強者の弱点?
前回、主役側の「実害を伴うドジは嫌われる」としましたが、これは勿論、強敵やライバルにも言える事でしょう。
作者の都合で勝たせたい方を勝たせるための、いい加減な理由付けと思われても仕方がありません。
しかし、強みと弱点がきっちり連動している場合はむしろ綺麗な形で書けるのでは、とも思います。
つまり「その弱点が無ければ強くなる事もなかった」と言う事です。
例えば剣道の有段者は、当たり前ですが真面目に剣道をしていないとそこに至れません。
勝つためと言って蹴りをしたり竹刀を投げつける人は、試合で反則負けになるのは勿論「剣道で勝ち上がるための修練」も永遠に出来ません。
剣道で勝たなければ、剣道としての成功体験にはなりえない。
そしてルール無用の戦いに巻き込まれたとして、剣道の段位は戦力になり得るでしょう。
しかし恐らく「足技が使えない」「搦め手が使えない」と言う制約は、例え反則の存在しない場であっても枷にかるのでは、と思います。
実戦で剣道の強さに頼ると言う事は「剣道に無い手段を捨てざるを得ない」事でもあるのでは無いでしょうか。
勿論、試合は試合、実戦は実戦と、器用に分けられるタイプも存在し得るでしょう。
ならば今度は、その器用さに対して充分な根拠が必要となりましょう。
また、由緒正しい魔術家系のエリートほど機械に疎かったり、実戦に形式張った拘りを持ち込んでつけこまれるパターンも鉄板ですね。そうしたガチガチの魔法至上主義に縛られた出自で無ければ、そもそも強大な魔法使いにはなれなかったと言う。
宗教上の事情と言うのも考えやすいでしょう。儀礼的な(回りくどい)手法でしか敵を殺害出来なかったり、異教徒の返り血を一滴も浴びてはならない縛りがあったり。
現実でも信仰は大きな原動力ですが、戒律次第では大きな足枷にもなります。
ほか、
「雑種ごときに全力を出しては王としての器が~」と言う拘りの為に装備出し惜しみの舐めプせざるを得なかったり、
強大な悪魔の種族が「人間など我々からすれば塵に等しい」などと言いながら舐めプしていたら、人間が独自に開発した対悪魔の術であっさり捕獲され、ほとんどダメージも与えられず殺されたり。
並外れた強さと言うのは、セオリーから外れて得るものなのかも知れません。
見方次第では、必ず何処かで代償を支払っている。
強者が強者である所以の長所と密接に絡み合ってしまっている為に、直す事も困難でしょう。
自信無くしては実力を出せませんが、自信は簡単に“慢心”へと転じてしまう。
慢心はいけない、と誰もが頭でわかっていても、自信との境目が非常にファジーなので、簡単にこの罠に陥ってもしまう。
そんなわけで、実害を出すドジの中でも「圧倒的な強さに起因したドジ」に関しては、理解が得られやすいのではと思います。
主役に無理ゲー的な強さの敵役を攻略させるにあたって煮詰まったなら、ここを利用すると良いのかも知れません。
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