最終話

シオリと昨日の男友達が急ピッチで用意してくれた会場に行く。


夜空をモチーフにした星が輝くステキな飾りつけ。

ダンスをするためだけに用意された会場。

数時間でここまで用意してくれた三人に感謝する。


あとは来るか分からない元カレを待つだけ。


元カレは煙のようにつかめない人で着いて行くのに必死だった。

けど一緒に居ると心が休まって落ち着ける。

そんな彼から別れ話を切り出されたとき、心が音を立てて壊れていくのが分かった。


『私の事、嫌い? 』


『今も好きだよ。』


最後の優しさほど傷つけるものはない。

思い切り手放してくれた方が未練も残りにくいのに。


ずるずると一年が経ってしまい今だ。


会いたくて会いたくない人 No.1


無音で会場の中で待つ。

連絡はいまだにない。


さすがに昨日の今日で来るわけないし、怒っているだろう。

私だったら来ないかもしれない。


元カレの思い出がよみがえってくる。

やっぱり別れたくなかったな。


チクチクと心が痛いの我慢しながら待っていると足音が聞こえた。


扉がゆっくり開くと、元カレが立っていた。


元カレが入ってきたと同時に音楽が流れだす。

スローテンポのあのお別れソング。


無言で元カレは私の腰に手を置き、ゆっくり踊りだす。


なにも会話をしなくてもとても温かくなった。


これからまた別々の人生を歩むことになるけれど、今この一時だけ元カレのそばに居られる幸せを噛みしめた。

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すれ違いプロム 環流 虹向 @arasujigram

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