第11話 絶体絶命のクリスに戦神が憑依しました
クリスとジャルカは次の日、ノルディン帝国へ向かう、峠コースを歩いていた。
元々徒歩でしか歩けないということだったが、ここに来て今まで見なかった土木工事を各地で行っていて、馬車でも通れるように道の拡幅工事を行っていた。
「ジャルカ様。拡幅工事は元々ダレルと王都を拡幅するということではなかったのですか」
工事区間が終わって寂れた山道になったところでクリスが聞いた。
「そのように聞いておりますがの」
「何か良からぬことを企んでいるのでしょうか」
クリスが不審そうに聞く。
そして、人通りは周りに誰もいなくなった所で周りからわらわらと兵士が現れた。
「あなた達。何の用ですか」
クリスが前に出て尋ねる。
「御用改である。不審な2人連れがノルディンへ向かっていると通報があった。
大人しく、城まで同行願おう」
兵士の隊長と思しき人が言う。
「私達は旅の魔導師とその弟子ですじゃ。何も不審なことはないと思いますがの」
「ええい、つべこべ言わずにひっ捕らえろ」
兵士たちがクリスとジャルカを捕まえる。
クリスは目でジャルカに問いかけたが、ジャルカが首を振るので素直に捕まった。
「よう姉ちゃん。また会ったな」
それは昨日酒場であった兵士たちだった。
男はにやけた顔でクリスの体を舐めるように見ていた。
ダレル城は峠道の真ん中に立っていた。
その両端は山の断崖が覆っており、峠を通る者は必ずこの城を通らないといけないようになっていた。
その城の中に荷馬車が入って行くのが崖の上から見えた。
「クリス様とジャルカ様を乗せた馬車が城に入いったぞ」
その崖の上にから見ていたブレットが横で寝転んでいたジャンヌに報告する。
「でも、良いのか?皇太子の婚約者を囮に使って」
ジョンが不安そうに言う。
「そうだ。ジャンヌが囮になったほうが良かったんじゃ無いのか」
ブレットが言う。
「仕方ないだろ。ジャルカが姫様だったら絶対に見向きもされません。
クリス様だからこそ、奴らも襲うんですって言われたから」
ブスッとしてジャンヌは言った。いくら男勝りとは言っても面と向かって女の魅力はないと言われると少しは落ち込むものだ。
「ま、そうなるよな」
「本当に」
しかし、友人の二人はあっさりジャルカに同意したので、ムカついたジャンヌは二人の腹にパンチを放った。
男たちは二人を連れて地下牢に向かう。
そして、ジャルカとクリスを別にして、クリスは3人の男に取調室に連れてこられた。
クリスは取調室の中に強く押されて放り込まれる。思わずよろけた。
「何をするんですか」
きっとしてクリスが言う。
男たちが入り口の扉を締める。
「ふんっ。昨日は良くも俺たちを邪険にしてくれたな」
背の高い男がニタリと笑っていった。
いかにも酷薄そうな顔、その顔は欲望に塗れてテカテカと光っていた。
男たちがゆっくりと近づく。
「どのみち奴隷商人に売られてノルディンの変態王子に売られるんだ。先に俺たちが味見してやるぜ」
「そうだ。俺達のものでひいひい言わせてやるぜ」
男たちの手がクリスに迫る。
その薄ら笑いを浮かべる3人の後ろからシャラザールが扉をすり抜けて入ってくる。
シャラザールにとって男たちの欲望に染まった顔はそれだけで火炙りにする対象になった。
自分の子孫であるクリスをそのような視線で見る下々の者に視線に虫酸が走る。
シャラザールはそのクリスの様子に若かりし頃の自分の姿を重ねていたのだ。
誰が否定しようとも。
このような可憐な姿の自分を犯そうとするものなど、その欲望の塊と供に紅蓮の炎で焼き尽くしてやるわ。
怒りがシャラザールを突き動かした。
シャラザールは力を発揮するためにクリスに重なる。
この虫けら共を火炙りにするために。
その瞬間。
ダンッとすさまじい気が辺りを制した。
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ついに史上最強の魔導戦士が誕生しました。
次回は紅蓮の炎に焼き尽くされる伯爵領!?
乞うご期待。明日の20時更新です
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