現代社会で日常的に起こっている事

白川津 中々

 物事の善し悪しというのは大変難しく、俺の頭では判別つかないのであった。


 Twitterを見れば目につく政府に対する是々非々。右左問わず交錯する主張。一方が正義の大義名分を掲げれば一方はそれを悪だと決め付け論争が巻き起こる。事態は収束の気配を見せる事なく、満たされず、渇きながら争い続ける餓鬼の修羅場を眺めている気分となり哀れに思う。


 政ばかりではない。有名人が不貞を働いたとか失言を吐いたとか、そんな通俗的な事柄においても人は自らの心の内を遺憾なく表明しているのである。


 こうした姿は、酩酊に似ている。


 酔っ払いの戯言だと思えば気にもならぬが言葉というのは力を持つもので、個人の発言に食ってかかる人達も多分に見受けられるのであるが、彼らもまた同じ立場で弁舌を振るっているのだからやはり酩酊者であり正気ではない。


 こうしてみると誰も彼もが狂人である気がしてきて大変恐ろしく感じる。だが、彼らの争いに対し対岸の火事を決め込んで眺めている俺自身もやはり酩酊しており、また、諍いに参加しない分低俗で下衆である事に気付かされる。結局のところ、人は皆どこかしら異常であり、だからこそ正常を求めて声を挙げたり、その様子を見て安堵したりするのだろう。同じ穴の狢の蠱毒は如何なる呪があるのか。百害あって一利なしな気もしなくもないが、それこそ、世の真理なのかもしれない。


 何が善くて何が悪いのか。考えても考えても導きは出ず、始末が悪い。生きるというのは不便なものだ。

 

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