第9話 ジャルカの前に戦神が現れました
「乾杯!!」
ジャンヌらは麦酒が運ばれてくると乾杯した。
そして、一気に飲んでいく。
「ウィーース」
ジャンヌは王女にも関わらず、ジョッキを一気に飲みきった。
「流石に麦酒は一杯目が美味いな!」
ご機嫌に言う。
「本当だな」
男たちも言う。
ジャルカは自国の第一王女の飲みっぷりに頭を抱えたくなった。
これではまるでどこぞのおっさんではないか。
「ジャルカ先生。何ですか。その残念な者を見るような目は」
ジト目でジャンヌが言う。
「いやいや、あまりに良い飲みっぷりに感服した次第でして」
「嘘つけ。淑女らしくない様に呆れ返ったんだろ」
そう言うと「姉ちゃんお代わり3っつ」
女中に叫んでいた。
「ティナはお酒は飲まないのか」
クリスに振る。
「まだ15ですから」
クリスが笑って返すが、
「何言っている。俺たち15で飲んでいたよな」
ジャンヌは他の2人に自慢気に言っていた。
「いや、流石におおっぴらに飲んだのは士官学校に入ってからだ」
「そうだ。ジョアンナくらいだよな。ジョン」
男達が応える。
「ああティナ。こいつらクラスメートの」
「ブレットさんとジョンさんですよね」
「えっ?」
「なんで俺らの名前知っているの?」
ブレッドとジョンは驚いた。
彼ら2人は平民出身だ。まさか未来の王妃で侯爵令嬢に名前を覚えられているとは思っていなかった。
「それは知ってますよ。お二人共、士官学校の成績は優秀。ブレットさんは転移の使い手。ジョンさんはザンさんと同じで爆裂魔法の使い手ですよね」
クリスがスラスラ言う。
「相も変わらず、ティナはすごいよね」
ジャンヌはお手上げという感じで肩を竦めた。
「エドはどうしようもなくても、こいつは優秀だからな」
「エドがどうかは知らないけれど、ティナちゃんには脱帽」
「俺も。ジョアンナ以外に初めて忠誠を捧げたくなった」
3人はクリスを絶賛した。
「高々お名前を存じ上げていただけではないですか」
クリスが謙遜する。
「もう止めて。跪きたくなってくるから」
「普通さ、貴族なんて使用人の名前すら覚えていない奴も多いのに」
二人が慌てて言った。
その後クリスのジャンヌの暴露話に二人は七転八倒した。
「えっ。で、庭に大穴開けちゃったの」
「そうなんですよ。凄まじい爆発音したから慌てて中庭見たら大穴が空いていて。
私に指導していらっしゃったお姉さまの母上が、怒られたことったら」
「そらあ普通怒るよな。中庭に大穴開けたら」
笑ってジョンが言う。
「仕方がないだろ。その時はまだ調整が効かなくて。ジャルカに教わった爆裂魔法の力加減を間違えただけだよ」
「間違えて大穴開けたら、そらあまずいだろ」
ブレッドがツボに入ったみたいで爆笑していた。
「1ヶ月間。謹慎処分になっちゃってさ」
「ジョアンナさんは1週間ももちませんでしたよね」
ジャルカが呆れて言った。
「でも、ティナもすごいんだぞ。5つで小屋1つフツ飛ばしたんだから」
「えっ!5歳で」
ジョンが驚く。
「お姉さまが爆裂魔法を使って見せてみろなんて言うから」
クリスが拗ねて言った。
「いや、5歳で普通小屋がぶっ飛ぶほどの魔術を使えるなんて思わないだろ」
ジャンヌが言い訳する。
「ジョン。5歳でそんな事が可能なのか」
「俺は砂場の山を弾き飛ばすくらいだったな」
「でも、その砂山大きかったんじゃないんですか」
「必死に作って高さは1m位かな」
「それすごいじゃないですか」
「少し、お手洗いに行ってきますな」
話している4人を置いてジャルカは立上った。そして裏手に回る。。
そこには先程騒ぎを収めた男が待っていた。
「ジャルカ様。クリス様とお二人でいらっしゃるというお話だったのでは」
男が食って掛かった。
「そのつもりじゃったのじゃがのう、グリフィズよ。余計なのが一杯付いてきてしまったのじゃ」
苦虫を噛み潰したようにジャルカが言う。
「しかし、マーマレードの問題児が全て集合しておりませんか?」
ジャンヌと言いザンと言いジャルカと言い魔力もちの問題児のオンパレードのようにグリフィズは思った。
「その方、その中に儂を含めたな」
「またまたご冗談を」
ジャルカの一言にグリフィズは慌てて否定する。
「予定通り進めて宜しいのですか」
「仕方あるまい」
「姫らを抑えるのは宜しくお願いしますよ」
グリフィズが釘を差した。
これだけの戦力があれば普通にやっても圧倒的にジャルカの方がダレる伯爵軍より強いのだが。
「まあなんとかなるじゃろ」
グリフィズが頭を下げて去って行った。
「久しぶりだな。ジャルカ」
そこへジャルカの本当の目的のその人、シャラザールが現れた。
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