ダークファンタジーとは?
エルデンリングの世界の中心には、黄金に輝く大樹が根差しています。
ある程度拓けた場所であれば、世界の何処に居ても見上げる事が出来るくらいに遠大なものです。
ほとんど滅亡して廃墟ばかりとなった地上と、神々しい黄金樹の輝きが不思議とマッチして、より幻想的な空気感を感じられます。
エルデンリングもまた、ダークファンタジーに属するものだと思いますが、そんな世界観だからこそ、この黄金樹に照らされた情景が美しいのだろうと思います。
……と言う事を何となく考えていたのですが、自然とソウルシリーズをダークファンタジーであると無意識に認識していた自分にふと気付きます。
そもそも、ダークファンタジーとは何処から何処までがそうなのか。
最近、それを考えさせられる機会がありました。
と言うのも、自主企画でダークファンタジーを募集されているのを見て、邪聖剣チェーンソーで参加しようかどうか結構迷ったのです。
結果的に参加は見送ったのですが、その判断基準も自分で良く理解していないままではありました。
ダークファンタジーか? と訊かれると、書いた本人としては首を捻る程度に自信がありません。
少なくとも、その認識で企画に参加するべきでは無いでしょう。
軽く調べてみると、ダークファンタジーの定義には大きく二通りあるようです。
・拷問や処刑など、陰惨でハードな表現が多い。または退廃的な社会
・亡者や悪魔など、ゴシックホラー要素が強い事
荒れ果てた戦場跡に無数の剣が突き立てられ、兵士の亡骸が沢山転がっている……こんな感じの光景の占める割合が多ければ、ダークファンタジーと言って良いのでしょう。
ダークソウルくらい登場人物の悉くが(主人公すら)亡者状態の世界であるなら、ある種のポストアポカリプス(滅亡後の世界観)とも言えるかも知れません。
そこまで悲惨な状況でなくても、法整備の未熟な中世ならではの、サスペンス要素が強い世界観が多いのではないでしょうか。
そう考えると邪聖剣チェーンソー……と言うより大半の作品はダークファンタジーの条件を満たしているようにも思えます。
戦闘がある作品であれば、大抵は流血と人死にもセットで付いてきます。
夜道を歩けば盗賊や刺客にグサリとやられたり、やったりする事もあるでしょう。
逆に盗賊のアジトへ攻め入ったり、村が壊滅したり、誰かが獄死するようなエピソードもあるかも知れません。
誰かが生け贄にされたり、ゾンビや骸骨などのアンデッドモンスターが使役される場面も頻出要素でしょう。
邪聖剣チェーンも、これらの大半が網羅されていますし、主役からして人殺しです。
社会情勢的にも、一応の統率は取れているようでも、完全に支配階級の都合しか考えられていないディストピア世界であり、その支配階級と競合しない限りは殺人さえ容認されているような無法状態です。
傭兵はゴロツキ同然の送り狼であり、山賊・海賊は当たり前のように領主と手を結んでいる事でしょう。
勿論、これらの要素が偶のアクセントで出てくる程度なら“ダーク”の付かないファンタジーでもあり得るでしょう。
身も蓋も無い結論ですが、ジャンルというもの自体「書く側がそのつもりで書いているか」「読む側がそう受け取ったか」次第な所があります。
例え世界観的に無政府状態の死屍累々、夜な夜な死霊の闊歩する世界であっても、主役の視点で明るい草原をのんびり歩く場面が大半を占めていたなら、ダークファンタジーの定義からは外れるのでしょう。
邪聖剣チェーンソーについては、書き始めた当初は“ダーク”の付かないファンタジーのつもりでした。
地の文も(ブラックジョークではありますが)明るめのものにしてあります。
もしも先述のディストピア世界としての側面や、陰鬱な現実を強調したら、迷わずダークファンタジーを名乗っていたのだと思われます。
あるいは、何度も述べますように、ダークソウルは主人公も含めて誰も彼もが亡者の世界です。
勿論、美しいロケーションもあるにはありますが、基本的には屍まみれのダークファンタジーと言い切って構わない筈です。
しかしエルデンリングの場合、各々のプレイヤーが、黄金樹に照らされたフィールドが印象的だったのか、亡者のひしめくダンジョンや廃墟が印象的で黄金樹などそんなに見上げなかったのかにもよって、どの程度“ダーク”が付くのか、また変わってくるのかも知れません。
“ダーク”を付けたいにしろ、逆に付けたくないにしろ、かなりファジーな要素かと思われます。
強調度合いは意識した方が良いかも知れません。
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