第2話

4年生といえば、就職活動と国試におわれる。

4月から早速就職活動がはじまった。いままで、他の大学生みたいに遊べないと不満を言っていた私であったが、この時だけは看護大学でよかった。と大いに感じることができた。それもそのはずで、他の大学の友達が「今日はインターン。明日は面接、そこで10社目。書類なら20社うけたよー。」なんて言っているが、看護学生の就職活動は違うからだ。


「結衣はどこの病院行くか決めたの?」

「んー、小児科で働きたい!までは決まってるんだけど、場所と福利厚生的にはここ!でも、給料はもう一個の方がいいんだよー。うん!ここにしよ!次の面接行ってくるわ!」

と、好きな条件を選び尽くし、次の面接にいきしっかりと内定をもらって帰ってきた。

こんな感じで、看護学生の就職活動とは行きたいとこを決めるだけで終わるのだ。

もちろん、私も例外ではなく、家から通える市民病院を選び、無事就職活動を終えた。

特に大した理由はなく実家から通えて、大きい病院であったからだ。


そんなこんなで月日は流れ私は10月を迎えた。

冬学期はまともに授業もなく、自主的に国試の勉強をする日々。私は1人で家で黙々と勉強ができるタイプではなかったことから、できる限り学校に行くことに決めていた。

これにはもう一つ理由があって、、

私の隣にはブレザーの男の子が1人。黙々と本を読んでいる。

そう、例の彼だ。もう、忙しい日々に危うく忘れそうになっていたが、好きな時に学校に行けるようになって、遅い電車に乗った際、偶然再開してしまった。

それからというもの、単純すぎる私はこの電車に乗ることに決めた。

もちろん結衣にはしっかりと「ストーカーなの?」

と。きかれてしまったが、しかしそうではない。危害を加えてなければ、学校に来るモチベーションになってるんだから、いいことだ。

でも、一つ気になっていることがある。とてつもなく大きなお世話なことであるが、いくら待って彼を囲む友達が電車に乗ることはなかった。

高校生にもいろんな事情があって、行き帰りを共にしなくなることなんて日常茶飯なのであろう。しかし、あんなにも楽しそうに話していたのに、1人で本を読む彼を見て少し悲しい気持ちになった。

そんなある日のことだった。マスクをしているから表情をしっかりと見ることはできないが、どことなく顔色が悪かった。

そして、気づいた時には彼の頭は私の肩にあった。

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僕の世界は君だった @irodori12

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