変態武器

 ブラッドボーンにもそれなりに慣れてきて、どうにかこうにか三体目のボスを倒しました。10回とちょっとしか死にませんでした。「10回ちょっとしか死ななかった」生きているうちに、一度は言ってみたい言葉ですね。

 道中で新しい装備も色々と出てきたのですが、とても秀逸な剣を手に入れました。

 一見してオーソドックスな直剣なのですが、鞘が石碑のような石塊になっていて、納刀する事でハンマーに早変わりします。

 ちょっと、文章では何を言っているのか伝わりにくいと思いますが「教会の石鎚」で画像検索して頂ければわかると思います。

 ブラッドボーンに登場する近接武器は、ほとんどがこのようなワクワク感満載のギミックで性能をスイッチ出来る代物です。一粒で二度美味しいと言うやつですね。

 この他にも「折り畳むとノコギリ・拡げると大鉈」と言う刃物や「仕込み杖(この時点で充分マニアックだが)その刀身が鞭状の蛇腹剣に早変わり」と言う武器などもあります。

 どうも、獣人や神話生物を狩ると言う行為に興を乗せるために、わざわざ趣向を凝らした設計が行われているそうです。

 

 創造物には、設計した人の思想や狂気、時には拘りすぎた故の盲点を帯びているものです。

 現実の銃器でも、威力を追究するあまり反動や取り回しを黙殺し、結果、人間がまともに運用出来ない代物になってしまう事はそれなりにあったようです。

 対物ライフルの弾を発射する拳銃、2丁の銃を連結させたもの(当然グリップの太さも倍。握りにくい)

 コンパクトで携行性に優れたサブマシンガン(ただし、使用弾薬はライフル弾。反動が酷くてまともな方向に飛ばない)

 ナックルダスターにナイフと拳銃のついたもの(十徳ならぬ三徳?)

 ほか、性能や構造はさておき、拘りすぎて部品や弾薬まで専用に作ってしまった結果、メンテナンス性や汎用性が犠牲となり(組織的に使い物にならなくて)消え去った武器もあります。

 

 しかし、人間離れが可能なフィクションの世界においては、そうしたモンスター武器が陽の目を見るチャンスも大いにあります。

 かの虚淵玄が手掛けた某吸血殲鬼(※R18作品)では、日常に潜む吸血鬼(主人公含む)が人間離れした身体能力を持つ設定なのですが、それ故に生身の人間が使う事など更々想定していない武器が色々出てきます。

 斧付きショットガン(そんなので殴ってショットガンは大丈夫なのか)はまだマシな方で、

 投げても戻ってくる投擲剣(一口で言えば“やいばのブーメラン”。戻ってきたそれを確実にキャッチする反射神経を要する)

 排気量2000cc・オキサイドシステム搭載によって7秒で時速300キロに到達する改造バイク(車体からチタンブレード伸びてる、別名・殺人バイク。声に出して読みたい日本語)

 ギターとマシンガンを一体化させたもの(公私混同甚だしい)

 などなど。

 

 当創作論でも何度か触れましたが、表現の多様化やマンネリによって、主役の得物が普通の剣や銃ではインパクトが薄くなりつつあると思います。

 そして、膂力や反射神経に優れた超人であれば、現実に「ピーキー過ぎて失敗作」とされた武器も、短所を潰しつつ長所を活かし得る。

 実在・架空問わず、変態武器とは、その設計者・使用者のキャラを引き立ててくれると共に、平べったい直剣や画一的なアサルトライフルを振り回すような他作品との差別化も謀れる金脈なのでは無いでしょうか。

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