その人物と、付き合いたいのか結婚したいのか

 後れ馳せながら、友人がFF7リメイクをクリアした話から「原作当時、ティファとエアリスのどちらが好きだったか」と言う話題になりました。

(※知らない方の為に参考までに。

 ティファは格闘の達人・控え目で穏やかな性格、同い年の幼なじみ。

 エアリスは魔法タイプ・明るく活発な性格、2つ年上のお姉さん)

 当時から良くある話題でしたが、以前ネットで、こんな意見を見た事も思い出しました。

 曰く「付き合いたいのはエアリスで、結婚したいのはティファである」と言うものですが、ある種の核心をついていると思います。

 好きな芸能人ランキングでも、どちらに主眼を置くかによって全く結果が変わるのでは無いでしょうか。

 先に断っておきますが、どちらが良い・悪いと言うつもりはありません。

 前者と結婚したくなくて後者と付き合いたくない、と言う意味でもありません。一応。

 この話題、誤解されると怖いですからね!

 この辺は、人によって千差万別に変化するものだと思います。

 

 当たり前ですが、交際と結婚は、直列で繋がってはいますが、その性質は大きく違うものです。 

 例えば「高級車をスタイリッシュに乗りこなすイケメン」だとか「シェフ顔負けの料理でインスタ映えのイケメン」だとかは最大公約数的にはモテるでしょうし、付き合いたいと考える女性も(割合的に)多いのでは無いでしょうか。

 しかし、この事実を結婚と言う観点から見たら。

 高級車は車検等の維持費も桁違いですし、改造にこだわるときりがない。

 収入がいくらであろうと、気前が良いと言う事は、結婚後は浪費家と言うマイナス要素に転じ得ます。ケチ=堅実な倹約家 と言うのもしかり。

 インスタ映えするような一流シェフ並みの料理は、日常の家庭料理とは勝手が違います。

 普段の家庭料理にはコストや栄養バランス、1日に対して料理に割ける時間配分と言う多くの要素が付きまといます。

 わけわからん名前の輸入食材だとかスパイスだとか高級オリーブオイルを事あるごとにドバドバ使っていては、手間も費用もかかります。

 そもそも、恋愛対象としてモテると言う事実は結婚後には、他の人に横恋慕されるリスクに取って変わります。

 交際時には惹かれていた部分が、今度は、人生を共有するにあたり邪魔になってしまう事も大いにあると言う事です。

 勿論、結婚後も安定より刺激を求める場合に置いてはこの限りではないと思います。

 しかし、男女いずれにせよ「モテる」と言うのは、却って異性を離れさせてしまう事もあったりします。

 人の真価はルックスではない……とは言っても、学生時代、綺麗(イケメン)過ぎる異性に対しては尻込みをして却って、距離を取ってしまった方も多いのではと勝手に思います。

 それを思えば、金遣いがどうのとかは置いといても、才色兼備な生徒会長や若社長など“高嶺の花”的な人物が主人公とゴールインするまで恋愛経験なし……と言うのもあり得る話だと思います。勿論、説得力のある描写は必須ですが。

 余談ですが私の場合、知り合って間もない頃、

 いつぞや一人クリスマスパーティをした時のフルコース料理画像を見せて料理出来ますよアピールをしましたが(当時は相手のリアクションも「これ作って欲しいです!」と好感触に見えましたが)結婚後、自分が単独で料理をする機会はほとんどありません。

 個人プレーが身に染みており、下手にメインに回ると怒られてばかりになるので、サポートに徹しています。

 曰く「今にして思えば、包丁が使えて台所に立てる事だけでもわかったので充分だった」だそうですが。

 それはさておき。

 私見ですがある種「結婚とは、破局とは別の形での、恋愛の終焉」だと考えます。

 独身時代、比較的歳の近い上司に「結婚しちゃったら、もはや同居人だ」と言われたのですが、まさにその通りだと思います。

 

 まず、その人物が恋愛禁止の“アイドル”なのか、比較的制約の緩い“俳優”なのか。自分の書いた人物のそうした性質を把握するのは大事だと、以前私は言いました。

 主役と恋愛させたいのに、一方で無意識に恋愛禁止のアイドル型に書いてしまっている危険もあります。

 そこが大丈夫だと確信できたら、次にこの「付き合いたいのかor結婚したいのか」のテーマが出てくるのでは無いかと思います。

 結婚と言うワードが重すぎる場合、短期的に強い牽引力を持つタイプなのか、長期スパンで支え合えそうなタイプなのか、とも言い換えられるでしょうか。

 そして、その両タイプが登場する場合は特に注意が必要でしょう。

 主人公のタイプや立場、作品自体の読者層によって、どちらかに人気が偏る可能性が出てきます。

 それが悪い事とは言いません。しかし、何度も繰り返しになりますが、狙って人気が偏るのと、意図せず人物の好き嫌いを出してしまうのとではまるで違うと言う事です。

 ちなみに先述のFF7に関してですが、私は原作の初見ではエアリス派、クリアした時点でティファ派に転向しており、最近久々にリメイクをプレイしたらエアリス派に戻ってきたと言う紆余曲折を経ています。

 特にリメイクをプレイした時点で、小学生だった当時とは全く考え方も違っています。

 私のケースは特殊かも知れませんが、正反対の同性を二人以上登場させると言う事は、一見してバランスを取っているようでも、むしろ受け手に複雑な影響を与える要素だったりします。

 

 一口に恋愛だ推しの人物だ、と言っても、こうして複雑に絡み合った力が目に見えず働いているものです。

 様々な“記号”を揃えるためではなく、生の人間模様を想像して書くのも大事なのでしょう。

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