ライトノベルと呼んで良い時・悪い時?
まず、何をもってライトノベルとするかは定義が不可能です。
個人的な見解として、そもそもジャンルと言うのは便宜上のもであり、必ずしも一つの作品を一つのジャンルに絞る事は出来ないと思います。
ホラー的だとかSF的だとか、複数の“要素”の集合体が作品の成り立ちではないかと。
例えばゲームのバイオハザードであれば、一応の分類はホラーですが、一方ではSF的な側面もあるでしょう。(サバイバルホラーと言う呼ばれかたもしていましたか)
しかしながら、ライトノベルと言う言葉がある以上、大きな揺らぎがありつつも、それなりの判断材料があると言う事です。
今回は何をもってライトノベルか、と言うよりは「それをライトノベルと呼んで問題ないかの判断」について考えていきます。
今回の話を書くにあたって辞書(Google)を引いてみたのですが、おおよそ考えていた通りの結果になりました。
・書いた本人がライトノベルだと言う認識である
・出版されたレーベルがライトノベルを謳っている
・アニメやゲームを想起させる内容である
・文体や内容が軽妙である
個人的には、下2つは「世間一般で言われがちだが、当てにならない」と考えます。
自作を引き合いに出すと、書いた者としての認識では、
「覚醒す」(魔法に覚醒して戦う話)はライトノベルで、
「サイコブラック」(暴力を一切振るわない変身ヒーロー)は一般エンタメで、
「毒食グルメ」(わざと毒物を食べる話)は純文学になります。
しかし、文章や内容が最も重苦しいのは覚醒すであり、他二作は(起きている事柄の重大さはさておき)軽めのものとなっています。
また、これは個人的な考え方ですが「原則、アニメ絵をイメージしては描かない」ようにしています。
以前もこの創作論のどこかで書きましたが、現実を勉強したアニメ絵と、アニメ絵を模したアニメ絵では差が出ると言う考えからです。
そもそもライトノベルを自称している作品の中には、下手な純文学より重く癖の強い文章のものもざらにあります。
そんなわけで、先の箇条書きの上2つ、
書いた本人が自称しているか・市販の本であればレーベルがライトノベルを謳っているか、が妥当な判断材料かと思います。
これは自分(or相手)が書いた作品に限らず、自分や相手が好きな作品について論じる時にも当て嵌まるのでは無いでしょうか。
何故こんな事を言うかと言うと、私自身がライトノベルのつもりではない作品を、青筋立てて「これはライトノベルだ! ライトノベルだと言ったらライトノベルなんだ!」と言われたり、
あるいはライトノベルである事を否定した直後に「しかしラノベとして上を目指すならもっとこうすべき~」と、執拗に注文を付けられ、非常に嫌な思いをした事があるからです。
これも何度か過去作として引き合いに出した「願えば叶う ロール」の事なのですが、この作品は魔法文明で成り立っており、剣や槍が現役で活躍している世界です。
人物も現代的な話し方で、女主人公は美人だし、魔物も跋扈しています。
謎の悪役が暗躍したりもします。
それでも私にとって、この作品はライトノベルには分類されません。
ハリー・ポッターやイギリスのエターナル・チャンピオンシリーズをライトノベルとする人は居るでしょうか。……もしかしたら居るかも?
それはさておき。
本人がライトノベルでは無いと言うのであれば、違う。逆もしかり。
以前、何かの自主企画だったかSNSの作品募集だかで「投稿した作品をライトノベルだと言われたら素直に受け入れる事」と言うルールがありましたが、この場合制限すべきはレッテル貼りの方だと思います。
勿論、ライトノベルを低く見ているわけではありません。
逆にライトノベルのつもりで書いたものを、これはライトノベルではない! 違うったら違う! と押し付けられても同じ不快感を覚える事でしょう。
反面、これも当創作論の別項で、人の作品に率直な感想を述べたら作者の想定した感想で無かった為に「は? この作品読んでそう受け取りますか?」と言うような返信をされて非常に嫌な思いをした事があると話したと思います。
覚えて下さっている方からは「ダブルスタンダードじゃないか!」と叱られるかもしれませんが……。
書いた側、読んだ側、いずれの立場にしても相手の“領分”“権利”“自由”にまで踏み込まないこと、でしょうか。
「○○だと思う」と言う意見が「○○と認めろ!」と言う強制になってしまう、微妙な境界をわきまえると言うか。難しいのですが。
レッテル貼りと言うのは、言い換えれば「相手の人格を無視し、相手を頭から押さえつけて自分の解釈に嵌め込むような行為」です。
「自分が書いたその作品をライトノベルと言え! 命令だ!」
これくらいの重みがある事を理解した上で行われるレッテル貼りならば、自己責任の範疇でしょう。
「自分の信じた考えを貫く!」と言うのもまた「それによる如何なる代償も甘んじて支払う」事と同義でもあります。
実際は、誰もそこまで大袈裟な考えでいるわけでも、図々しいつもりも無いはずです。
知らずのうちに、他人の敷地に不法侵入していた、なんて事が無いように気を付けましょう……と言ったところでしょうか。
まあ、先程出した例もかなり極端ではあります。
思うに、自分に直接の損得がない事で、青筋立てて断固食い下がる人と言うのはある種“特殊”な人達だとも思います。
自分が書いた側として遭遇した場合は、それを念頭に入れるといくらか割り切れるのでは無いかと。
作品は、あくまでも作者のものです。
特殊な人の一存で売り渡して良いものではありません。
持論は押し付けず、自称しているかどうかで判断すれば良いんじゃないの? と言うシンプルな話を思いのほか複雑にこねくりまわしてしまった感もありますが……。
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