第18話 見張りの見返りは
「結局分からなかったね。桂君は反対に嬉しそうだったけど。」
桂にカードの件を聞きにいったら、そんな事はさておき、松永との事がどうやら清算されたらしく、聞きにきた女子にも説明出来るので良かったと、大いに喜んでいた。
二組的にも桂がフリーになった為、これで戦えるとやっきになっており、情報を流そうとしない。
よって、偽カードの出所は分からず、他のクラスにも出回っているのかさえも確認できない。
「いっそ、巨人達に夜に見張らせるかな。」
「それいいじゃん。来た時には入ってるから、夜もしくは朝早くだろ。」
「でも、どっちも無理な気がするけどな。夜は校舎に入れないし、朝早くだって、校舎が開くのはせいぜい、七時過ぎくらいじゃない?部活の朝練がある時間帯くらいからでしょ。そう思うと、カードをどうやって入れてるんだろうね?」
うーん、三人で知恵を絞るも何も出てこない。
「もしかして、お身内に敵がおいでなのでは?」
お茶をすすりながら、ノッポがゆったりと話しに割り込む。
「どういう事だよ。」
「クラスの人達の誰かが、帰り際に、箱に入れていくとか、もしくは、担任の薫子先生は定時までおられるのでしょうから、生徒が帰ってからでも入れられますけど。」
「クラスは分かんないけど、薫子先生は無いだろ。俺達の担任だぞ。」
確かに、クラス女子の中には、俺達以外のクラスを応援している子だっているだろう。
だけどさすがに、偽カードまで作って、陥れたいだろうか?
「女子は怖いからな。」
巨人がぶるぶる震えながら身もだえしているが、見ていて気持ち悪い。
「とにかく、後一日しかない。巨人、ノッポ、今日は学校に行って待機だ。箱に入れている奴を見たら、確認しろ。」
「ご褒美は?」
「チョコで。」
「モロゾフのチョコ、食べてみたい。」
「私は、虎屋の羊羹を食べてみたいです。」
「俺の小遣いで買えるわけないだろ。だいたい、ノッポ分は夏目に言え。」
「ノッポ、俺が一番うまいと思うのは、コンビニで売られているものだ。そこの羊羹を献上する。」
夏目の奴、抱き込むつもりだな。
「巨人、きのこの里、食べた事ないだろ。まじうまいから、今回はそれにして。」
巨人が一本指を立てる。
はて?
「たけのこの里も、プラスだ。」
最近こいつら、ネットを覚えた為、欲しい物が急増している。
まあ、ほぼ食べ物だけど。
「では、夏目様、お茶は緑茶でお願いします。」
「仕方ない、今回はそれで手を打つ。」
(生意気な)
(茶の味なんて、分からんだろ)
「まあ、今回は俺達が頑張ってやるよ。何せ、お前等じゃ、大きくて目立つもんな。」
「さようですな、おやつに何を持って行きましょうか?」
(おやつと、報酬おやつは違うんかい)
突っ込みを入れたいが、ここはぐぐっと我慢する。
「では、俺様を学校まで送ってくれ。」
上から目線の物言いに腹は立つが、今回は仕方ない。
俺と夏目は自転車を漕ぎ、二人を学校まで連れて行き、クラスの目ただない場所に、おやつ付きで置いてきたのだった。
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