未来世界の“お年寄り”とは、自分よりも年下であると言う話

 世紀末スローライフを書き終えて間もなく、もう一作品、書き上げる事が出来ました。

「若手とシニアプレイヤーと厨二と暮らしやすいJRPG世界と ~VRMMO制度の世界を淡々と生きる男~」(以下、若シニ)

https://kakuyomu.jp/works/16817330652568484264

 

 タイトルに“シニアプレイヤー”とある通り、ご年配(50代)の仲間との関わりがテーマの一つとなっております。

 さて、このシリーズの時代設定は20XX年と誤魔化してはおりますが、仮に私が存命していたなら(最長で見積もって)100歳を超えているくらいの未来になります。

 つまり、私にとってこの老兵は「自分より一回り以上老いているのに、生年月日的には孫ほども後に生まれている」と言う事になります。

 未来世界を創作すると考えると、当たり前と言えば当たり前なのですが、意識しないと結構忘れがちにも思えます。

 

 さて、そこにはどんな、具体的なギャップがあるのか。

 まず、この老兵は私よりも感性や趣味嗜好が新しい筈だと言う事です。(ここでは、敢えて若いとは言いません)

 少なくとも、現実の私から見た実在のお年寄り……昭和世代の人達と同じ感性ではあり得ない筈です。

 ……これを書いている本人としても非常にややこしくなってきましたが。

 今回、題材となったVRゲームなどは丁度それを象徴しているのかも知れません。

 私達の親世代は、大半がテレビゲームを子供のおもちゃだと認識していました。

 そして私と言う“今の親世代”は、プレイステーション4だとか5だとかの次世代機で、ともすれば子供以上にゲームで遊んでいるとすら言えます。

 そんな中でVRゲームもちらほら出てきた近年。

 あくまでも私個人の話ですが、あれだけやり込んだスカイリムやフォールアウトがVR化したと言われても、いまいち手を出す気になれていません。

 これでも、そこまでヘビーなゲーマーでは無いのもありますが、現状で満足しているからです。

 そして、今回の若シニに出てくる老兵は、バリバリ現役でVRMMOをやり込んでいる。

 まさしく、一回り以上若い現在の私よりも流行の先を行っているのです。

 未来の老人=自分よりも年下の老人を書くと言うのは、かなりの難題だったりするのです。

 

 そんな中で、現代と、恐らく未来にも共通している老人らしさとは何か?

 一言で言えば“慢心”にあると考えます。

 より正確には、長い年月を経て積み重ねた成功体験に裏打ちされた“自信”と、それを根拠として若者を未熟と断じる傲慢さです。

 そして、この“自信”があってこそ、老兵と言うのは長年鍛えた達人技を使いこなす事が出来るのです。

 今回の若シニでは、何はなくともこの一点に気を付けました。

 正確な歳がバレてしまいそうな話ですが、私自身、そろそろ「仮に最速で結婚していたなら、親子になり得る歳の差」な新卒社員と出会いつつあります。

 幸いにして、今の所は真面目で優秀な後輩ばかりに恵まれましたが、やはりふとした時に「たるんどる!」と思ってしまう事も多々あります。

 しかしそれは、新卒の頃の私が昭和世代のご年配から頭ごなしに言われて、内心で「仕事の成果に直接関係ないだろ、チッ」と思っていた事と大差無かったりするのです。

 この記憶と実感があるから、まだ踏み留まれているのかも知れませんし……あるいは、老害にならず踏み留まれていると思っているのは私自身だけなのかも知れません。

 また聞き齧った程度の話ですが、太古の壁画にも「最近の若いもんは……」と言う記述があったとか。

 当然ですが、当時の“若いもん”は今や骨の欠片も残っていない事でしょう。

 

 “未来のご年配”を書いてみると、匙加減がシビアな分、ジャンル問わず老人キャラそのものの書き方が見えてくる気がしました。

 ガンダムに出てくる地球連邦政府の高官なんかも、どうしてそんな風になってしまったのか、昭和から進歩していないのか、何となくわかった気もします。

 偏屈な老人としての顔と、私よりも新しいであろう感性、そして中二病と言う世代を超えた共通文化をあれこれ組み合わせてみたら、結構満足の行く結果になったと感じました。

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