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伸ばした手は。
「コペル」
掴んだ。
「ニクス。おはよう。どうしたの。こんなところで」
「コペル。コペル」
「なんで泣いてるの?」
涙が。
心を。
暖めていく。
「ここは?」
「環状道路。わたしも知らない、歩道みたいなところ」
「環状の歩道か。いいね。なんか、秘密の場所みたいで」
「コペル」
「ねえ、ニクス。わたしね、夢を見てたの。あなたが亀の神様でね。わたしが生け贄で閉じ込められた村人で。出会って、恋をするの」
「うん。うん」
「聞いてる?」
「聞いてるよ。聞いてる」
「くるしいんだけど。もうすこし、緩く抱きしめてよ」
「だめ。我慢して。あなたの心を融かしたいの」
「わかった。がまんする。それでね。わたしが教えた魔法で、あなたが亀からひとに変わるの。そしてね、火山を噴火させて、そしてそして」
「あなた以外みんな死んじゃうんでしょ?」
「そう。そうなの。それがかなしくて」
「大丈夫。ここにいるよ」
「夜の女神だもんね。夜はいつも、わたしのそばにいてくれる」
夜。遠くに、ネオンの光。星空。流れ星。
狼の吼える声が、聴こえる。
夢と幻想と環状の繋ぎ目⚓ 春嵐 @aiot3110
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