だ」

言うや、ロボックは剣を抜いて切りかかった。

赤い死神は驚いて避ける。

まさか待ち構えているとは思ってもいなかったのだ。

「裏切りか?」

一瞬アレクは青くなった。

しかし、老人の剣を避けると爆裂魔法を中心部に叩き込む。

凄まじい爆発音がした。

「おのれ」

ロボックが斬りかかる。

それをアレクは受けた。

「き、貴様赤い死神」

ロボックは驚いて言った。まさか帝都にいるはずの赤い死神がここにいるとは思ってもいなかった。

「ロボック将軍か」

アレクは剣で切り結んだまま、爆裂魔法をロボックにお見舞いした。

ロボックは地面に叩きつけられる。

ロボックは見た映像を魔法に乗せて全軍に送った。

「敵襲!」

「ちっ」

アレクは渾身の力を奮って爆裂魔法を屋上に叩き込んだ。

その炎はロボックは元より屋上にいた大半を炎に飲み込んだ。

そして、屋上の壁から城壁に爆裂魔法を叩き込んでいった。

城壁の開いたところから次々にノルディン軍が入り込んできた。

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マーマレード軍紹介


北方師団 マーマレードの北都ノザレの北100キロにある要塞を中心に展開。過去何度かノルディン帝国の攻撃を撃破していた。

師団長 ロボック・ミハイル71才 現ミハイル内務卿の大叔父。姉が前王妃(故人)なので現国王の叔父、ジャンヌの大叔父


参謀長 モルケト 王弟の友人

第二大隊長 エドウイン・ノーマン 王弟の友人、後に中央師団長として王弟反逆児に活躍


ザクセン・コーフナー 第一魔導師団長 王国最強の魔導部隊。今回ジャルカの命を受けてノルディン偵察の任務を受けてクリスと同行中


士官学校 王立1学年200名 3年生は毎年夏休みに北の砦まで死の訓練行軍をしている。

今回引率は

グリフィズ・アントワープ。ダレルの反乱の鎮圧でクリスのせいでうまくいかず、士官学校に左遷されたと本人は思っている。諜報部員


ジャンヌ王女 1班班長 暴風王女として赤い死神となんとか互角の戦いをする予定

ブレット 1班員 転移が出来る

ジョン  1班員 爆裂魔法の使い手

ロバート・メイナード 1班員 伯爵家出身

その他大勢 

コリン 落ちこぼれ

シリル

グレイグ

ダミアン

デニス

ダンカン


ジャルカ 筆頭魔導師 クリスの師 王国最強魔導師で残虐王とも互角の戦いをする。

実は下っ端神様でもある。全知全能の神のゼウスの悪巧みを出来たら阻止したいと動いている。


クリスティーナ・ミハイル15 曾祖叔父のロボックの元に慰安に行こうとしている。神となったがゼウスによって地上に叩き落された戦神シャラザールが憑依している。


ウィリアム・ミハイル12 クリスの弟転移が出来る。ジャンヌの弟的な役割をしているときもある。クリスに対するシスコン度は高い。


戦神シャラザール 最終兵器。クリスに封印されているが、クリスがアルコール摂取すると来臨する。史上最強魔導戦士。全能神ゼウスが反乱恐れて地上に叩き落とした。正義感が強く、誰よりも神らしい。天界での人気もピカイチ

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