VRMMOもので“スキルコスト制”(MPの可視化)を採用してみた所感色々

 前回の書き忘れでもありますが。

 スキルコスト制を採用したのは、前回ご説明した、擬似的なターン制バトルの流れを作りたかったと言う動機ともう一つ、

 かねてより考えていた、MP的なリソースの残量を一目で分かるように書く手法を試してみたかった事情があります。

 この辺の考えは、かなり以前に当創作論にて、まんま“MP”と言う名のトピックで一度書いてありましたが、よくある、

「くっ! 後一歩の所で魔力切れか!」

 と言う展開にどうしても納得出来ない事にあります。

 その為、そのトピックの中では「MPに関しては数値化する意義が大いにある」との持論を書きました。

 

 今回、それを自分で実行してみた感想ですが。

 まず、主要人物の技は全て先に決めておいた方が、よりフェアだったかな? と思いました。

 と言うのも、新技(読者が初めて見る技)が出る度にコスト設定に作為を感じられるからです。

 コストが★3残った局面で★3の新技が出てくると都合が良いな、とは書いている本人ですら思ったくらいです。

 ある意味で先程挙げた「くっ、後一歩で魔力切れか!」と大差ないとも言えます。

 全ての技が出揃ってからは、ようやく“やりくり”らしきものを書いていて感じられましたが。(※1)

 

 狙い通りだったのは、所持しているスキルで人物の性格や考えを直感的に表現出来た事です。

 ★1~★9のコスト帯を満遍なく揃えてターン更新を円滑にしようとする、そつの無い人、

 高コストな技ばかりを好んで小回りの利かなくなった残念な人、

 自身は★1~★2の低コストを徹底し、同時に費用対効果を追究した人、

 パートナーの★8技を主軸にして戦う為に★2技を多く作った人、などなど。

 

 一番の狙いであった、コスト管理の駆け引きに関しては、終わってみれば先述の“MP”とは少しコンセプトがズレたかな? と思います。

 MPの場合、100単位の数字を(アイテムや休息で回復するまで)インターバル無しでやりくりする、長期的なリソース管理となります。

 しかし、今作のスキルコストや、参考元のサガスカにおけるBPシステムは、きっかり10の数字を毎ターン与えられ、使い切った時点ですぐに補充される、短期的なリソース管理となります。

(サガスカの場合は10に限らず、多少は前後しますが)

 つまり、少なくとも、気を付けるべきは瞬間的なガス欠のみで、魔力をダンジョン攻略や戦争の“資源”としてとらえたやりくりは表現出来ませんでした。

 また、主人公のパーティは、ターンの始めに「誰がどのコストのスキルを使うか」を擦り合わせる常駐パッシブスキル(言い換えれば、仲間全体の“コマンド選択”一覧表)で計画を立てているので、読み物として見やすくはなったものの、駆け引きの要素は薄くなってしまったかな? と言う所感です。

 当然、計画を立てた後、行動前にメンバーがやられるなど不測の事態も大いにあり得ますし、その際には生き残ったメンバーの機転が問われるのですが。

 また、ターンごとのスキル使用スケジュールは主人公パーティ固有のものであるため、たまに差し挟まれる他パーティの視点で差別化出来ていれば、と思っておりますが。


 あとは微細な事ではありますが、

 MP:374などと書くより、

 ★★★★★★★★★★

 の方が、直感的に残量は把握しやすかったかな? と。

 以前、この創作論や邪聖剣チェーンソーで述べた「150,000も150も同じ」と言う持論も込められています。

 

 結論、資源管理としてのMPは書けなかったものの、毎ターン★10で揃える為の連携はまずまず書けたかな? と。

 この作品も80,000文字程度の短期スパンであったので、今後同じタイトルのゲームをプレイする話を書く機会があれば、もう少し発展させられるかも知れません。

 

(※1)

 ちなみに、本人の性格が災いして★7~★9の大技しか持っていない魔術師LUNAルナを書いている時が、一番(良い意味で)コスト管理に頭を悩ませました。

 彼女が1ターン目に★7を使うのか、★9を使うのかによって他の仲間の初動が大きく影響されたのを感じました。

 また、無粋な事を言ってしまえば、普通、このゲームをプレイするなら皆が★1~★9のコスト帯を全てカバーする筈なので、そういう意味でも“物語”としては貢献してくれたと思います。

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