サメ映画
近頃、サメがマイブームなので、カクヨム内で“サメ”で検索して見た所、予想以上の作品数がヒットしました。
全部が全部、サメがメインのパニックものとは限らないのでしょうけど、ちょっと驚きです。
パイオニアである“ジョーズ”が1975年に公開されて以降、サメ映画と言うものもまた、一つのテンプレートとして定着しました。
アイデア勝負で大ヒット作が生まれた時にありがちな、二匹目のどじょう狙い・雨後の筍的な粗製乱造の末に、サメ映画は良くも悪くも成長を遂げて行きました。
その背景には、背ビレを出しておけばそれらしくなる、演出面でのコストの低さが“質より量”を方針とする低予算製作会社と噛み合ってしまったと言う説もあります。
サメの恐ろしさと言うのは「実際にあり得る。明日は我が身かも」と言う、サイコサスペンスに近い生々しさにあると思います。
ゴジラやゾンビ、ジェイソンなんかは、理性の片隅で、現実には存在しない事がわかっています。
しかし、サメの場合、現実に事件・事故となっているケースもそれなりにあります。(※1)
後続の作品が面白いか否かの明暗は、やはりここを正しく理解しているかどうかにあるのかも知れません。
初代ジョーズ以降、サメ映画がヒットする事は無かったと言います。
しかし、それから20余年の時を経て大ヒットしたサメ映画が“ディープ・ブルー”でした。
研究所で改造されたサメ、と言う、一つ一つのモチーフは真新しいものではないにも関わらず「閉鎖空間で、人間並の知能を持つサメに狙われる」と言うオンリーワンの恐怖を示したのです。
二匹目のどじょう、と言う言葉には悪いイメージが付きがちですが、捕まえるのに(時には一匹目以上の)努力を要求される心構えがあれば、発想の切り口として正当なものではないかと。
私自身、なろう系に挑戦した経験から、それを感じました。
……しかし「とにかくサメを出さなきゃ」と言う、本末転倒なB級作品にも、侮れないものがあります。
ジョーズを祖とした「殺人サメによるパニックホラー」自体がそれ以上でもそれ以下でも無いため、差別化が非常に難しい所です。
何がなんでも殺人サメを出さねばならないと拘泥した結果、竜巻に飛ばされたサメが都市に降り注いで襲いかかる“シャークネード”だとか、サメの悪霊が水を伝ってテレポートしてくる“ゴーストシャーク”だとかの怪作が生まれ、それがかなりウケてしまった事実があります。
陸に居ても安心できない、サメの脅威。
普通に生きていたらまず口にする事がないであろうとんでもフレーズです。
偶発的なものかも知れませんが、先述のジョーズやディープブルーのような、パニックホラーとはまた違う“サメ・コメディ”とでも言うべき様式が生まれてしまったのでしょうか。
そして、その様式をパロディとした更なる様式が生まれた事は、実は無視できない事なのでは無いかと思います。
……これを書いていて「サメって何だっけ?」
とわからなくなってきました。
(※1)
ただし、サメが能動的に人を襲うと言うより、ダイバーを獲物と誤認した・刺激されたという方が正確な所らしいです。
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