模擬戦闘
また某SNSで流れてきた広告を見て思った事なのですが。
多分、結構有名作であろう漫画の話です。
魔法使い学校でイジメられていた劣等生に、古の大魔法使いが憑依。
学校の模擬戦闘で、これ幸いイジメてやろうと“一族秘伝の魔法”を披露するイジメっ子。
対する大魔法使いin劣等生は呆れた様子で、
「一族秘伝の魔法をイジメに使うとは……何とも情けない」
この大魔法使いには大いに共感します。
こう言う話を書く時は、一度立ち止まって“秘伝の魔法”だとか“大魔法”だとかを、“ロケットランチャー”だとか“戦車”に置き換えてみて欲しいと思います。
もっとも、大魔法使いは大魔法使いで「今のはメラゾーマでは無い……」理論の初歩魔法でイジメっ子を返り討ちにしていた筈ですが……。
魔力カンストなら初期魔法でも9999ダメージって、やっぱりゲーム的だよなぁと思いますが、それはさておき。
これもうろ覚えで申し訳ないのですが、学校側の張った魔法障壁で生徒は最低限度守られていると言う描写もあった筈なのですが、そうすると「秘伝の魔法がバリアで減衰された」と言う前例が生じてしまうので、これもこれで地味に厄介です。
魔法障壁を展開するにあたっての敷居の高低も勿論ありましょうが、ちゃんと計算したパワーバランスである事を作中の何処かで証明しなければ「何で今回に限って魔法障壁を張らないの?」と思われてしまいます。
話は横道に逸れましたが、今挙げた作品に限らず“模擬戦闘”や“武術大会”が、ガチの殺し合いと同じ条件で行われているケースが昔から多いように思えます。
武術大会の方はまだ、コロッセオ的な人死に上等の精神で開催されている事も多いので良いのですが(いや、あまり良くないですが)
模擬戦闘や軍事演習とは、味方の戦力(破壊力など)を見たり、本番での統率を円滑に運ぶ為に訓練するものであって、自軍の人材を殺傷するのが目的てはありません。
自軍の人材を殺傷……こう言い換えると、今挙げたような模擬戦闘がいかに狂っているかが再認識出来ます。
訓練についていけない劣等生の足切り……と言うケースも無くも無いとは思いますが、基本的には本末転倒以外の何者でもありません。
実際の軍隊における模擬戦闘とは、要らなくなった戦艦を標的にしてミサイルの威力を実験したり、部隊を敵地まで動かして、銃を撃つ寸前までに留めたりになるでしょう。
イジメっ子へのリベンジを書くにあたっては、やはり派手にぶちのめしたくなるのも人情ではあります。
それにしても、考えなしに真剣を使わせるのは、まずいかと思われます。
ボクシングだとか剣道と言った、相手の命を奪わない事が(最大限)保障されている競技にするのが、さしあたって思い付く一番スマートな方法でしょうか。
実戦とはまるで勝手が違うので、後に戦場で相対してリターンマッチの機会が巡ってきた時に、むしろ対比が映えるかも知れません。
あるいは、手応えはかなり減るかもしれませんがVR空間での対決とか?
とにかく、全力を出せないからこその模擬戦闘・訓練であるわけです。
この辺りもやはり、テレビゲームのそれに引っ張られてついやってしまうのかな、と思います。
ゲームでは基本的にHPが1でも残っていれば死にませんし、0になっても“戦闘不能”と言うフワッとした表現に逃げられます。
しかし現実は、その魔法や真剣が実際にどのような破壊を加えるものかは一考が必要でしょう。
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