VRMMOもので“ターン制バトル”を採用してみた所感色々 前編

 現実と瓜二つのVRゲームが実現した場合、恐らくRPGはリアルタイムで動くアクションゲームに近いものへと変化するであろう……と言うのが、目下のところ、私個人の見解です。

 事実、プレステ5など現代の最新機でも、グラフィックがリアルな作品ほどアクションRPGが主流になっているように見えます。

 さて、今回二作連続でVRゲームを書いてみて感じた事は「小説としてのVRゲームには、現実リアル世界との、はっきりとした差別化が必要である」と言う事です。

 さもないと、普通に異世界で生きる話と何が違うのかがわからなくなる・感じられなくなる筈だからです。

 

 そして私は、二作目の若手とシニア~(若シニ)において、


 リアルなアクションRPGによって業界が成熟した後、企業は他作品との差別化を試みる。

 その結果、反射神経や運動神経よりも、より戦術的な先読みを要求されるターン制バトルへと先祖返りしたタイトルが現れるだろう。


 と書きました。

 しかし、いざ、現実同然の景色の中でターン制バトルをやるとなると“かぶって叩いてじゃんけんぽん”のように、かなり格好のつかない絵面になるのではとも思いました。

 また、敵のターンに一切身動き出来ないと言うのも変な話ですし、窮屈かと思われます。

 ましてダメージで感じる痛みも完全再現されている世界なので、むざむざ殴られるのを待つようなゲームを敢えて選ぶプレイヤーもそうは居ないと思います。

 回避はどうするのか。盾や武器で弾くのか? その場に釘付けではあるが、多少身体を反らす事は出来るのか? ……と言う問題も出てきます。

 いずれにせよ、もっさりした動きの、端から見ても爽快感の無い戦闘になるでしょう。

(※無論、そうした設定を一概に否定するものではありません。私も詳しくはありませんが、攻守のはっきりしている野球は、現に古今東西で不朽の人気を誇るスポーツです)

 

 さて。

 今回、私がまず参考にしたのは初代プレイステーションのゲームであるファイナルファンタジー7、および、そのリメイク作(プレステ4)です。

 元々、ファミコンから始まったファイナルファンタジーシリーズでは、ターン制バトルとも言えますが「戦闘中、ゲージが満タンになったキャラクターから、攻撃や魔法などの行動が出来る」と言う点でドラクエとは差別化されていました。

 ドラクエやウィザードリィの場合、どれだけ素早くても1ターンに出来る事は一つだけと決まっていました。

 つまり、黎明期のFFの場合、素早いキャラクターほど先に動けるのは変わり無いものの、行動は厳密には順不同で行われます。

 ゲージの溜まりが速い者は、他の誰かが動く前に二回動く事もあり得ます。

 無論、補助バフ魔法など、何らかの要因でゲージの速さが途中で変われば、行動順にも影響が出ます。

 また、ゲージが溜まってからコマンドを選択している間にも、他の仲間や敵のゲージがリアルタイムで溜まっていくので、ある程度は素早い判断を要求されます。(大抵のシリーズで、待ってもらえる設定にも変えられますが)

 そして。

 原作の時点でFF7が業界にもたらした、映像美と革命的なグラフィック表現は有名ですが、初代(1997年)の時点ではファミコンから続く、この戦闘システムが踏襲されていました。

 しかし近年のリメイク作品では、更にグラフィックが進化し、実写も同然のクオリティになりました。

 すると、これまでのようなターン制バトルをそのまま採用するとなると、私が先程挙げた弊害が出て来たのでしょう。

 FF7のリメイク版は、戦場を自由に走り回り、リアルタイムで剣を素早く振るうアクション要素の強いものになりました。

 ……しかし。

 購入当初、アクションゲームのような感覚でプレイしていても、どうも戦闘がうまく行きませんでした。

 元々私はアクションが苦手であったので、単に下手なだけだろうと考えていました。

 しかし、ある時「FF7リメイクは」と言う見解を目にしてから、ゲームの見え方ががらりと変わりました。

 そう、確かにこの作品では魔法や必殺技、特殊なスキルを使うためにゲージを溜めなければなりません。

 通常攻撃を当てる等、何も消費しない“通常行動”を巧く立ち回る事で、このゲージの溜まりは格段に早くなります。

 そして、ダメージソースとしては魔法や技が圧倒的に重みがあり、通常攻撃はあくまでも、それらを円滑に使うためのゲージ溜めの行為。

 初代で3Dポリゴンのキャラクターが、ゲージが溜まるまで棒立ちだった時代から、リアルタイムに動き回ってゲージを溜める方式に進化した。

 しかし、本質的に、ファミコン時代から続くコマンド選択制である事は変わっていなかったのです。

 そういえば、初代FF7や、それ以前のFF6等スーパーファミコン時代の作品をプレイしていた時に、ゲージが溜まるまでボタンを無意味にガチャガチャさせてたな、と思い返しました。

 これはあくまでも、私の目にした一説に過ぎませんが、事実、この説を聞いてからは自分なりにFF7リメイクでの戦闘が格段に巧くなったと自負しております。

 

 そんなわけで、ターン制バトルの場合、各々の行動一回が及ぼす影響が、リアルタイムで動くゲームよりも重いと考えます。

 例えばただ剣を一太刀振るだけでも、リアルタイムのゲームでは何度も振り回す事になる一方、ターン制では一撃、ないしは数発で勝敗を決める事が多くあります。

「選んだ行動コマンドに、勝負を左右するだけの重みがある」

 つまり、未来のVRゲームなり、先述のFF7リメイクなり「1ターンとは、必殺技やスキルの選択である」とするのが、写実的な世界に於いてのリアルタイム要素との落とし所かな? と考えます。

 当然、だからと言って次に技を使えるようになるまで(FF7リメイクで言えばゲージが溜まるまで)棒立ちでいれば、たちまちやられてしまうので、“通常行動”もちゃんとしなければなりませんが。

 

 さて、次に浮かんだ課題は「何をもって1ターンとするか?」と言う事でしたが。

 FFの話をし過ぎたせいか長くなったので、次回に持ち越します。

 実際に作品を読んでくださった方であれば予想はついているでしょうけど「パーティ内で共有されるスキルコスト」のお話になります。

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