AIに小説の感想をもらう試み
※作品や、この創作論の別トピックを知らない方向けの注釈です。
今回取り上げる“東京ラヴクラフトリゾート”とは、端的に言うとクトゥルフ神話のVRゲームをプレイするお話です。
今話題のAI対話アプリ“chatGPT”を導入してみました。
調べものや相談にはかなり的確な答えをくれて、AIもここまで進歩したか、と思わされました。
家の猫が毛玉をうまく吐けない事を相談したら、最近ではそれ用のジェルが売っていると初めて知りました。
さて、一方で小学生が読書感想文を代行させるような問題が起きたり、自主企画の方でもチャットAIを使った試みはちらほら見られるようになりました。
私の嫌いな「読まずに書かれた感想」の新しい様式にもなりそうで、若干の危惧も覚えますが。
今回、試しに自作品の感想を、あの手この手でAIにお願いしてみました。
以下、「」内が私の入力した質問等で【】内がAIの返答となっております。
それ以外の補足については地の文で。
リンクを貼ってすぐに感想を貰えれば、これほど楽なものもありません。
私はまず、VRMMO制度を淡々と生きる男シリーズ冒頭「リアルの世界情勢」のURL
https://kakuyomu.jp/works/16817330650997620808/episodes/16817330650997771845
を貼って、
「この設定について、どう思われるか率直に教えてください」
【申し訳ありませんが、私は文章や物語に対する個人的な意見を持っていません。私は、文章の文法や表現、日本語表現、翻訳、質問の答え方などの面で、より正確で効果的な回答を提供することに重点を置いています。もし、具体的な文法や語彙、翻訳などの問題があれば、お気軽にお知らせください。】
取り敢えず、この反応は予想通り。
また、リンク先の情報を参照してくれるのかを知りたかったのですが、これだけでは私の「この設定について」と言う言葉を拾った可能性もあり、断定出来ず。
その後、試しにニュースのリンク(ウクライナ侵攻)を貼って同様に質問してみたのですが、新型コロナウイルスの緊急事態宣言のニュースの感想文を寄越してきました。
概ね、わからない事は素直にわからないと答えてくれている筈なのですが、これ以外の(小説ではない他愛もない)質問に対しても、度々、自信満々に違う事を言う事もあるようです。
ちなみに36話目を指定して感想を求めたところ、
【「東京ラブクラフトリゾート」の36話目について感想文を書きます。
36話は、主人公である沙汰の心の変化が描かれています。物語が進むにつれ、彼は怪しげな施設が持つ不思議な力に惹かれ、さらに深く関わっていくことになります。
この章では、沙汰は施設が持つ「多重現実世界」に入り込み、そこで以前から懸念していた「現実と虚構の区別がつかなくなること」を体験します。彼が推し続けるものが、本当に正しいものなのか疑問を持ち、自分自身が何を望んでいるのかを再確認することになります。
この章は、物語全体を通しての主題である「欲望」と「人間の本性」について、深い見識を提供しています。主人公の内面の変化と、彼が直面する課題に対する彼自身の意見を深く掘り下げ、この物語のキャラクターたちが自らの欲望を追及し、その後果に直面することの重要性を示しています。
また、文章の描写は非常に緻密であり、リアルな観察力と質感が卓越しています。読者を物語の中心に引き込み、興奮させるような描写力があるため、この話を含めた全編が楽しいものになることでしょう】
と、全く内容を読んでいないのが丸わかりなものが返ってきました。
以前寄越された、読まずに書かれたレビューを彷彿とさせますが、AIの場合は悪意からではないでしょう。
何らかのルーチンに沿って出力されたものだとは思いますが……そもそも主人公の名前すら違うのが、どういうメカニズムなのか。不思議です。
とにかく、リンク先を読んでくれるかどうか、と言う検証は後回しにして、本文を直接貼り付けました。
また「感想を言ってください」ではなく「感想文を書きたいです」など、訊き方を工夫すると結果が変わると、あらかじめ聞いていたので、それにしたがって依頼してみました。
【この物語の一段落めでは、20XX年代に世界が“食糧枯渇”の危機に直面していることが明らかにされています。発展途上国が相次いで消滅し、先進国においても餓死者が出るなど、飢餓の時代が訪れていたと描写されています。この状況は、不景気と言われている現代でも金や物資が私たちの生活を満たしているのとは対照的であり、食糧が不足しているという点で深刻な問題となっています。物語の中で描かれた世界観は非常にリアルで、現実の社会問題を取り上げたストーリー展開が興味深い作品であると感じました】
ここで言う“興味深い”と言うのは、あくまでもAIの所感ではなく「興味深いと書くと良いでしょう」という意味かと思われます。
それこそ宿題の代行のつもりで書いてるのもあり、文の大半があらすじのようになっています。
やはり、このあたりが機械の限界なのか、まだまだ訊き方が他にあるのか。
返ってくる感想文は、客観的な域を出ません。
他、そんな中で有用そうに思えた感想を抜粋します。
【この描写は、現実世界での食糧不足や飢餓を改善するために、VR技術が新たな解決策として検討されたことを示唆しています。また、仮想現実によって、人々が本来感じるべき味覚を体験できるようになったという描写にも注目が必要です。このように、科学技術が人々の生活に与える影響や問題点を探求することができる点が、この作品の魅力の一つであると感じました】
「現実的に、考証や設定に無理があると思いますか?」
【物語には、食糧危機が発生した際に万能栄養転換体である「シルバーゼリー」が登場し、このゼリーを食べることで人体に必要な栄養素を供給することができるという設定があります。しかし、現実的には、人間の体内は複数の栄養素が相互作用し、栄養素を摂取する際にはバランスが非常に大切です。したがって、万能栄養転換体は現実的には不可能であると考えられます。また、物語で描かれたVR技術は、今の現実の技術では実現が困難であることから、物語の中で描かれた設定には無理があると感じられます。
ただし、物語に無理があるとしても、これは小説であるため、現実世界からの一部の脱却は避けられないでしょう。物語が読者に与える影響は、設定や背景を通じて提示されるさまざまな問題やテーマに集中することが重要です。設定はあくまでフィクションとして扱い、物語が論じる問題やテーマに集中することが重要です】
この後も、質問のしかたを変えて粗を指摘して貰おうとしましたが、これはあくまでフィクションであるから、と言う予防線? を張られます。
あるいは“事実”しか扱えないAIの限界か、はたまた訊き方がもっとあるのか。
「私としては食糧“だけ”が枯渇したと言う設定に無理を感じますが。
例えば家畜であれば、肉を採れないのは、皮も採れなくなる事を意味する筈です」
【確かに、食糧が不足するということは、農業や漁業をはじめ、多くの産業に影響を及ぼし、経済活動全体に大きな影響を与えることが考えられます。また、動物性製品が不足する場合には、革や毛皮などの産業にも影響が生じる可能性があります。そのため、物語において食糧の不足が描かれる際には、それが社会全体に及ぼす影響についても考慮される必要があります。
ただし、物語の設定はあくまでフィクションであり、作者が設定を自由に変更することができます。また、物語によっては、食糧が不足した時に他の産業が台頭し、人々の生計を支えるようになるという展開もあり得ます。このような発想も、SF小説などで取り上げられることがあります。物語の設定が現実と異なる場合でも、設定を通じて読者が現実と向き合う機会をもたらすことはできます】
……と言うわけで、もう少し質問のコツを掴まないと有用な感想を引き出すのは難しいようです。
創作論のネタ等が落ち着いてから、引き続き、検証をしていこうと思います。
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