チートの中の成長を描く
チート能力……と言うと、労せずに手に入れた規格外の力になるでしょうか。
つまり、レベルアップの行程をすっ飛ばしてカンストレベルに到達している……と言う事は、逆説的に「成長を書けない」と言う意味でもある気がします。
しかし、強力な必殺技を使用可能な事と、それの運用が巧い事は別問題のはずです。
例によって自作の「覚醒す」から例を引用し、私はどうしたかを並べてみます。
この作品では、主人公達が大きく分けて三段階にレベルアップしています。
●一段階目
・手からビーム(最初の魔法。ビルが蒸発)
・電撃魔法(電力が街一つ分に相当)
・絶対零度より少し寒い冷気(低温物理学的に様々な追加効果あり)
・時間停止
・街灯引っこ抜いて殴る
・ベホマ(もしくはマディ)
主人公達が覚醒して間もなく、単純な内容のものばかりです。
しかし、最初の魔法からして、詠唱無し・光速・ビルが消し飛ぶ威力・ノーコストと言うスペックです。
まともに考えたら、これ以上伸び代は無いように思えます。
●二段階目
・変身(自作漫画のキャラに変身する事で、使える技や能力を切り替える。基本的に魔法使いタイプの主人公だが、これによって戦士系にもスイッチ出来る)
・必殺技(「刹那万戦撃」など、技に名前を付ける事で、限界以上の動きを実現)
・射撃場に置いてあった銃器を強化、超兵器に
・時間を遅くして狙った対象のみを静止
・他人をランダムテレポートさせて追放(作中では遠くフランスにまで転移した)
巻き込まれてばかりだった序盤から、魔法戦に慣れてきた辺りで、テクニカルな魔法や技を各々に開発して行きます。
恐らく、単純な「力の強さ」としてはそう進歩は無いのですが、いくらか理屈っぽく、戦術の幅を広げています。
●三段階目
・全体永久リレイズ(誰かが死んでも、即時復活)
・巨大化(戦いそのものがウルトラマンやゴジラのような有り様に)
・隕石落とし(地球は死ぬ)
ここで、二段階目で棚上げしていた「スケールアップ」が行われています。
これらに比べれば、最初の手からビームやら電流魔法がまだマシだった事がわかります。
地球滅亡クラスの攻撃魔法に死者の復活と、ここに来てある意味での禁じ手をバンバン解放していきました。
イメージとしては、不慣れな序盤には中二病的な技しか作れなかったのが、若干こなれてきた中盤に「少し理屈っぽさを足した」高二病が技に反映され、最後の成熟期でそれらの集大成(地球滅亡だの死者復活だの)を創り上げた感じでしょうか。
作品によっては逆でも面白いと思います。
理屈が邪魔をして、器用だが威力はそれなりだったのが、吹っ切れて中二病を全開にした結果、最強の魔法に到達したり。
レベル99からスタートして、レベル999までを頑張って書いたと自分では思っています。
作品自体の尺にもよりますが、レベル99のまま終始していると、その内読んでいて飽きるのでは無いかな、と思います。
例に出した作品は40話程度の長さであり、技は主人公達の好き放題に作れて、比較的単純なパワーゲームだから、この構成でやれたのかも知れません。
しかし「今の状態は本当に最強と言い切れるのか?」自問して損はないとも思います。
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