事件編 幕間3

 『イキノコリ』は白神村の後方にある山林から、じっとこの廃村を見据えていた。

 すでに三人が殺害された。今、あの村上家には七人の人間がいるはずである。

 『イキノコリ』は手に持っている手斧を見た。その手斧に付着していた血が雨で流されていく。あの惨劇の際に付着したものだろう。

 再び悪夢は始まってしまった。十年前と同じである。この村の殺人は、皆殺しになるまで止まりはしない。十年前に経験した悪夢が、嫌でも脳裏によみがえってくる。

 雷鳴が鳴り響く中、『イキノコリ』は死に近い場所にあるこの村を見下ろす。

 あと何人死んでいくのか。そんな事を考えながら。

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