第6話

話をしている間に目的地「霧の村」へ到着。

村につくとリリエラは外に立っていた小さい女の子に声を掛けた。リリエラが何か伝えると女の子は小さく頷いた。

リリエラ「ちょっと待ってね。えーっと、霧の村がここだから…。」

物物と何かを言い始めたリリエラ。

アルド「どうした何かあったのか。」

リリエラ「あぁ〜めんごめんご!今日の集合場所霧の村の隣の森らしいんだけど、どっちの方向かわかんなくて。」

リィカ「森は西側だと思いますので、あちらかと思いまス。」

リリエラ「まじ!?ありがと〜!!ちなみに地図だとこの辺なんだけどわかる?」

リィカ「承知デス。ご案内致しまス。」

リィカを先頭に森の中の目的地へと歩いていく。

目的の場所に着くと、そこのローブを被った何者かがいた。

リリエラ「ハルカ〜!おひさ〜!!」

ハルカ「リリエラちゃん!久しぶり…ってあれ?」

アルド「…ハルカ!?もしかして君がハルカなのか!?」

ハルカ「はい。2度目ですね。って言っても記憶ないと思うんですけど。」

アルド「ハルカは記憶あるってことは、ハルカが俺たちの記憶を消したのか。」

ハルカ「そうですね。私に関する記憶をあの時消去していなかったら、今頃魔女協会に尋問されて捕まっている可能性があったもので…。すいません…。」

リリエラ「まぁまぁ仕方ないって〜。」

アルド「そんな重大なことに関係していたのか。」

ハルカ「はい。あの時助けて頂けたから今の私があるんです。最後に直接お礼を言えていなかったのが心残りだったんです。本当にありがとうございました。」

アルド「正直何をした覚えてないから実感ないけど、あえて嬉しいよ。」

ハルカ「ありがとう。」

アルド「ちなみにあの時は何があったんだ?そしてこっちに戻ってくる時に紙があったけどそれも君からのものなのか。」

ハルカ「そうですね、あの時何があったのか説明します。私がまだユウマと名乗っていた幼い頃に、私は森で魔物に遭遇し、瀕死になっていました。そこにたまたまヒイロ様が通りかかり私に血を与え私を生かしてくれました。魔女の血を与えられた私は拒絶反応を示し高熱を出しました。その際に私の力が暴走しました。暴走した力は最初村を霧で覆いました。そしてヒイロ様の館から徐々に霧に毒が混ざってしまいました。ヒイロ様は私の力を止めるためにシェルターに入れ一時的に魔法が使えないようにしました。森・そして村の方に毒霧が広まらないようにヒイロ様は結界を張ることにしました。ただヒイロ様は元々呪いの魔女と呼ばれるくらい、呪い系の魔法に特化した魔女でした。そのためヒイロ様自身では毒霧を晴らすことはできませんでした。そのためヒイロ様は近くにいる魔女に毒霧を解除してもらおうと思いました。それが当時未来からやって来た私でした。

私は最初この村のことすら覚えておりませんでしたが、どこからか子供の泣き声が聞こえていました。そこで私は結界の中をくまなく調べました。すると子供ではなく黒マントの方が私に話しかけに来ました。そこで私は外の世界に何かあるんだと思いました。私は結界をとりあえず壊し、外の世界を見てみることにしましたが、結界の外は毒に覆われて何も見えませんでした。仕方がないので私は毒の種類を分析し、無効薬を作っていました。そんな矢先アルドさん達が結界の中にやって来ました。アルドさんとマリエルさんには毒霧の無効薬の材料集めを手伝って頂き、一緒に結界の外側にあったヒイロ様の館へ行きました。ヒイロ様の館に入り過去の私にあった私は全ての記憶を取り戻しました。自分が元は人間であること。ヒイロ様に助けてもらったこと。そしてヒイロ様の身に危険が及んでいること。

本来魔女は人間に血を与えるのは禁忌となっています。また霧の村に甚大な被害を出してしまったため、魔女協会幹部も決断が早くヒイロ様を拘束することに決めました。私達はヒイロ様を救うために、ヒイロ様の元へと向かいました。しかし、ヒイロ様は全て見透かしておりました。私はヒイロ様に隠し部屋に隠れているよう言われました。魔女協会の方々が到着され、ヒイロ様と戦った後、アルドさん達はヒイロ様に催眠魔法にかけられてしましました。ヒイロ様が魔女協会に連れて行かれた後私は、毒霧を無効にし張られていた結界を全部壊し、未来から人々を記憶を消去し未来へ戻しました。そして私は小さなユウマを連れてヒイロ様と仲の良いリリエラを頼ることになりました。」

リリエラ「うう〜なが〜い!!やっと終わった?」

ハルカ「ごめんね。リリエラ。」

リリエラ「まぁというわけで、これからヒイロ様を助けに行くわけなんだよね。」

ハルカ「私がヒイロ様と別れる直前にヒイロ様に指輪を嵌めたので、ヒイロ様が指輪を今もつけているなら、近くへ行けば見つけることができます。」

アルド「2人はヒイロを探すために魔女協会に乗り込むつもりなのか。」

サイラス「魔女協会…。魔法とはなかなか厄介でござるな。」

エイミ「ヒイロ様って人を助けてどうするつもりなの。助け出せたとして、その後魔女協会から狙われ続けるんじゃないの?」

ハルカ「…。確かにヒイロ様は禁忌を犯しました。しかし私からしたら命の恩人なんです。それだけで彼女を助ける理由になります。」

リリエラ「ヒイロ様は呪いの魔女ですが。それはあくまでも呪い系の魔法が得意というだけで、ヒイロ様は誰かを呪うために力を使ったことはありません。」

アルド「そうか。リリエラにも力を貸すって約束したし、ハルカにも世話になったみたいだから、ヒイロ様を助けることには協力するよ。」

リリエラ「ありがと〜!それじゃあハルハル〜準備しよー。」

ハルカ「えぇ。」


一行は森の中にある、ハルカの屋敷の中へと向かう。

ハルカ「魔女協会に行くのは明日の0:00です。魔女の方々はワルプルギスに参加をする予定なので、魔女協会の建物にいる人はだいぶ限られると思います。夕飯と寝れる場所は用意してあるので、アルドさん達は明日まで休息してください。私とリリエラは最終準備があるので。」


翌日の深夜になり、アルド達はハルカとリリエラの元に集まった。

リリエラ「よしじゃあアルド達は小さくなってもらうよ〜。」

アルド「あぁ、よろしく。…って俺ら小さくなるのか。」

リリエラ「うん。さすがに魔女協会に行くのに大人数だと目立っちゃうからね〜。一旦この小瓶の中に入ってもらって、魔女協会についたら元の大きさに戻すからさ。副作用とかも特に起きないから安心して!」

そういうとリリエラはアルド達を小さくし小瓶へと入れた。ハルカとリリエラはホウキに乗り空へと舞い上がった。

ハルカ「リリエラ。ありがとうね。」

リリエラ「それはヒイロ様を無事救出できてからだよ!」

ハルカ「そうだね。でもありがとう。」

リリエラ「よぉ〜し!頑張るぞー!」


ハルカとリリエラは魔女協会がある天空城へ到着する。

リリエラは小瓶からアルド達を取り出すと元の大きさに戻す。

アルド「ここが魔女協会の本部か…。」

リリエラ「ごめん。急ぐよ。私についてきて。」

アルド達はリリエラに続き魔女協会の建物内へ進入。

しかし建物に入り込んだ瞬間警報がなり、敵が現れる。

リリエラ「まぁ予定通りだねぇ〜。私たちで敵はなんとかするから、ハルカはヒイロ様の場所探して!」

ハルカ「わかった。」

アルド達は敵を迫り来る敵を倒す。集まった敵を全部倒す。

ハルカ「見つけた。まだだいぶ遠いようだけど、反応があるわ。」

そういうとハルカは何もない壁の前で止まった。

ハルカ「ここに地下への隠し通路があるみたいだわ。でもぱっと見何もなさそうね。」

リリエラ「壁のどこかに何か書かれていない?」

ハルカ「う〜ん。あっ!ここ何か書いてありそう。えーっと…。」

リィカ「文字の読解なら私にお任せ下サイ。」

??「おいっ!そこで何をしておる。」

リリエラ「やばっ…。リィカ以外のみんなちょっと力貸してね。」

暗闇の中そこに立っていたのは、魔女協会幹部の1人である“テイラー”だった。

テイラー「リリエラか。貴様何をしておる。」

リリエラ「テイラーさんこそどうされたんですか。本日のワルプルギス参加されなくていいんですか。」

テイラー「っふ。そっちが本性か。そんなのお前には関係ないね。」

リリエラ「私達ここで時間潰してる場合じゃないので、先に行かせていただきますね。」

テイラー「そんなことはさせない。」


リリエラ達とテイラーの戦闘が始まる。

テイラー「貴様が私に勝てるものか。」

リリエラ「それはやってみないとわからないじゃないですか。」

戦闘途中。

テイラー「中々しぶといな。これならどうだ。」

リリエラ「みんな少し下がってて。」

リリエラが詠唱すると、目の前に大きな光の円が現れる。

テイラーから赤黒い炎が出される。その炎が光の円にぶつかると激しい風がアルド達の方まで通り抜けた。

テイラー「チッ!しかしこれなら1人では耐えられんだろう。」

そういうと、テイラーは魔法でたくさんの炎を纏った獣を作り出した。

アルド達も前線に出て戦おうとするが、それをハルカが止めた。

ハルカ「さぁこっちも扉開けられたわ。アルド達は先に降ってて、リリエラ援護するからさ早く終わらせちゃって。」

リリエラ「はいはーい!テイラーごめんね〜。ちょっとだけ我慢してね。」

そういうと炎の獣とリリエラの周辺は黒い霧に覆われた。その間にリリエラは魔法でテイラーを拘束した。ハルカが黒い霧を消すと魔法で作り出していた獣達が消えていた。

テイラー「貴様ふざけるなよ。」

リリエラ「魔法の力封印しただけじゃん。他に何もしないからさ。大人しくしってね。」

ハルカ「じゃあ行くわよ。」

そう言ってアルド達の待つ階下へ階段を降り始めた。しかしまだヒイロへの反応は薄かった。

ハルカ「この階じゃないわ。もっと下に続く道があるはずだわ。」

そういうと一同は階下へ続く階段を探し進んでいく。地下では幽霊型のお化けや警備兵がいるので倒しながら進む。

地下2階・3階とどんどん進んでいく。

ハルカ「だいぶ反応が近くなってきたわ。」

地下4階へと続く階段を降りるとそこには大きな扉が1つあるだけだった。

ハルカ「ここね。」

リリエラ「まさか地下にこんな場所が隠されているなんて〜。すっごいね〜。」

アルド「この扉も何か魔法とかかっているのか。」

ハルカ「いえ、ここには何もかかっていないですね。さすがにここまでくる人がいないからなのかな。」

リリエラ「まぁまぁ早く行こ行こー。」

ハルカ「そうね。」

そういうとハルカは大きな深呼吸をし大きな扉を開けた。

すると大きな広間があり。中にはヒイロがいた。

ハルカ「ヒイロ様」

ハルカはそう言ってヒイロへ向かって走り出した。

ハルカ「ヒイロ様。ずっとお会いしたかったです。無事で何よりです。」

ヒイロ「帰れ。」

ハルカ「えっ!?」

ヒイロ「帰れと言っているんだ。ここはお前達がいていい場所ではない。」

ハルカ「どうして?私達はヒイロ様を助けに来たんです。もしかして魔法とかでここから出れない制約とかあるんですか?」

ヒイロ「…。」

リリエラ「ヒイロ様…。」

リリエラもヒイロの方へと近づいていく。

リリエラ「ヒイロ様この度は長期間のお勤めご苦労様でした。」

ヒイロ「あぁリリエラか。ご苦労。」

ハルカ「…。」

コホンコホンという咳払いが聞こえテイラーが話し始めた。

テイラー「えーっと。もしかしてそこの子とあなた達はヒイロ様がどうしてここにいるのか知らないのかな?」

アルド「どういうことだ。」

テイラー「ヒイロ様は、最古の魔女の最後の血縁者で現魔女の中のトップよ。」

ハルカ「えっ…。だってヒイロ様あの時禁忌を犯したから、魔女の人達に連れて行かれたんじゃ…。」

ヒイロ「リリエラ。お主はまた嘘を教えたんだな。」

リリエラ「テヘ!」

ハルカ「それじゃあヒイロ様は何故こんなところにいるの?あの時魔女協会の人に捕まったわけじゃないなら、なんでこんな魔女協会の奥底にいるの?」

ヒイロ「…。そうじゃな。わしがお主を助けた時にはすでにわしが魔女界のトップになることは決まっていたんじゃ。当分この場所から出られなくなることがわかっていたから、その前に人間界で悠々自適に暮らそうと思っていたんじゃ。まぁいうてもあの森に住んでいたというよりは、わしの館を魔法であの森の一部につなげただけなんじゃがな。」

ハルカ「…。」

ヒイロ「で、今どうしてここにいるかと言うとな。魔女のトップになるためには魔女協会から出された試練をクリアしないといけなくてな…。それが先程やっと終わったところなんじゃよ。」

ハルカ「どうして私が乗り込むこのタイミングで終わるの?」

ヒイロ「それは簡単じゃな。最後の試練はその扉を誰かに開けてもらうことだからじゃ。まぁ開けられるのは魔女以外なんだが、お主もともと人間だった故開けられたんじゃろうな。それでユウマ…いや今はハルカじゃったか。わしに嵌めたこの指輪を外してはくれないだろうか。いろいろ試したんだが外すことができなくてのぉ。」

ハルカ「それを外して何かするつもりなんですか?」

ヒイロ「わしは魔女会のトップとなった今、他の魔女達より力が弱いんじゃ示しがつかんからな。」

ハルカ「本当にそれだけですか?」

リリエラ「ハルハル〜そんなに睨まないであげてよ〜。騙しちゃったのはごめんだけどさ〜。」

テイラー「貴様っ!」

リリエラ「何?ちょーうざいんだけど。外野は黙っててよ。静かにできないなら殺すよ。」

ヒイロ「こらこらリリエラやめんか。お主の悪い癖まだ治っておらんかったか。さすがに人間を殺してないだろうな。」

リリエラ「えっ〜どうだったかなぁ〜?でも人間界では魔女の良さをちゃんと広めてきたんだよぉ〜。もっと褒めてくれてもいいじゃん。ねぇアルド達もそう思うでしょ?」

アルド「…。お前達の目的はなんなんだ?ハルカの心を弄んで楽しいか。」

リリエラ「えぇ〜アルドっち怖〜い。」

リリエラ「私の目的はヒイロ様の試練を終わらせて、現魔女会のトップにすること。そして人間界の支配だよ。ってことで悪いんだけど、アルドっち達には消えてもらうよ。」

ハルカ「そうはさせない。」

ハルカはアルド達とリリエラの間に立つと、詠唱を始めた。

ハルカ「ごめん。一旦ここから脱出するよ。」

リリエラ「あぁ〜逃げられちゃったか。テイラーまで連れて行かれちゃったけど、強くないし大丈夫か〜。そんなことよりヒイロ様改めて就任おめでとうございま〜す。」

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