第19話 プロローグ2 シャラザールは皇太子をボコボコにしました

クリスが一口ワインを飲んだ時、一瞬にて戦神シャラザールが来臨した。

しかし、エドワードは何も感じなかった。

そのままクリスに抱きつこうとして

「おのれ、何をする」

一瞬にて肘鉄を胸に食らう。

「ぎょえええ」

そして、次の瞬間パンチをものの見事に顔に浴びて、木の扉を突き破って飛び出していた。

そして、その瞬間、エドワード、改ディオニューソスは前世の記憶を完全に取り戻した。

天界の最後の想い出はこのシャラザールにボコボコにされて地上に叩き落されたことも。


「おのれディオニューソス。貴様、余に何をしようとした」

怒りで切れているシャラザールはエドワードを再度殴りつける。壁にエドワードは叩きつけられた。

エドワードは可憐なクリスが男女のシャラザールに変わっていたことを初めて知った。

そして、自分がこの男女に欲情していたことも……。

最悪だった。というか、絶体絶命のピンチだった。そう、このシャラザールには絶対に敵わないのだ。エドワードは死をも覚悟した。


「シャラザール様。お待ち下さい」

更にエドワードを殴ろうとしたシャラザールはジャルカに止められた。

「ええい、ジャルカ、よくも貴様余を嵌めたな」

シャラザールは今度はジャルカに殴りかかろうとした。


「何をしているのですか」

そこに王妃の叫び声が聞こえた。

その瞬間、ビクッとシャラザールが震えた。そして、同時に巨大な威圧感が消えた。


「えっ」

ジャルカは唖然とした。ジャルカの腕の中のクリスは寝ていた。

ジャルカは王妃を驚いた顔で見上げた。

「どうしたのです?」

王妃はジャルカの驚いた顔を見て不審に思ったが、倒れているエドワードを見て悲鳴を上げる。


「ちょっと皇太子殿下がお酒が過ぎられたようで」

「ひょっとして飲んだ勢いでクリスに襲いかかったとか」

厳しい表情で王妃が言った。

「さあ、そこは判りかねますが…」

ジャルカは適当に誤魔化す。

「ギルティ。あなたきっちりと皇太子を見ていますか」

後ろにいた近衛師団長を見て王妃が言った。

「いえ、申し訳ありません」

ギルティは謝った。

「明日朝一番で太子を私の所に寄越しなさい。みっちりと鍛え直します」

きっとして王妃は言い切った。


どの道こちらにもまた飛び火するんだろうな。

緊急退避をしたシャラザールは思わずため息をついた。

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可愛いクリスにシャラザールが憑依したこと、これがクリスがフラれた遠因です。

最もあまりのショックにエドは詳しいことは忘却の彼方に

しかし、深層心理で嫌いになっていきます。

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