ノルディンの侵攻

第18話 プロローグ1 皇太子はクリスを人気のない部屋に誘い込みました

皆さん。いつも読んで頂いて有難うございます。

今日から頑張って投稿してた生きます。

本日もう一話投稿します。

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夏の始まりを前にマーマレードの王宮にてパーティーが開かれていた。

シャラザール帝国が分裂してできた3っつの王国の1つがこのマーマレードだが、大陸での国力は中堅国家規模。どちらかと言うと技術に特化している面もあった。その夏の社交シーズンの始まりを告げる王宮舞踏会は多くの人で賑わっていた。


15になったクリスティーナ・ミハイル侯爵令嬢も参加していた。そして彼女をエスコートしている婚約者の皇太子のエドワードはそのクリスの姿ににやけていた。


エドは自分の婚約者が可憐で可愛いと思っていた。姉のジャンヌ王女みたいにガサツで気の強い女でなくてとても良かったと思っていた。陰険なオーウェンの申し出を断ってくれて自分の婚約者にしてくれた母のことを、いつもは鬱陶しく感じるエドだが、珍しくこの点では感謝していた。

エドワードは前世は豊穣とブドウ酒と酩酊の神ディオニューソスだったみたいだ。はっきりとは覚えていないけれど、ジャンヌのような乱暴な女に地上に叩き落されたような記憶があった。既に何人かの侍女に手を出しているエドワードは、クリスのこともいやらしい目で見ていた。まだまだ、子供だけど、絶世の美女になることは間違いなく、早く自分のものにしたかった。今日こそは誰も居ない部屋に連れ込んで事に至りたいと思っていた。

エドは、クリスは貞操観念は固そうだが、酒の力を借りればなんとかなるだろうと、勝手に考えている残念な酒の神だった。


そのエドワードを胡散臭そうな目でクリスに憑依しているシャラザールは見ていた。本人は判っていないようだが、ゼウスの息子で酒の神かなんかであったと記憶するが、あまりに乱倫だったので、何かのついでに地上に叩き出した記憶がシャラザールにはあった。

その男がクリスに見せたいものがあると言ってクリスを連れて宮殿の使われていない部屋に連れ込んだのだ。


「エドワード様。このような部屋に勝手に入って宜しいのですか」

クリスは警戒して言った。

「クリス、素晴らしいぶどうジュースが手に入ったんだ。本当に美味しいジュースなんだよ」

そう言うと元々この部屋においていた、30年ものの赤ワインをクリスのグラスに注ぐ。

「エドワード様。何かいい香りがします」

胡散臭そうに見ていたクリスだが、その香りを嗅いで警戒を解いた。

「そうだろ。本当に美味しいんだから、少し飲んでみて」

いやらしい表情にならないように表情を消してエドワードは言った。


「グリフィズ。クリス様はどちらに行かれた」

エドが余計なことをしないように遠くから監視していたジャルカは焦っていた。

「皇太子殿下と宮殿の中に入って行かれましたが」

「あのクソガキ、余計なことをしとらんじゃろうな」

「まあ、お二人共お若いですから。今から子作りをしてもらうと困りますが」

シモネタでグリフィズは返した。

「グリフィズ。それ本当に洒落にならないのじゃが」

ジャルカが心配した時だ。


ダンッ


凄まじい気配が宮殿の方から感じられた。

「やばい」

ジャルカは慌てて駆け出した。

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