過去作の設定を使い回す

 現在、非公開で書いている追放ものの小説ですが、人物の苗字や地名を過去作“願えば叶う ロール”から結構使い回しています。

 世界観としては似て非なる別物で、歴史も地理も繋がっていませんし、人物も、別に先祖だったりはしません。

 一部、能力的にも良く似た別人を出そうかなとも考えています。

(流石に主役のそれは、テーマにも関わってくるので使い回しはしませんが)

 

 実のところ、覚醒すの冒頭で主人公の使ったいくつかの魔法も、過去作からの使い回しだったりします。

 絶対零度を下回る極低温によって電気抵抗がゼロになった所へ、街一つ分に相当する電力を浴びせる……術者の法外な魔力を表現する良いやり方だった自負はあり、エタった作品にしまい込んだままなのも勿体なかったと思っていました。

 ここで何度かご紹介した、登場(公開)させられずに終わった最強戦士ケリーなんかも、何らかの形で使いたい所です。

 

 著名な奈須きのこ作品でも、割りと重要な設定や人物を別作品から引っ張ってくるケースが見受けられます。

 あれはそもそも、最初に大きな世界観設定を完成させている事もあるとは思いますが。

 思い付いた“ストーリー”をスムーズに書きたい場合、世界のなり立ちだとか魔法の仕組みだとかを使い回すのは効果的な省力化だと思います。

 この創作論の何処だったかでも書きましたが、私の中でも“魔法”と言うものの仕組みについてはほぼ完成しており、ファンタジーや異能を書く際は、大体それをマイナーチェンジしただけのものにしています。

 構造も、思考と言う形而上世界から現象を引っ張ってくる・起点要素(発動時の詠唱や、杖とかアミュレットとかの“切っ掛け”)・思考強さに連動して変わる威力や範囲……と言うだけのシンプルなもので、これ以上ごちゃごちゃした設定は個人的には要らないと考えています。

 勿論、魔法の仕組みそのものがテーマに関わる場合、既存のものを使い回さずに全く新しいものを考える可能性は、私にもあります。

 しかし「画期的な魔法のメカニズムを考えよう!」と言う動機ありきで作品を立ち上げる事は無いと思います。

 


 人物にせよ技にせよ世界観にせよ、一度考えたものは“資産”では無いかと考えます。

 作品のテーマに干渉しない限りは再利用するのも手かと思います。

 この辺りの設定を考えるのに躓いて、気力が枯渇しては逆に勿体無く、モチベーションを維持する為にもこうした省力化が有効な場合もあります。

 

 完結させられなかった作品とは、別に「つまらないから」手が止まったわけでは無い筈です。

 細かいパーツに分解すると、その作品の面白さはまだ生きている事もあり得ます。

 そう考えれば、エタった作品を書いた事にも意味はあったのだと思えるものです。 

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