雑多な感想 ~追放ものを自分で書き終えて~

●ゲーム的な要素に引っ張られていないか気付けるようになった

 ステータスだとか、スキルだとか、わかりやすい要素の事ではありません。

 例えばゾンビや骸骨などのアンデッドは火に弱いと言う考え方。

 確かに定番の組み合わせですし、不死者を浄化する絵としては映えます。

 しかし「人骨は燃えにくい」と言う事に着目すると、むしろ火に強いとも言えます。

 また、身体の器官や臓器が用をなしていないゾンビ等は、そもそも生者と“致命傷”の基準も異なって来る筈です。

 ほか“火龍”は、本当に火に強くて氷に弱いのか?

 例えば、体内で作り出した炎のブレスを吐く能力があったとして、確かにそれ自体の熱に耐える体質で無ければ出来ません。

 しかし、その熱の制御がもしもギリギリで行われているものだとしたら。外部からの熱に対して不安定である可能性も浮かびます。

 まして“放熱”が巧みな生物であった場合、逆説的に「放熱しなければならない」事の裏返しでもあります。

 

 主人公の武器が一定である必要もありません。

 むしろ、剣一本で最初から最後まで変化を付け続けるのは結構至難です。物語の尺にもよりますが。

 確かに武器を極めるには修練も必要ですが、私が今回書いた作品に関しては主人公が魔法系だったのもあり、近接戦闘を極める必要はありませんでした。

 魔力が尽きた時の保険として、または必要に応じて手札を増やすために武器を換えさせました。

 本編を読んでお察しの方も居られそうですがこの辺りは、テレビゲーム・ブラッドボーンの“仕掛け武器”から受けた影響が強いです。(そのゲームでは、近接武器の大半が、全く違う性能にスイッチ出来ます。剣を岩に納刀してハンマーに早変わりさせたり)

 

 他、回復魔法とは単にダメージを修復する手段と言うだけなのか?

 主人公が何か新しい成果を出した時、それは皆に歓迎されるのか? 他に誰も思い付かなかったのか? 新たな問題は出ないのか?

 

 このように、書きながら「ゲーム的になっていないか」と疑ってみる癖が付きました。

 

●短くまとめる力が身に付いた

 私が調べた限りは、ですが、

 このジャンルは手早くスカッと出来るかが大事だと言われています。

 手軽に溜飲を下げつつ、本筋の話は本一冊分のボリュームに膨らませる。その構成を考えるのも、なかなか工夫のしがいがありました。

 特に、序盤をいかに簡潔にまとめるかは勝負の分かれ目になるかと思います。主人公視点・追放側・作品の世界観説明を並行して書かねばならず、早期にアクションシーンも入れなければなりません。

 無駄が許されないどころか、早期に見せたい最低限のものすら後回しになります。(今回の追放ものでは、それが主人公固有の能力・魔法食と言う最重要のものですらありました)

 1話は極力3000文字以内に。特に戦闘は2話以上跨がない。

 ここまで気を付けてでさえ、アクセス数的には、中盤の大規模戦闘(5話+α跨いでいる所)で失速しています。

 とにかく「読む側の事を考えた文」が身に付いたと思います。

 凝った設定を、無制約の文量で語るのは、実は労力こそかかっても“簡単”です。

 

 戦況や主人公の状況にそこまで変化の起こらない戦闘、あるいは去年もやった学園祭など「必ずしも見せる必要の無い場面」は省略出来る事もわかりました。 

 やり過ぎてダイジェストっぽくなってしまった感もありますが。

 大事なのは「見せたい場面は何処か」の選定かと思います。

 

●サブタイトルがアクセスを左右する事がわかった

 以前の話題と被りますが、これまで書いてきた作品は大抵、第1話から最新話へ向かうにつれてpvが減っていくと言う順当な挙動をしていました。

 しかし、今回の追放ものでは、前の話から順に読まないと成り立たない連載作品にも関わらず、エピソードごとに大きく上下していました。

 お恥ずかしながら、今の今までカクヨムのpvがユニークアクセスであると誤解していたので、そう考えるとリピート率の高低かなと思いますが。

 特に、追放側パーティ“Don't mind”の名前が付いたサブタイトルの時に顕著でした。

 こちらの視点は色々と毛色の違う事が出来たのもあり、本編よりむしろ“おもしろかった”のかな、と考えます。

 真面目に考えたものより、羽目を外した時の方がインパクトがあるのは、ままある事でしょう。


●奇抜な表現は、まともに書ける事を証明してから

 良い機会なので、色々試してみたかった手法で描写してみました。

 アクションシーンでの擬音乱発や、顔文字での描写がそれに当たります。

 擬音に関しては、その先に、オーソドックスな戦闘をきっちり書ききっているので「それしか書けない」謗りを受ける事は無いだろう、と判断。

 特に序盤部分だったので適度にコミカルに、その後の話を読んで貰う為に敷居を低くする効果はあったのかな? と考えています。

 また、チープな擬音乱発は、使いようによっては“印象をぼやけさせる”効果もあると思います。

 例えば剣がキンキン言ってるだけのシーンは、軽快な剣さばきを省略したものとも言えます。その人物の実力を伏せておきたく、かつ、後で回収出来るのなら伏線に使えなくも無いかも知れません。

 顔文字に至っては最終話なので、これも今更突っ込まれることもあるまい、と考えました。( ・3・)~♪

 自分の中では、その人物の心理描写としては結構有効だったのでは無いかな? と考えています。

 この辺りは某SNSで息子の成長記録を書いていた経験から着想を得ました。

 

 

 

 いずれにせよ、まず「オーソドックスな描写が出来る」事を証明せねばなりません。

 前例の無い手法と言うのは、大抵、皆思い付いていたけど誰もやらなかっただけです。

 それで一発逆転、大ヒットなどと言う都合の良い話も無いと言うこと。

 テンプレに挑戦するなら、やはり、そこそこ他ジャンルの執筆を経験してからの方が良さそうです。

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