物語とランダム要素その1 TRPG

 使う時が来るのかはわかりませんが、サイコロのアプリを入れてみました。

 と言うのも、数年前に観たTRPG(テーブルトークRPG)動画の事を思い出して「例えば、挑戦の成否や戦いの勝敗などをサイコロで決めながら書くと、良い感じにスリリングな話が書けるのでは?」と考えたからです。

 

 実際、専門学校等で後進を育てるにあたり、生徒にTRPGをプレイさせろと主張していた作家も居たそうです。

 ざっくり言うと、TRPGはシナリオの構築と進行の管理をするゲームマスターと、それのクリアに挑戦するプレイヤーから成ります。

 攻略の成否が常にサイコロで決められる為、どちらにとっても不測の事態が起こりやすく、まずアドリブ力が身に付く事でしょう。

 プログラムの範囲内でしか動けないテレビゲームのRPGと違って、行動や動作の自由度も非常に高いので、ゲームマスターが想定していなかった解法をプレイヤーが示す駆け引き・気付きも生じるでしょう。

 勿論、いかにも主役然とした人物が、とても中途半端な所で死ぬ事もあり得ます。そこに、通常の物語ではあり得ない、良くも悪くも“超展開”が存在することでしょう。

 

 難しい点としては「その主役でなければいけない物語」と言うものを書きづらくなる事でしょうか。

 TRPGでプレイヤーキャラが死亡した場合、中の人は新たなキャラクターを作る事となります。

 つまりその時点で、先代のプレイヤーキャラは他人で替えの効く存在であると言う事です。

 世界を救うためのオンリーワンの能力を持たせられないのは勿論の事、その人の成長物語と言うようなテーマも掲げづらくなります。成長を描くべき人の生死が保証されない=途中で死んだら成長も何も無いですから。

 また、私が観た動画の一つでは、話や演出は非常に良く出来ていたのですが「これはTRPGとは言えない」と言う批判を沢山受けていました。

 詰まるところ、話が巧く出来過ぎている。

 最初に作ったキャラクターが誰一人死ぬ事なくハッピーエンドを迎えたのですが、ピンチをギリギリで切り抜ける度に「サイコロを振ってないのでは?」と言う疑惑が付いて回るのです。

 実際、その動画に関してはTRPGの再現動画だとも、TRPGをプレイしている設定の創作だとも一言も明記していなかった筈ですが、もしもTRPGを小説に組み込む場合、この辺のスタンスはあらすじ等ではっきりしておいた方が無難かも知れません。

(私から見て、明らかにTRPGをプレイしている設定の創作だったとは思いますが)

 巧く出来ている程に作為が感じられてしまうのが、こうしたランダム要素の難しい所でもあり、物語創作におけるジレンマでもあるのでしょうか。

 敢えてぼかしておく事で、サイコロを振る・振らないの良いとこ取りをしたい(サイコロの緊張感を与えつつも、意図した展開に持っていきたい)と考える場合もあるのかも知れませんが。

 それでもサイコロの出目がいくつか、と言う(ダイスロール)の場面では引き込まれたものです。

 

 しかし自分で参加するとなると、なかなかハードルが高いものです。

 私もクトゥルフの呼び声のルールブックは買いましたが、結局一度も使わずじまい。高かったのに……。

 オンラインでコミュニティがあるとは思うのですが、相手がある話なので気を遣うであろう事でまず尻込み。

 また、一度、プレイヤーを募集しているゲームマスターに応募した事があるのですが、やはり当選するかどうかは運任せになってしまいます。

 テレビゲームのように、好きな時に自分のペースで、と言うわけにはいきません。

 やはり、再現やTRPGをプレイしている“風”の動画を探してみるのが、まずは良いのでしょうか。

 

 恋愛など、人死にのない要素だけの物語であれば、あるいはサイコロで決めて書けるかも知れません。1D100で告白ロール、とか。モテない男が告白に挑戦し続ける、的な。

 もしくは世代交代を前提とした大河ドラマとかでも良いかも知れません。

 

 近頃は個人的にインプット期間になりつつある気もするので、探して読んでみようかな……サイコロ振って書いてる小説。と思う次第です。

 似たような事を考えている人は結構いそうな気がしますが果たして。

 

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