リアル“ざまぁ”に直面して
※今回の話にはブラック前職での事例が含まれております。一部、不愉快な表現となるかも知れない事をご了承下さい。
より詳しい経緯を知りたい方は、私の別作品「ブラック職場脱出マニュアル」を参照下さい。
大雑把に説明すると「過労死・事故死するように能動的に仕向けられたので辞めた」と思ってもらえれば、大体合ってます。
これまで何度か当創作論で触れてきたブラック前職ですが、早いもので辞めてから一年が経とうとしております。
自分で言うのも何ですが、新しい職場はすこぶる順調で、上司に対して自分が主導であれこれ言えるようにもなって来ました。
一方で前職の状況。
私が辞めて程なくして、現場で唯一信頼出来た先輩も辞めました。
恐らく、後進をまともに育てられる人間は彼だけでした。
ただでさえ専門性が高くて人を育てるのに時間のかかる仕事でした。そもそも私や先輩が居た時点で、人数も足りていませんでした。
現場は壊滅状態です。
人が居ない穴を、係長や部長などの(本来、現場仕事にあまり触らない)役職者で無理矢理補填している状況だそうです。
前々職での経験(スキル)に助けられた私は(今の所は)転職先で成功し、ブラック前職は風前の灯。
この状況、冷静に俯瞰すると、まさしく追放ざまぁものだなと気付きました。
追放というよりは自発的に去ったわけですが、以前リアル追放リーダーについて考察したように、どの時代・世界観であっても面と向かってクビにするのは非常にリスクを伴うので「去るように仕向ける」のが、むしろ現実的な追放の形ではないかと思います。
ちなみに転職を告げた時に「周りに黙って転職活動していたのは心がない」と言われたので、この辺の面の皮の厚さも覚えておくと、追放ざまぁを書く際には役立つかもしれません。
便宜上、伝達性のために「ざまぁ」とは称していますが、現状にざまーみろと思う気持ちはありません。
「ああ、言わんこっちゃない。と言うか、想像以上に没落が早かったな」と言った所です。
と言うか、現職が忙しすぎて加害者の不幸を喜べる“余裕”もありません。
小説における追放ざまぁも同じかと思われます。
新天地で新たな地盤を築いたのなら、今度はそれを維持しなければなりません。それも、出来る事なら一生。
つまり、追放ざまぁとは、極めて早期にテーマに対する決着がついてしまう構造をしているのでは無いかと。
事実「ささっと読んでざまぁしたい」と言う需要もあるそうで、そういう意味では噛み合っているのやも知れません。
また、又聞きレベルの例で申し訳ありませんが、
新生活が軌道に乗り始めた頃に、ようやく出来た恋人を元パーティメンバーに殺されるような展開もあると聞きました。実作品を何一つ読まずに評価するのも何ですが、これを最初に考えた人は、自作品の性質に自覚的でヘイトの維持が大事である事を理解なさっているのではないかと邪推します。
もっとも、ヒロイン殺しは切り札(基本的には切ってはならないカード。使うなら奥の手を持て)でもあるし、元メンバーが殺人と言う犯罪行為に走る正当な理由は必須になりましょうが。
明日、ブラック前職が潰れたとして。
私が考えている事は「元上司の逆恨みによる報復が怖い」と言うものです。
恐らく、前述の先輩が辞めたのも、私の転職がトリガーとなっています。先輩もただでさえ一杯一杯の状態だったし、待遇がそれに見合ったものでもなかったので。
とにかく、ブラック前職ざまぁ! にはなりません。
元上司が、私の現職に嫌がらせの電話を掛けたり怪文書を送り付けたり、殴り込みに来たり。
そんな馬鹿げた事はほぼほぼあり得ませんが「仮にやったとしても驚かないだろう」と言う自信はあります。
音声などの証拠は残してあるし、現職の上司にはそろそろ全てを打ち明けようと思うので、あとは万が一刺される心配だけをしていれば良いでしょう。
元上司も、私への憎悪と言うよりは、現実が寸分違わず自分の思い描いたものになる事に病的な執着を持っていたに過ぎない為……逆説的に言えば「恨みや憎しみには、実は限界がある」と言うことです。
家族の仇でも無い限り、特定の一人に対して敵愾心を抱き続けるのは実は困難なもので、元上司のように「執着を捨てる事を知らない」人間と言うのは、何処かが壊れていると思って良いでしょう。
壊れた人間を、主人公に据えていいものか、一考して損もありません。
一方で、息子を連れた状態で街で遭遇する可能性もゼロではありません。所詮、地方の田舎なので、例えばイオンなどの大型ショッピングセンターなど数える程しかありません。
その時に私は、ただ少し小突かれただけに対しても、「行き過ぎた」選択をするかも知れません。
(※流石に問題のある表現だったので、ここは修正しました。ご了承下さい)
確実に、息子を守るために。
そして恐らく、あらゆる意味で後悔もすると思います。
人一人を死の境目に追いやると言うこと、まして子供と言う“弱点”を抱えた人間に危機感を抱かせると言う事は、そこまでの重みがあります。
そして私は同時に、元上司の事がそんなに嫌いではありません。
もう少し無害だった別の上司の方が圧倒的に嫌いでした。
好き嫌いと敵意の有無は、実は似ているようで違っていたりします。大体、比例する事が多いと言うだけで必ずしもイコールにはなりません。
かつてやっていたネットゲームのリアル追放リーダーにしても、最後に引導を渡したのは結果的に私でした。
コミュニティが衰退するや、元リーダーがさっさと他の場所に移ったのは以前書いた通りですが、そこで私達と共通の知人が出来てしまいました。
当時の私も今ほど冷徹ではなく、自然消滅で終われば誰も傷付かずに済むと思っていましたが……共通の知人の手違いもあり、こちらの本心をバラされてしまったので、
これ以上、自分や仲間を傷つけられるくらいならと損切り、「もう関わらないで欲しい」と、その知人を通して宣告しました。
直接会わなかったのか?
現実の犯罪でも、被害者が直接加害者に接触しなければならない義理も義務もありません。
結果、元リーダーは「仲間に裏切られて人間不信でまずい精神状態になった」らしいのですが、後日、ブログにて、
「自分には悪いところが沢山あります。しかし、それでも仲間のために前に進みます。誠心誠意変わりますので、皆様にはこれからの自分を見て欲しいです」
と仰っていましたが、私達には無関係な事です。
私達に対して何も償わなくて良いので、もう姿を見せないで欲しい。それ以上でもそれ以下でもありませんでした。もはや、彼が居るだけで皆苦痛を強いられ、何もしていなくても私達にとっては悪そのもの。彼が自らの言動でそのような存在に成り下がったのです。
また、彼が周囲を抱き込んで追放された人達は、態度を改めても許されてこなかったので、これもある意味で平等な措置でしょう。警察とて、犯罪を行えば等しく逮捕されるわけで。
しかしながら、恐らく新しいコミュニティでの保身の為なのでしょうが、この切り替えの早さは称賛に値すると思います。
やはり、悪役はこのくらい狡猾でないと、成敗されてもカタルシスがありません。
憎しみには莫大なエネルギーを消耗します。
虐げられて疲弊した人間には、反撃する気力もありません。
私も、経営陣から有給消化を脅し半分に拒否されて、今でこそ思い出すと腹もたちますが、当時は次の職場の事しか頭に無くて、抵抗する余力もありませんでした。
この辺のことは、せめて念頭に入れた方が良いでしょう。
また、あるいは、ざまぁを最も楽しめるのは「実はある程度他人を憎む余裕のある、主人公に対してある程度“他人事”」な立場の人なのかも知れません。
私のケースでも、先輩が辞めたと知った時に、
「マジうけるwww」「ブラック会社、もう終わりだろ」と喜んでいたのは、私よりも、直接元上司の事を知らない周りの人々(私の妻含む)でした。
私自身は先述の通り冷めた感想しかありませんでした。
ざまぁものの主人公とは、作者の投影ではあるが、微妙に読者の投影ではない……この辺の齟齬も、もしかしたら「良質なざまぁ」を書くには気を付けねばならない事かも知れません。
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