人物も見た目が9割?
※今回の話には、人によっては不快な内容があると思います。
タイトルの通り、ルックスの良し悪しとは何か? と言う見解を独断で書いています。
ご注意下さい。
とりわけヒロインと言うものはルックスが良いものとして書かれるものですが、近頃、書きながら結構悩むようになりました。
特に過去の打ち切り作である「陰キャの
以前もどこかで書きましたが、この作品のヒロインである“七里”は、当初、太った体型をしています。
それが避難生活と魔物との死闘の中で絞られ、適正体重にまで痩せた時に「実は美人だった」と言うキャラクターをしていました。
それを知った途端に羽部リーダーが主人公と七里の間に割って入る事で、二人の築いてきた“本物のそれ”を踏みにじる悪辣さと、目先の欲望にしか飛び付けない浅ましさを書きました。しかも、それらには一切の“悪気”が無い事も。
さて。
この例を「私と言う作者が書いた」と言う観点から見ると「私も羽部と同じ事をしている」危険性が浮かんできます。
結局の所、私の認識はどう綺麗に言い繕おうが「適正な体重(+ちょっと細いor太い程度)の女性しか、主人公の恋愛対象たりえない」と言うものになります。
恐らく私は、七里を太った状態のままでは書き切らなかった事でしょう。(書き切ったと言うには、打ち切りエンドではありましたが)
また、人の外面しか見ず、自分の利益追求しか出来ない羽部リーダーを表現する為の“装置”としてすら利用しています。
勿論、主人公自体が彼女に惹かれたのは内面に対してであり、仮に体格が変わらなかったとしても結果は同じだったと言う“裏設定”はあります。
それでも結果的に、彼女が痩せた後に相思相愛となっているのが事実です。
結局の所、作者や読者のような実在の存在と、作中人物とは他人です。
例えそこにどんな自己投影や感情移入があろうと、「美しくなったヒロインを最終的に正義とした私」と「容姿なんか関係なく彼女を愛した主人公」とでは隔たりがあるのです。
ざまぁについて考察した時もそうなのですが、こうした物語と言うのは、ある程度他人事であった方が純粋に楽しめるのだと思います。
このギャップは、忘れかけた頃に効いてきます。
平均よりも細いor太い事に悩んでおられる方にとっては、不愉快な表現かもしれません。
かく言う私も、そんな完璧な体型ではありませんから、偉そうな事は言えません。
それでも「最大公約数的なヒロインの需要」として、実は避けられない問題では無いかな、と思います。
勿論、ここで言う“ヒロイン”を“ヒーロー”に言い換えても同じです。
女性とて、やはり最大公約数的なイケメンに主役を張って欲しいのでは無いでしょうか。
実際、恋愛関係で大切なのは見た目よりも内面です。
しかし、それは「ある程度以上親しくなった」と言う前提の上に成り立っています。
例えば、何の前情報もない初対面の相手が二人居たとして、どちらとよりお近づきになりたいか、と言う価値判断の材料はルックスしかありません。
そしてこれは、男女(あるいは同性同士の場合もありましょうが)お互い様の事です。
こう言う事を言っている私もまた、何処かで他所の女性から同じように値踏みされた事もある筈です。
私も、色々と迷走していた時期には合コンだとか、それなりに参加していましたし。
最大公約数的な美醜のみならず、好みの問題もあります。
私の場合は、髪をベリーショートにするなどの、男性的な属性の女性は、顔立ちがいくら美しくても異性としては惹かれません。
純粋な美しさに対しては、はっとさせられるのでしょうけれど。
結局、物語の登場人物には好みのルックスが求められます。
そんな中で、お互いの内面を愛する“真の関係”を書かねばならない。
とりわけライトノベルに寄せた作品を書くとき、そのジレンマの波は激しく感じるようになりました。
最近、方々で書きましたが私は“恋愛”のうち“恋”と“愛”には連続性がありつつも、全く異質なものと考えています。
「人はルックスでは無い」
この言葉、“恋”においては綺麗事です。
しかしそこから派生した“愛”においては、正しいのでは無いかと思います。
私の妻も、産後は若干かなり太ってしまいました。産後は仕方がないとは言え、気を抜いたらそうなると言うことは元々“逆七里”になる素地があったのでしょう。
だからと言って「見た目が気に食わないから痩せて欲しい」とは、今は思いません。
増えた自重によって脊椎ヘルニアを引き起こし、1ヶ月ほど寝たきりになってしまったので、そう言う意味では痩せる努力はしてほしいのですが……。
しかし恐らく、最初から今の体重であったなら、私は彼女に目もくれなかったかも知れません。
彼女の事を何も知らず、ただ「結構太い」と言う情報しか無いのですから。
一方で妻の方からも「あなたのルックスについては妥協した」と面と向かって言われました。
初対面でこんな風にお互いの上っ面を値踏みしていた者同士が、今では望んで運命共同体になっているのが現実です。
ただ考えなしにハーレム主人公を書けば、大嫌いな追放リーダーになってしまうかも知れない。
その危険は大いにあります。
この辺りの自覚は、やはり持っておきたいものです。
次回は、今回の話を踏まえて、もう少し酷薄な内容になるかと思われます。
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