第38話 アウローラ編 5



「どういう意味でしょうか、」

「?どういう意味も何も、ブログを見てこられたのかと思いまして。もしそうなら、嬉しいことじゃないですか。たくさんの人に知ってもらいたいし。」


 黒いツナギの男は屈託なく笑った。


「………」


 黒い髪が太陽に映え、この男は、きっと裏表がないのだろうとアウローラさんは思う。


 刹那アウローラさんの笑みが一瞬強ばったが、黒いツナギの男がそれに気がつくことはない。


「このキッチンカーで商売をしようとしている女性は本当に一生懸命で、うちでもほとんどの社員が彼女の支援に一役買いました。ホント、1日も早く目標金額を達成してもらいたいですね。」


 黒いツナギの男の言葉を、頷きながら聞くアウローラさんの心には、言葉で表現することを拒みたくなるモヤモヤが生まれつつあったが、全力で黙殺した。




 その帰り、アウローラさんはスマホでいつものように瀬戸菊さんのクラウドファンディングに5千円送金しかけて、


「………」


 しかし今日は奮発して2万円送金した。



 

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