第7話 北宿ゴールデン街
俺たち一同は、ここ酒屋が募る北宿ゴールデン街で新鮮な魚と酒を豪遊していた。
「ひゃー、なかなか物騒な事さえ無ければ異世界もいいもんじゃないか。」
すっかり異世界召喚の緊張も解けた俺は異世界の食事と酒を堪能していた。特に北宿ゴールデン街は魚の名産地という事だけあって刺身が抜群に美味いのだ。
どんな魚か現物を見たら絶対気持ち悪くなる事は想像できていたので、そこは気にせずに食を楽しんだ。
「あのー、イーロン様ー?」
ハートサブレが聞いてきた。
「魔獣からは逃れましたが、討伐できてませんよ?」
「ああ、確かにな。倒しちゃいなかったな?」
俺もどうしたものかと考えてはいたものの、今夜は酔いたいのだ。
「まあ、王国には今のところ攻めてきてないようじゃのう。」
魔導士べルルが水晶玉で王国の様子を見る。
「俺の予想は、魔獣の狙いはハートサブレなんだよ。だから、ハートサブレのいない王国は狙ってこない。」
「イーロン様!それでは、この街が危険じゃないですか!!」
ま、普通に考えればそうだろう。だが、俺の小説「空を感じて」の第2話では主人公の飯田源次と逃避行中の鎌倉リカが金沢でのんびり過ごしている時に追っては来ないのだ。
動きがあるとしたら、第6話から物語が急変する金沢総合病院に源次が運ばれてからだ。そこで鎌倉リカは婚約者に捕まってしまい、源次と引き離される。
ん?ちょっと待てよ。イーロンこと、俺がつまり源次の経緯を辿るという事は…。
「イーロン様!どうしました?急に顔色が悪いようですけど??」
俺は持っていたフォークを床に落とし、その場で崩れ落ちた。
「イーロン様!イーロン様!イーロン様ーーーー!!」
そう飯田源次は末期の癌、余命1ヶ月だったのだ…。
そんなに異世界がいいのかよ ケツカイシ @ketsukaishi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。そんなに異世界がいいのかよの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます