VRMMOもので“ターン制バトル”を採用してみた所感色々 後編

 若手とシニア~(若シニ)では、魔法や必殺技を使うためのコストはパーティ単位で共有されています。

 これは一律10ポイントが与えられ、(作中では★10と表現)

 パーティの誰かしらがスキルを使うと消費されます。

★★★★★★★★★★

 例えばパーティメンバーのAさんが、スキルコストの★を7つ消費する技を使った場合、パーティには★が3つ残ります。

★★★☆☆☆☆☆☆☆

 他にBさん、Cさん、Dさん、Eさん……パーティに何人いようと★3の範囲内でしか技が使えなくなります。

 Cさんが★3を使う、

 Cさんが★2を、Dさんが★1を使う、

 Cさん、Dさん、Eさんがそれぞれ★1ずつ使う、

 と言う選択肢に限られます。

 そして、パーティ内でコストが使い切られ、★0となった時点で「1ターンの経過」となります。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 その後、リアル時間で10秒のクールタイムを挟み、再びパーティには★10が補充され“次ターン”となります。

★★★★★★★★★★

 勿論、★0の10秒間は、一切の魔法、技、スキルが使です。

 走る、跳ぶ、転がる、手にした武器を振り回す、盾でブロックする、と言った「現実に準拠したあらゆる行動」を取るのは全くの自由です。

 当然、“必殺技”と称して、剣を手にグルグル回るのもノーコストで出来ます。

 ただし、“剣を手にグルグル回る”と言う“必殺技のスクリプト”を書いて、それをスキルとして使った場合は幾らかの★が消費されます。

(この場合、通常は剣を手にグルグル回る、と言うものにするでしょう。さもないと無意味なので)

 正確に言えば「パーティ単位でコストが共有されている」と言う部分よりも「★を使い切り、クールタイムの後に補充されるサイクル」と言うのが、今回目指した疑似ターン制バトルにとって重要な部分かと思われます。


 当然、パーティAとパーティBで対戦していると仮定して、

 パーティAにとっての“ターン”と、パーティBにとっての“ターン”は別個で動いている事になります。

 裏を返せば「★10を使い切らない限り、そのターンが終わらない=★が永久に補充されないし、敵パーティはそれでもお構いなしにターンを経過させている」事にもなります。

 また、若シニでは原則として、1ターンに保有出来る★は10ポイントときっちり決められています。

(★の最大値を減らす弱体化デバフスキルを喰らった場合は例外ですが)

 なおかつ、最も強力なスキルでも消費は★9と言うルールがあります。

 つまり、★10の状態からどんな技を使っても、必ず★1が残ってしまう。

 一見すると★10よりも★9の方がお得に思えますがと言い換えると、不便である事がわかる筈です。(※1)

 ★10を毎ターン連発できた方が、小回りは利かないまでも楽ですし、余りの★をどう消費するかに悩まされないだけ、連射も利きます。

 この「余った★の消費」と言う判断は、リアルタイムで求められるものです。

 

 この、パーティ共有コストの概念は、これまたスクエニのRPGなのですが、サガ・スカーレットグレイスを参考にしました。(※2)

 こちらには“通常攻撃”と言う概念が無く、必ずコストを消費する必要があり、また、ポイントを使い切る必要がありませんが。

 そのサガスカを更に遡ると、トレーディングカードゲームにおける“マナコスト”と言う概念にあるそうです。

 前回と今回の話をまとめると、

 

・普通に動く分には現実と同じように、不自由がない

・魔法や必殺技と言う、現実では出来ない行為にのみコストが消費される(そしてコストを消費する行動は、戦術的な重み・比重が非常に高い)

・コストを使い切り、10秒の待機時間を経て、再び★が補充される=これがリアルタイムVRゲームにおける“1ターン”である

 

 これが、今回私なりに考えた、ターン制VRゲームの形でした。

 無論、これもあくまで一例に過ぎません。


(※1)

 執筆中、かなり土壇場まで迷ったのが「1ターンで同じ人が複数回スキルを使って良いのか?」と言う事でした。

 結果的に、主人公が1ターンに二つの魔法を使った場面が存在する事となりました。

 理由としては、仲間が戦闘不能となって一人だけ生き残るなどした際、手持ちのスキルのコスト次第でターンが更新できなくなる可能性がある事、

(もっと言えば、一人パーティによるソロ活動が不可能になる可能性も込み)

 また、同じターン内で一人が二回動くよりも、二人がそれぞれに分担して動いた方が迅速、かつ、能率的な事の方が多い筈なので、ゲームバランスとしても問題ないと判断しました。

 正直な所、この戦闘システム自体、粗を探せばいくらでも見つかりそうではありますが。

(※2)

 完全な余談ですが、サガスカの戦闘システムは更に複雑で、

 与えられるコストは1ターン目から最大ではない

(1ターン目は7だけ与えられ、その次のターンには8が、その次は9が与えられる……などのターンごとの変化がある。また、初期コストや最大コストが幾つか&どうすれば保有コストが増えるのか、というルールはパーティが組んだ“陣形”で千差万別である)

 や、

 敵味方の誰かが倒れた時に、お互いの立ち位置によって、保有コストに有利・不利の補正がかかる、

 や、

 同じ技を使い込むと、そのコストが少しずつ安くなる、

 敵が使った特定の属性の技にのみ反応して発動する割り込み技、

 や、

 そのターンの敵のコマンド選択が可視化されている、(敢えて、敵の手の内が先に開示されている)

 など、多くの要素が絡みます。

 が、ゲームとしては非常に面白くても、小説でこのレベルの複雑さを表現すると却って読み苦しいものになるかと思います。

 実際、今回の作品における戦闘シーンは、かなりシンプルなルールに抑えたにも関わらず、極めて文量の嵩張るものとなりました。

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