第33話 人生は不発弾なればこそ
「へえ。そういうこと言っちゃうんだあ、
見計らったようなタイミングで少年たちは現れた。いつもの顔ぶれに
「あっ、とめき先輩」
「来たか、
「オレが親を殺したってえ? なるほどねえ。聞かせてよお、先生の考えってやつ」
挑発的に笑う。
「おれを先生じゃなくしたのはお前なのにな、
だがもともと兄妹の仲はそう悪くなかった。怒鳴りあうようになったのは妹が恋愛結婚で
生まれてすぐ婚約者を決められていた
飯開が後方に下げられた
飯開は満足気に笑みを深め朗々と続ける。
「そのせいで
君が肌身離さず付けているイヤーカフス、その中にDNA鑑定をしたデータが入っているんじゃないかい? 君はそれで実の父親を脅して、
これで決まりだと
「まあ大筋は当たらずとも遠からずだなあ。で? オレはどうやって両親を殺したんですかあ?」
「簡単だ。二人の乗った車は対向車線からはみ出して走って来た車を避けようとして崖から落ちた。直接の死因は、大木がフロントガラスを突き破って体に刺さってのショック死だったそうだな。…………本当はその後ろに乗ってたんだろう? 君が後ろからハンドルを操作して落としたんだ。事故現場にいた裏は取れている。ハンドルにも不自然な君の指紋が付いてたそうだしね」
よほどの確信があるのか、飯開の言葉は断定的だった。相手の反応を面白がって待っている目をしている。
「あんたの調査はいいとこ行ってるよお。オレの実の父親が
「えっ」
「それって」
動揺する女子二人に、
「安心しろよお。んな悲惨な話じゃねえ。
これオフレコなあ、と二人に向かっていたずらっ子みたいに人差し指を立てる。
「だから家族仲は言うほど険悪ではなかったぜえ。むしろ両親はオレに気を使いまくってた。ま、子どもにとっちゃそれが気まずくもあったんだが。
思い出したように声が弾む。いつもの下卑た笑いとは違い、その語調は穏やかだった。
「だから正真正銘、あれはただの事故だ。誰を恨めるでもねえ、不運で偶然な事故だよ、オレがあそこから生還できたのは幸運だっただけだ」
「そんな馬鹿なっ。おれがどれだけ
想像と違う証言に
そのザマを
「オレは自分大事のクソ野郎だ。お前が言うみてえな、んなリスキーなことできるか、阿呆。仮に
腹の底からの
「二人の前でオレの所業を暴いて人間関係ぐちゃぐちゃにし返してやろうとでも思ってたんだろうけどよお、オレは人生が爆弾になるほど不幸じゃねえんだわ」
「なぜそこまで気づいて」
「同類のやることなんざお見通しだってのお。つうかお前みたいにプライドクソ高い奴は、相手を自分と同じ目に合わせようとするもんだろお? さあて、もう言うことはないかあ? 用意してきてても、また的外れだったらって思うよなあ。はっはあ! んじゃ次はお前らの
「なあ
少年の怯えた目が、かすかに
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