ファンタジーロボットものについて、全く詳しくない立場から考察

 タイトルの通り、このジャンルに関してはほとんど触れて来なかった事を先に断っておきます。(※1)

 聖戦士ダンバイン、魔法騎士レイアース、魔装機神サイバスターのような「剣と魔法のあるファンタジー世界で巨大メカが戦う」話全般です。

 

●動力・エネルギーの問題をクリアしやすそう

 以前こちらで、巨大ロボットの動力について言及しましたが、https://kakuyomu.jp/works/16816452218321983797/episodes/16817330657374551217

 発電所に繋ぎっぱなしが嫌なら、ガンダムのように

小型核融合炉レベルのジェネレータを内蔵するしかないと言う事はお話ししました。 

 一方、魔法(魔力)のある世界であれば、その事実だけで解決出来て

 わざわざ強調するのは、言うまでもなく「魔法があれば何でもオッケー」と言う罠も怖いからであります。

 魔法でロボットを動かすと言う事は、魔法で核融合炉と同じ成果を出していると言う事です。

 魔法がどのようにして生じるのか(魔法のアイテムが必要なのか、魔力などのコストがかかるのか、生身の人間一人で出来るのか)は作品ごとに千差万別ですが、巨大ロボットを動かせてしまうほどの“魔力”とは、相当なものである筈です。

 

 リアル系ロボットに出てくるような、メガバズーカランチャーだとか巨体チェインガンだとかでも、現実の我々からすれば大スケールの兵器ではあるのですが、ここに魔力だとか精霊力だとかが加わると、更に派手な設定が実現しそうです。

 今回のコラムを書くに当たって、魔装機神について改めて調べてみたのですが、その作品に登場する(ネオ)グランゾンと言う機体の設定が凄まじく、

 

・自機の正面と遠くに居る敵機の周囲を繋ぐワームホールを展開して全周囲からビームを放つ(最大65535の目標を捕捉可能)

・マイクロブラックホールを放つ“ブラックホールクラスター”

・端的に言うと超新星爆発に相当するエネルギーをぶつける“縮退砲”

 

 と言う、トンでも武装ばかりです。

 理屈だけ見ると最早ファンタジーだから、と言う問題を超えている気もしますが。

 

●機体や武装のデザインが難しそう

 ……と言うのも、通常のロボットものと違って“魔法”と言うものが絡む以上、火炎放射器やレールガンなどの現代的な兵器を持たせると「魔法では駄目なのか?」と言う疑問が常につきまとうのでは、と思います。

 勿論、剣と魔法の世界で、ガンダムやアーマード・コアのようなリアル系ロボットが戦っても、それはそれでありなのかも知れませんが……強いて魔法文明と迎合しない理由は必要になるのかも知れません。

 逆に、エネルギーの系統を脇に置いたとしても、リアル系ロボットを構成する金属加工・駆動系の機関を製造or維持出来るハイファンタジー世界とはどんな文明なのか? と言う疑問も浮かびます。

 また、製造元が異世界であるにせよ地球からの持ち込みにせよ、ハイファンタジー世界にリアル系そのもののロボットを投入するとなると、浮いて見えるのでは、と思います。

 剣と魔法の世界を尊重したい場合、登場機体のデザインもファンタジーに寄せる事になるのでは、と思います。

 

●導入が異世界転移であるパターンが多そう

 冒頭で挙げたダンバイン、レイアース、魔装機神の三作品のいずれも現代日本人が異世界に転移してロボットのパイロットとなる話です。

 その他、私が知る限り、このジャンルはほとんど全てが異世界転移から始まっています。

 さしあたり考えられるのは、やはりハイファンタジー世界における巨大ロボットはある種の“異物”であり、その橋渡し役として転移してきた地球人をパイロットにする為なのかも知れません。

 巨大ロボットをゴーレムだの魔神だのと言ってしまえば、ファンタジー世界内でも完結出来そうな気はしないでもありませんが、隔たりがあるのは確かです。

 先ほども述べましたが、兵士が当たり前のように巨大ロボットを操縦している一方で、中世の生活を行っている文明と言うのはどうしても矛盾が出てしまいます。

 機械文明との親和性も高い現代人を“選ばれし者”に据えるのが、ファンタジーとロボットと言う相反するジャンルの融合をスマートに実現してくれるのかも知れません。

 

 さて、転移者と言う特別な存在がロボットを操縦する権限を持つとなると、エヴァンゲリオンやマジンガーZのような、数機だけの専用ワンオフ機による少数精鋭タイプの話が殆どとなるのでは無いでしょうか。

 ザクのような量産機が安定供給されている機動戦士ガンダムや、市販のパーツで自機を組み立てるアーマード・コアのような設定では“選ばれし者”の入り込む余地がありません。

 

(※1)

 ならどうしてわざわざ、明るくないジャンルに言及するんだ、と言う話ですが、次回執筆予定のアーマード・コアライクな小説の設定をこちらにしようか迷っているからです。

 本文にも書きましたが、異世界ロボットものは自ずとワンオフ機の少数精鋭型になりやすいようなので、ゲームの主役がプレイヤーの数だけ同居するVRMMOの世界観と果たして噛み合うのかどうか。

(あくまでもネットゲームなので、そう言う舞台設定だと言ってしまえばそんなものですが)

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