第3話 千早ちゃんは、俺が守る

 その日の午後からの授業はずっと上の空だった。

まぁ授業っていうか学年リクレーションだったけど。

そこでもやっぱり如月君と会った。

上の空だった私とは違ってしっかり先生の話を聞いていた。

なんであそこまでしといて冷静でいられるんだ…

あ、ダメダメ。集中しなきゃ…


 キーンコーンカーンコーン


 放課後、帰ろうとしてると

「ちーはーやーちゃん。一緒にかーえろー」

こいつはまた来たのか…わざわざうちのクラスにまで来て…


てかクラスがザワついた気が…まぁいいか。

「いえ、結構です。1人で帰るので」

とキッパリと断った。のに、ついてきた。

「なんでついてくるんですか。」

「え、千早ちゃん可愛いから変な虫がつかないようにだよ〜」

変な虫ってなんだよ…

と思ってると天音は友達に見つかって友達と話していた。

『如月君ってあんな風に話すんだ…』

なんて思っていたら急に、見るからにチャラい男子大学生(多分)に声をかけられた。

「そこの君〜可愛いね〜ちょっとお茶しない?」

と言われた。いわゆるナンパである。

「いえ、結構です。」

そう言いそこを立ち去ろうとしたが、

「ちょっと〜つれないよ〜」

といい腕を掴んできた。天音よりも力が強い。振り払えない。怖い。どうしよう。と思っていたら「ちょっとお兄さん?僕のものに…何してんの?」

天音だ。

「如月…君…?」

普段の天音からは想像できないほど怖い顔をしている。

「とりあえずその手、離して。」

ナンパ男もそんな天音に圧迫されたのかすぐに手を離した。

「ほら、こっちおいで。」

と言われたから天音の元に小走りで行く。

 なんで天音はあんなに怒っているんだろうか…なんて考えていると

「で、お兄さん。この子に手を出したってことは僕とやり合う覚悟が出来てるってこと だよね」「いえ…そのあの…ご、ごめんなさぁぁぁぁい!!」

あ、逃げた…

「あの…如月…君…?」

「千早ちゃん!大丈夫?あの男に何もされてない?」

「は、はい…大丈夫です」

「はあぁ〜…良かったぁ…」

「な、なんであんなに怒っていたの…?」

「なんでって…千早ちゃんが危ない目に合わされてたんだよ。怒らないわけないじゃん!」

「あの…ありがとうございます。」

「千早ちゃんが無事なら良かったよ…え!?」

「千早…ちゃん?どうして泣いてるの?」「え…あれ、なんで私…泣いてるの…」

「ちょっと、カフェで休もっか。」

「はい…」

  〜カフェにて〜

「いらっしゃいませ〜何に致しますか〜?」「ブラックコーヒーと…千早ちゃん、何がいい?」

「あ、カフェオレ…ホットで…」

「はい、かしこまりました。」

「大丈夫?千早ちゃん。」

「はい…大丈夫…です…」

しばらく沈黙が続いた。

「お待たせしました。ブラックコーヒーとカフェオレのホットでざいます。」

「あ、ありがとうございます。」

「千早ちゃん、大丈夫?はい、カフェオレ」

と天音はカフェオレを渡してくれた

「ありがとう…ございます…」

とりあえずカフェオレを飲む。

暖かくて美味しい…

 安心してポツポツと話し始める

「絡まれて…腕、掴まれて…振り払えなくて、怖くて…如月君が助けてくれて安心して…ちょっと、泣いちゃいました…」

ちょっと恥ずかしかった…

「そっ…か…ありがとう…僕、もっと千早ちゃんを安心させてあげれるようにするね。」

「如月君…こんなにかっこよかったけ?」

「え、僕元からこんなんだよ?」

「ふふっ」

「それくらい笑えるようになったならもう大丈夫だね。でも、危ないから家の近くまで送ってくよ」

「あ、ありがとうございます…でも、私は電車乗って帰るので…」

「僕と千早ちゃん降りる駅多分一緒だから。それにナンパの次に痴漢なんてされたらたまったもんじゃないからね」

ぐうの音も出なかった。

  〜送ってもらってる道中にて〜

「あの…如月君。今だから聞くんですけど…」

「どうしたの?」

「なんで…初対面であんな…キ、キス…とかしたんですか…?」

「え?千早ちゃんが可愛かったから。」

 天音はこう即答してきた。

「可愛かったからって… え、あの…可愛かったら誰にでもこんなことしてるんですか?」

「え、そんな訳ないじゃん。千早ちゃんだけだよ。」

そうキッパリ言われて私の顔は真っ赤に染った。「あ、赤くなってる〜可愛い〜」

「あ、赤くなってません!」

「千早ちゃん…本当に覚えてないんだ…」

天音は小さく呟いていた。

  〜千早の家〜

「ただいま〜」やっと家に帰ってこれた。

「千早。おかえりなさい。」

「ただいま、お母さん」

「学校、どうだった?」

「別に普通〜」

といつもの会話を終え2階の自室に行く。

「あれ、お兄いたんだ。」

部屋からお兄がでてきた

「よぉ、おかえり千早。」

と言いながら私を抱きしめる。

「ちょっと、帰ってきて早々抱きしめないでよ」

と言うとお兄は私の耳を触ってきた。

「そんな酷いこと言う妹にはお仕置だー」

笑っている。

「ちょっと…やめ…お兄…」

気持ちよくなっちゃダメ…今日はもう疲れてるんだから。

「お?なになに〜気持ちいいの?声出ちゃう?出ちゃう?」

「あーもう!お兄離して!」

 なんとか離れられた。

「ごめんごめん、そんなに怒るなよ〜…明日ふわっふわパン作ってあげるから許して?」

「許す。」

私は甘すぎる。お兄とのスキンシップ?

を終えて部屋に入る。

『今日は疲れた…あーもう眠い…寝よ…シャワーは朝浴びればいっか。』

と思い

「おかーさーん!今日ご飯いらないー!」

と大声で叫ぶ

「えー?どうしてー?」

と返ってくる

「今日もう眠いから寝るー!」

と返すと返事は返ってこなかった。ということは大丈夫ってことだなと思い眠りについた…


  〜天音の家〜

「ただいま〜…って誰もいないわ。俺一人暮らしだし。」にしても今日も千早ちゃん可愛かったな〜

…でも、あのナンパ男はムカついたな。

それでも千早ちゃんが無事でよかった…。

もう千早ちゃんは危ない目にはあわせない…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

メガネをかけた変なやつ @Kira_2525

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ