第7話
ハルカ・アルド・エイミ・リィカ・サイラスそしてテイラーは霧の村にいた。
ハルカ「ごめんなさい。あの城にはいつの間にかたくさんの魔女がいたわ。あそこで戦闘が行われれば圧倒的にこっちが不利だったから…。」
アルド「そうなのか。ハルカも辛いだろうにありがとうな。」
テイラー「私からも謝らせてもらおう。本当にすまん。私はリリエラが何か企んでいるんじゃないかと思ってずっと観察していたんだが、あやつ本性を全然表さなくてな。私以外にもリリエラを苦手とするものやヒイロ様の反対派の魔女も多少はいるんだが、おそらくすでにリリエラに捕まっているんじゃないかと思う。」
ハルカ「そうですか…。さすがに今の人数ではリリエラそしてヒイロ様と戦うとしても戦力不足ですね。」
アルド「人間達を支配するって言ってもどうするつもりなんだろうか。そう言う魔法とかあるのか。」
エイミー「そうだな。あるにはあるな。特にヒイロはそう言った系の魔法が得意だからな。ただ人間界全域とかとなると流石に範囲が広すぎて難しいと思うぞ。」
ハルカ「リリエラはいろんな地域を回っていたからもしかしたら、その時に住民に何かを渡したとか、催眠魔法をかけられている可能性もあるわね。」
アルド「そうか。さすがにいろんな地域に巡って全住民と話すのは難しそうだしなぁ〜。リリエラとヒイロを止める方が早いか。」
ハルカ「えぇその方が早いかもしれないわね。でも戦力が圧倒的に足りないわね。」
アルド「戦力が欲しいなら。俺の知り合い達に力を借りるか。霧の村の時一緒だったマリエルも声をかけてみるか。」
エイミ「そうね。そうと決まれば手分けして声をかけにいきましょう。」
サイラス「人間以外にもこの世界には住んでいるものが多い。きっと力を貸してくれるだろう。」
リィカ「支配は何も生み出しません。共生することは大変なことではありますが、できないことではありません。過去に魔女狩りが行われ、現在魔女と人間の関係はあまり良くないですが、また手を取り合って生きていくことはできます。魔獣と人間だって暮らしていけるだから大丈夫です。」
ハルカ「えぇ。人間も魔女もそれ以外の種族も関係ないわ。それぞれに家族や仲間がいて、大事なものを抱えて生きている。支配をしても意味なんてない。リリエラそしてヒイロ様を止めないと。そしてヒイロ様の本心を聞かないと納得できない。ヒイロ様はあんな表情をする方ではなかった。ヒイロ様の笑顔を取り戻したい。」
テイラー「確かにヒイロ少し変だったな。もしかしてリリエラ精神干渉系の魔法が得意か…。」
ハルカ「ヒイロ様はリリエラに操られている可能性があるってこと?」
テイラー「あぁまぁその可能性もゼロじゃないって話さ。私はリリエラがヒイロの弟子ってことしか知らないからなんとも言えないんだが、魔女の幹部を決めるための集会で若い魔女達から圧倒的に支持があって、実技についてもピカイチだったんだよ。だからリリエラは幹部になったわけなんだが…。ちなみにハルカは一体いつからリリエラと一緒なんだ?」
ハルカ「そうですね。ヒイロ様が魔女協会に連れて行かれてからなので10年くらい前です。ヒイロ様からリリエラを頼るように言われたので、それからリリエラと一緒に過ごしていました。でもそんな不信な点は特にないと思います。強いて言うなら、私と出会った頃はまだあんな話し方ではなかったです。」
テイラー「そうか。リリエラの得意な魔法とか覚えてないか。」
ハルカ「そうですね…。リリエラは結構いろんな土地に赴いて魔法書を集めていて、特に紫色の魔法書については熱心に読んでいた記憶があります。」
テイラー「紫か…。それはもしかしたら…。」
アルド「なんだ。その紫の魔法書はやばいやつなのか。」
テイラー「あぁそうだな。もしかしたらリリエラは悪魔とも契約しているかもしれんな…。」
ハルカ「悪魔…。」
テイラー「魔女ってみんな独り立ちする時に使い魔と契約を交わすんだが、その時に悪魔を使い魔として可能性もあるな。」
アルド「悪魔を使い魔としちゃ悪いのか?」
テイラー「いやそんなことはないさ。ただ紫の魔法書に載っている悪魔は相当な力がないと悪魔に肉体を乗っ取られるぞ…。…あれハルカさっきリリエラの話し方が途中から変わったと言ってなかったか?」
ハルカ「えぇ3年前くらいからかな、急に話し方が変わったのよ。」
テイラー「3年前…。あやつの年齢なんとも言えんが、もしかしたら悪魔に乗っ取られている可能性もあるな。」
ハルカ「そうなの…?それって見極める方法あるの?」
テイラー「うーんそうね…。」
マリエル「あのぉ〜。」
アルド「マリエル!?どうしたんだ。」
マリエル「アルドさん助けてください。」
アルド達の前にやってきたマリエルはユニガンで起こっている事について話し始めた。
マリエル「ユニガンでは本日から明日にかけて、収穫祭を開催しているのですが、住民達が急に暴れ始めて…とにかく大変なんです。」
アルド「もしかして、もう始まっているのか。」
テイラー「まずいわね。急いでミユニガンへ向かうか。」
エイミ「アルドはユニガンに向かっちゃって、サイラスとリィカと私は戦力になりそうな人たち集めてくるから。」
テイラー「よかったらこれを使ってくれ。空飛んだ方が早いだろ。」
そう言うとテイラーはどこからか魔法の杖を3つだし、3人に渡した。
エイミ「ありがとう。ユニガンに集合ね。」
そう言ってえいみ・サイラス・リィカの3人は空を飛んで行った。
ハルカ「それじゃあ、私たちも急ぎましょうか。」
アルド「あぁ。」
4人がユニガンに着くと、住民達はミグランス城の門の前に集まっていた。
アルド「あれか。」
マリエル「はいそうなんです。ミグランスの衛兵さん達が暴れていた住民を拘束したおかげで、今では多少落ち着いているようですが、皆さん目もつろな様子なんです。」
テイラー「なるほど。あれは確かに催眠魔法かかっているな。」
ハルカ「そうですね。しかし衛兵さんや一部の住民が催眠にかかっていないのはなんでしょうか。」
アルド「そう言えばリリエラ願いを叶えた人達に何か渡していた気がするぞ。」
テイラー「それが今回の発動条件か。」
ハルカ「それを破壊すれば操られている人々は元に戻りそうですね。」
マリエル「そう言えば、人々が暴れ始めたのは日が暮れて、ランタンに火が灯った暗いからですね。」
アルド「それか!!」
ハルカ「破壊してみましょう!」
アルド達はユニガンにあったランタンを片っ端から破壊した。
そしてもう一度ミグランス城の前に捕まっていた人達を見に行った。
アルド「どうだ?治ってそうか?」
ハルカ「そうですね。皆さん意識がしっかりしているようですね。」
テイラー「…。もしかしたら他の国でも似たようなこと起こっているかもしれないな。」
アルド「あいつらなら大丈夫だろう。」
エイミ「連れてきたわよ〜。」
サイラス「お待たせしたでござる。」
リィカ「ただいまデス。」
3人がそれぞれ戻ってきた。連れてこられたのは、ホオズキ・ディアドラ・ロキド・ミュルス・ミーユだった。
エイミ「あっちこっちで人が暴れててあんまり連れてこられなかったわ。」
アルド「いや、ありがとう。心強い面々が集まったな。今から魔女教会の本部がある天空城に乗り込む予定なんだが、戦力不足でどうか力を貸して欲しい。」
ハルカ「元々は私ごとでしたが、魔女達がこの時代全域にも影響を与えようとしております。さすがに私達だけでは戦力が不足しており…この世界を守るためにもどうぞよろしくお願いします。」
ホオズキ「うちは暇してたしかまへんよ〜。」
ミーユ「ユニガンの方々のためにも頑張ります!」
ミュルス「ミュルスちゃんにひっさしぶりに本気で闘っちゃっていいのかな〜。」
ディアドラ「魔女を斬ればいいんだな。」
ロキド「我が拳を振るう時がきたか!」
アルド「魔女達を無闇に殺さないでくれよ。人間と魔女の共存する世界を目指す予定なんだから。」
ハルカ「今テイラーさんに魔女教会本部へ転移するための魔法陣を描いてもらってます。そしたら皆さん魔法陣の上に乗ってください。それから何が起こるか分からないので、各自お気をつけください。私の魔法であらかじめ皆さんには、魔法耐性を上げておきます。」
テイラー「よしっ!完成したぞ。みんな魔法陣の上に乗ってくれ。」
みんなが魔法陣に乗ったことを確認し、テイラーは魔法陣を起動させ、魔法教会本部のある天空城へ転移した。
移動すると早速敵の魔女達に囲まれた。
ディアドラ「ここは任せて先行ってくれ!」
ロキド「助太刀する!」
アルド達は外の敵をディアドラとロキドに任せ魔女協会の建物内に入る。しかしここにもたくさんの幽霊達がいた。
ホオズキ「ここはうちに任しとき〜。」
ミーユ「私もホオズキさんを援護します!」
はるかを先頭にアルド達は地下へと続く階段を下っていく。
地下4階へ下る階段の前で魔女協会の幹部が2名ほど待ち構えていた。
魔女協会幹部「くると思っていたわ。ここから先へは通さないわ。」
テイラー「またまた〜。仕方ないねぇ〜。ここは私が引きるけるわ。」
ミュルス「ミュルスちゃんもここで一緒に暴れちゃいま〜すっ!」
アルド達は地下4Fヒイロとリリエラが待つ玉座へと向かった。しかしそこにヒイロの姿は見えず、いたのはリリエラだけだった。
リリエラ「あっれぇ〜意外と早かったねぇ〜。外の奴らどうしちゃったの?もしかして仲間増やした系?でもごめんね〜。もう少しでこの儀式終わるから邪魔しないでね。」
そう言うとリリエラはアルド達に向かって何かの魔法を放った。しかしそれはアルド達に当たることはなく、ハルカが張った防御壁にぶつかり霧散した。
ハルカ「リリエラ…いえあなたはリリエラではない。リリエラの中に入ってないで姿を現しなさい!」
悪魔「ヘぇ〜もうバレてるんだぁ〜。それじゃあ別にこの個体の中に入ってる必要はないね。」
そう言うと悪魔はリリエラから出て、本来の姿を現した。見た目は人間の小さい男の子のようだったが、背中からは黒い羽が生え、肌の色は青白くまるで血が通っていないかのようだ。
悪魔「あぁ久しぶりに自分の姿に戻った〜。なんだかんだこの姿の方が楽でいいね。」
ハルカ「あなたは何が目的なの?」
悪魔「目的?その女が俺のことを召喚した時、人間のこと凄く憎んでいて、いつか復讐するのが目的なんだって言ってたから、力は弱いけど面白そうだなぁと思って召喚に応じたわけ。でも俺の方が圧倒的に力が強いからいつしかそいつが力尽きそうだったから、そいつの中に入って代わりに色々やってあげたんだよ。いやぁ〜それにしても魔女もまだまだだよね〜。簡単に騙されちゃってほんとおかしい。ヒイロだっけ?あいつはわりとすぐに気づいたみたいだったけど、なんか力を制限されるみたいであっさり決着ついちゃったよ。」
ハルカ「ヒイロ様はどこ?」
悪魔「あぁあれならほらあそこにいるよ。」
そう言って悪魔が指したのは床一面に描かれた魔法陣の真ん中だった。ヒイロは倒れて横になっていた。
ハルカは走ってヒイロの元へ行こうとしが、悪魔に止められた。
悪魔「おっと。ここから先へは行かせないよ。魔法陣もう少しで完成するんだから。」
ハルカ「ふざけないで。」
ハルカが悪魔へ向かって魔法を使うが、悪魔は笑いながら避けている。
悪魔「そんなんじゃ全然当たらないぜ。」
そう言って悪魔も攻撃をしてきた。
アルド「みんな行くぞ。」
こうして悪魔とアルド達は戦うことになった。しかし悪魔になかなか攻撃が当たらない。それどころかアルド達ばかり攻撃を受けていた。
アルド「くそっ。あいつ飛び回ってる上に動きが早くてどこから攻撃してるか分からないぞ。」
ハルカ「すいません。もう少しだけ耐えてもらえますか。私があの悪魔の動きを止めるので。」
そう言うとハルカは戦線から離脱し後ろで何か呪文を詠唱し始めた。
アルド達がそろそろ保たなくなってきた頃、ハルカがやっと詠唱を終えた。
ハルカの方を見ると姿が変わっていた。全身白い服に変わっており、白い羽が生えていた。
ハルカ?「アルド達ありがとう。もう大丈夫よ。」
そう言うとハルカは悪魔へ向かって杖を一振りした。
すると自由に飛び回っていた悪魔の動きがピタリと止まった。
悪魔「くそっ!動けない。お前何をした。」
ハルカ?「あなたをまた封印するのよ。」
悪魔「封印だと?魔女ごときに俺様が封印されるわけないだろう。」
ハルカ?「かわいそうな悪魔ね。でもそれが事実よ。さようなら。」
悪魔「くそっ。いやだ戻りたくない…。」
そう言うと手に隠し持っていた何かをハルカ目掛けて投げた。
しかし、それはハルカに当たる直前で軌道を変えた。
倒れていたヒイロが、いつの間にか立ち上がり魔法を使い軌道を逸らしたようだ。
ハルカ?「!?ではまたな。悪魔の子よ。」
そう言うと悪魔は消え代わりに1冊の本が地面へと落下した。
それと同時にハルカも地面へと倒れた。
アルド「ハルカ大丈夫か。」
ハルカ「えぇなんとか…。でもごめんしばらくは動けないわ。」
そういってハルカは目を閉じた。
アルド達はハルカを床に寝かせると。ヒイロの元へと言った。
アルド「おい。あんた大丈夫か。」
ヒイロ「あぁ。少し傷を負ってはいるが致命傷ではない。それよりわしの弟子達が迷惑をかけたようですまんな。」
アルド「困ったときはお互い様だからな。何より無事でよかったよ。」
数週間後
ハルカはアルドを訪れた。
ハルカ「アルドさんありがとうございました。無事ヒイロ様もリリエラも怪我が回復しました。リリエラに関しては、悪魔に乗っ取られていた時の記憶の方が一部ないみたいですが、自分の弱さが引き起こした事件だと言うことを理解し、今は反省しております。ヒイロ様も魔女の復興、そしてこれからのことをだいぶ悩んでいらっしゃるみたいですが、近いうちに人間と共存できる未来があると思います。」
アルド「そうか。それは楽しみだな。」
ハルカ「はい。」
アルド「ところで、悪魔を封印した時、様子がおかしかったがあの時どう言う状況だったんだ?」
ハルカ「あの時はですね。一時的に天使と契約を結び、天使に私の体を貸していました。だから正直どうやって封印したのかは私自身知らないんですよね。」
アルド「そっかぁ。悪魔と天使か…。」
ハルカ「私はこれからヒイロ様達とは過ごさず、今まで通り旅を続けようと思います。だから困ったら私をいつでも呼んでくださいね。これお渡ししておきますので困ったら、それに向かって話しかけてください。」
アルド「これはなんだ?」
ハルカ「それは私の魔力が込められた水晶石です。」
アルド「そうか。」
ハルカ「それじゃあまたいつか。」
魔女と人間の絆の物語 白雪凛(一般用)/風凛蘭(BL用) @shirayukirin
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