朧月夜
朧月夜 作詞/高野辰之
菜の花畠に 入り日薄れ
見わたす山の端 霞ふかし
春風そよふく 空を見れば
夕月かかりて にほひ淡し
里わの
田中の小路を たどる人も
蛙のなくねも かねの音も
さながら霞める 朧月夜
✢✢✢
「
霞たなびく夕暮れ時、菜の花をほんのりと照らす空。見上げると空にかかる夕方の月。
「にほひ」は古文の世界では視覚を表し、「色合い」という意味があります。
和歌に焚きつけられたお香の匂い。その人の美しさや魅力が内部からあふれて漂う。今でいうフェロモンですね。
源氏物語では内在する美的性的魅力を「にほひ」と表現しています。視覚だけではとられ切れない魅力を、嗅覚が嗅ぎとるのでしょう。
話を朧月夜に戻します。
時間は夜へと流れます。朧月夜は三日月だと考えられています。春の三日月は横に寝ころんでいます。(ちなみに、秋の三日月は立っています)
昔の人は春の三日月を盃にたとえて「お酒がよく入る」と月見酒を楽しんだそう。
匂いや色、音さえ淡くかすむ春の宵。
どこか懐かしい春のにほひ。
高野辰之はこの他に「故郷」「紅葉」「春がきた」「春の小川」を作詞しました。
自然に対する優しいまなざしが感じられて、私の好きな作詞家の一人です。いつか長野県にある記念館に行ってみたいです。
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