Cパート

「どうすんだ、どうすんだよ! あと7分しかないし、CMも短すぎて対策なんて思いつくか!! って、何故突っ込むんだ神官!」


 突然、神官が復活した魔王に向かって走り出し、勇者をも抜かしていく。


「えーっ! 何でお前が突っ込むんだよ神官! ここは俺だろうが! 勇者の俺だろうがよー!」


 あ~ダメだ。

 もうダメだわ。

 終わったな、終わったよ。

 はいはい、しゅ~りょ~。


「HAHAHAHA! 勇者どもよ、我は不死身よ! 先程は油断しだが、もう我を倒すことはで――」

「○ーねー! 魔王!」

「あっ、神官の言葉に規制音が入った」

「さすがに神官が言う言葉として正しくなから、世界の何かしらの力が働いたんだろう」


 俺と魔法使いが淡々と状況を口にだしていたが、勇者は神官の後を追って走っていた。

 と、その直後、神官が自分もろとも大爆発を起こし、勇者達の視界は真っ白になったのだった。



「…………えっ? 何、死んだ? 視界が真っ白なんだけど、何これ? てか、神官自爆したよね? てか自爆って何考えてんだあいつ!」

「はぁー、スッキリしたわ。どうだった? 私の爆発オチ」

「爆発オチ!? あれがオチ!?」

「そう、後はこの真っ白い世界で私達のその後を適当に話すだけ。ね、簡単だし、手間が省けたでしょ。私ってもしかして天才?」

「天才じゃないわ! いやいや、ダメに決まってるだろ!」

「頭が固い男ね。それはモテないわよ」


 そこへ魔法使いが現れる。

 勇者はというと、遠くの方で未だに意識を失ったまま目覚めていなかった。


「それじゃ、こういうのはどうだ?」

「何かいい案でもあるのか?」

「魔法がまだ使えるみたいだから、ダメもとでやってみるよ」

「お前を変に思った俺が悪かった。もう、お前がこの物語の希望だ! 頼んだぞ!」

「よし、いくぞ!」


 と魔法使いが「ほ~い」という力が抜ける様な掛け声を出した直後、世界が大きくうねりだした。

 次の瞬間、勇者達は何故が王宮の王の前で膝を付いていた。


「あれ? ここって、王宮? 何で俺達王宮何かに……」

「お~よくぞ戻ったぞ、勇者達よ。よくぞ魔王を止めてくれた。今日はお前達への勲章授与式だ」


 それを聞き俺は真横を向くと、自分と同じように勇者達が膝を付き凛々しい表情で受け答えをしていた。

 あ、何だ……魔法使いの魔法がうまくいったのか……あの時色々あったが、魔王を倒して世界を救ったことになったんだな俺達は。

 そう俺が安堵の息をついた直後、王が勲章授与式を始めだす。


「では、まずは勇者! 前へ」


 そして勇者が王に近付き、胸に勲章を付けてもらった後下がって来ると、次の名前を呼ぶ準備に入る。

 次は俺だな。いつも通り呼ばれる順番として、勇者の次は戦士だからな。

 あ~何か緊張してきた。


「では次! 魔王!」

「……ん? 魔王? ……魔王!?」


 そう呼ばれた直後、俺の横から魔王が通り抜けて行き、王から勲章授与をされ始める。


「……え? どう言う事? これ、どう言う事?」

「おい戦士、大丈夫か?」


 混乱する俺に声を掛けて来たのは、魔法使いであった。


「あっ、おい。これはどう言う事だよ?」

「どう言う事もなにも、見ての通りだろ」

「いやいや、魔王倒したって言ってるのに魔王が居るのは変だろうが! てか、何で俺達と一緒に表彰されてるんだよ」


 すると魔法使いは「あーね」と若者言葉を口にし納得した表情をする。


「皆の中にある魔王と言う存在を変えて、最強だった魔王をパーティーに入れて魔王を倒した事にしたんだよ。確かに名前は同じにしたままだけど」

「はぁ?」


 直後、魔王が王の方から帰って来て、俺の真横に膝を付いた。


「あら、戦士。どうした? 我の事をそんなに熱い視線で見つめて」

「はぁ?」

「はっ、もしかして……ダメだ。そんな事は出来ない……我だってお前の気持ちは嬉しいが」

「はぁ?」

「だが、魔族と人間の懸け橋としてその熱意に答えよう!」

「はぁ?」


 と言って、突然魔王が俺に抱き着いて来て、顔を接近させてきた。


「おいおいおいおいおいおいおい! 何してんだおめぇ! 離れろ! てか、止めろ!」

「何言ってんだ、誘って来たのはそっちじゃないか」

「知らねぇよ! そんなそぶり一度もしてねぇわ! おい、魔法使い! こんな終わりは嫌だ! どうにかしてくれ! 頼むー!」


 周囲は勇者も含め、突然の事に驚いていたが何故か祝福ムードが流れ出す。


「おーい! 魔法使い! 頼む、早く何とかしてくれー!」

「平和的で幸せなエピローグを望んでたろ?」

「そうだけど! これはそうじゃない!」


 物凄い渋い顔をする魔法使いに、俺は身の危険を感じつつ頼み続けると、やっと魔法使いが「分かったよ」と答えてくれた。


「せっかくいいエンドだと思ったんだけどな~戦士がそこまで言うなら、全部夢だった事にするわ!」

「えっ」


 直後、再び皆の視界が真っ白になる。



「……はぁ~何とか危機は去った……」

「おい戦士! せっかくいいエンドを魔法使いがしてくれたのに、何であんなこと言うんだよ」

「姿見えないけど、その声勇者だな。いやいや、俺が全然幸せじゃなかったんだけど?」

「え? そう?」

「何でそんな疑問形で聞けるんだよ勇者!」

「あ~あ、これじゃ夢オチじゃん」

「いや、俺のせいみたいに言ってるけど、そもそもお前が駄々捏ねずにさっさと装置止めれば良かったんだからな?」

「あっ、所詮夢オチならさ、今までの記憶とか封じたり出来ないの?」

「出来るよ。やる?」

「魔法使いの声! そこにいるのか? てか、やるやる! 新鮮な気持ちで魔王と向き合って終わりたい!」

「え、意味あるそれ?」

「それじゃ、記憶封印するよ~……はい!」


 と俺達が次に目を覚ますと目の前には強化された魔王が立ちはだかっていた。


「な、何だあの姿は!?」

「見た事ないわ。それに、異常な程の魔力を感じるわ」

「恐れる事はない! 俺達の今までの戦いを思い返してみろ! そうだろ勇者!」

「あぁ、そうだな戦士! よし、お前ら準備はいいか? これが最後の戦いだ!」

 すると勇者は聖剣を構えて、大きく息を吸った。

「俺達の戦いはこれからだ!!」



 完……?
















「そして初めに戻る。いい最終回じゃないか!」

「えっ、これループ物だったの? てか、こんな展開でいいのか? 本当にこれでいいのかよ勇者!」


 終

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俺達の戦いはこれからだ! 属-金閣 @syunnkasyuutou

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