第5話 初めての買い物

『ごちそうさまでした!美味しかったです』




『そうだな。美味しかった』




俺と明里は昼食を食べに二人でスココへ来ていた



『では、会計は分けて払いましょう』




さすがに俺もこんな常識くらいはあるので断る




『いや、ここは俺が払う』




『いや、いいですよ。だってお父さんが食費を送ってくれるんでしょう?』




『いや、まあそうだけど。こういう場は普通男が払うだろ』




『こういう場?あ!ま、まさか、デートだと思ってますか?』




くっ、痛いところを突かれたな




『い、いや、そういう訳じゃない!ただ、初めてのレストランなんだろ。お金払わない方が気持ちよく食えるだろ。そういうことだから』





『自分で払った方が気持ちよく食べれます!』




『ふっ、なにも分かってないな。働かずに食う飯がうまいように、ただで食う飯はうまいんだぞ。だから、スーパーでの試食もあんな少量なのに満足できるんだ』




すると明里は呆れたように言う




『何ですかその腐った理論は』




『腐ってない。至極当然の理論だぞ。』




『そんな考えの人が日本にはたくさんいるんですね』





『それは、分からない。でも、みんな気付かないだけで、人は無意識にこのロジックに倣っていると思うぞ』




『恐らくそれはあなただけだと思いますよ』



軽蔑の目線を向けられる。怖いよ。そんな目をするのねあなた




『ま、まあそれはいいだろ。とにかくここは俺が払う』




『まあ、そこまでいうならお願いします。ではこれをレジへ持っていってください』



明里は俺に伝票を渡す。俺はそれに驚愕する




『なっ!』



ふ、二人で2000越えだと。昼食にしては高い、高すぎる!



そんな俺の様子に気付いたのか明里尋ねてくる




『どうかしましたか?』




『やっぱり、割り勘で払お『だめです!』




くそっ!せめて最後まで言わせてくれよ!




『わたしもあなたの言葉を聞いて、無料でご飯が食べたくなりました!よろしくお願いしますね!』



満面の笑みで言われる。くっ、手痛すぎる出費だが仕方ない。ここは奢ってやるか




『はぁ、まあ最初から払うつもりだったからいいよ』




『ごちそうさまです!』




俺と明里はスココから出て家に帰る




『しかし暑いな』




『そうですね。でも、気分が悪くなるほどではないでしょう?風も吹いていますし。寧ろ心地良いですよ』





『そうか?ただ暑いだけだろ。どうせならもう少しスココに居ればよかったな』




すると明里は何かを思い出したように言う




『そうだ!一緒にショッピングセンターへ行きましょうよ!屋内は涼しいですし、私買いたいものが色々あるんです!』




俺は即答する




『ヤダ!』




『え?何でですか?いいじゃないですか?』




『俺は人混みが嫌いって言ったろ?わざわざ自分から苦手な場所に行くほどMじゃない!』




『でも、いっぱい買わなきゃならないものがあるんですよ』




買わなきゃならないもの?





『例えば?』





『パジャマとか。下着とか。普段着とか。まあ、あなたが下着を貸してくれるならいいですけど?』




『貸さない貸さない』




『じゃあ行きますよね?』


まあ、涼しいなら行ってもいいか




『まあ、そうだな。いつかは行かなきゃいけないし、特に用事もないから行くよ』





『よし!じゃあ早速行きますよ!どこが近いですか?』




えーと、たしかワオンがちょっと遠くにあったよな




『ワオンっていうショッピングセンターがあるけど、少し遠いな』




『え?じゃあ行くのは諦めますか?』




残念そうに言う。さすがにここまできて行かないのはかわいそうだ




『いや、一回家に戻ってから自転車で行こう』





『話が分かりますね。では早く家に帰りましょう!』



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『で、どうしますか?』



俺と明里は家に着いたものの、自転車が一つしかなくて困っていた




『んー、2人乗りすればいいんじゃないか?』




すると明里は俺をからかうように言う





『おー!自分から二人を乗りを提案するのは中々やり手ですね!』



ん?やり手?何故だ?




『俺がやり手だと?』





『はい。そんなに私に後ろから抱き締めてもらいたいんですね!』




『ち、ちがう!そんなこと思ってるわけないだろ!あんまりからかうと行かないぞ!』




『嫌です。行きますよ!』




『じゃあもうそういうこと言うな!』




『はいはい、わかりましたよ』




『じゃあ早く行くぞ!』



俺がサドルに乗ると彼女は荷台に乗ってくる




『てか、荷台って尻が痛いだろ。ワオンまで10分くらいかかるから、家から座布団持ってくるよ』




『え、あ、はい』




ん?何か言いたげだ




『どうかしたか?』




明里は小さい声で言う




『いや、意外と気遣いができるんだなと思って』




『いや、これぐらい普通だろ』





『いや、これぐらいじゃないです。十分大切なことですよ。京太郎は優しいんですね』





『俺にとってはこれくらいなんだよ。逆にこれだけで優しいとか言われたら嫌だぞ。俺を分かった気になるのは早い。俺はこれよりもっと優しいことができる。そこを評価してもらいたい』



笑いながら言われる




『フフッ、そうですね。今度そこを評価しますね!』




『ああ、そうしてくれ。じゃあ、ちょっと待ってろ』



俺は明里に見守られながら家に入った



家から出て座布団の準備ができると明里がテンションを超マックスにしていた




『じゃあ行きますよ!Let's go!!』




相変わらず発音いいな




『しっかりつかまってないと落ちるからな!』





『分かってます』




荷台に乗った明里は俺に抱きついてきた



おおっ、背中がすごいよ!こんな重い荷物を二つも背負ったのは初めてだよ!




すると突然明里から頬をつねられる




『エッチなこと考えてませんか?』




え?何でわかったの?エスパーかよ‥‥




『か、考えてねーよ。てか、お前エスパー?』




すると再びつねられる



『やっぱり考えてたんですね!さいてーです!!』




====================================



『ふう、ようやく着いたな』





『ですね。結構長い道のりでしたね。運転お疲れさまです!』




この言葉をかけられて俺は考える。これが一家を支える親父ってものなのかと。でも、そう考えると親父ってかわいそうだな。家族に使い回されるんだもんな



『ああ、じゃあ早速入るか』




ワオンはフードコートや洋服屋、雑貨店、ゲームセンターなど多種多様な店舗が並ぶ大手ショッピングセンターである。そのため幅広い世代に愛されており人が多い。そう。人が多いのだ。それが俺にとっての難点である



『ここにはよく来るんですか?』




『んー、ここに来れば大体の物は手に入るからまあまあな頻度で来るな。前来たのはちょうど一年半前だったかな』





『全然まあまあな頻度じゃないじゃないですか!』




え?そうか。結構最近のように感じるんだけど‥‥



『でも、まあ、安心しろ。こう見えてある程度の場所は把握しているからな。まあ、マップ見ればいい話だが‥‥』




『そうなんですね。』




よし、時間もないしそろそろ別れるか



『じゃあ、後はマップ見て行動な。帰るときはフードコートに来てくれ。俺そこで待ってるから』




俺がフードコートへ向かおうと踵を返すと、袖をつかまれる



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超美少女が俺の家にホームステイしに来たんだが 永塚最中 @184HITOYASUMI

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