獣の敏捷性

 今月の頭から仔猫と暮らしはじめました。

 保護猫を譲渡いただいたので、正確な月齢はわかりませんが、身体の大きさと獣医さんの見立てから、生後およそ3ヶ月と推測されます。

 まだ片手で掴める程度の大きさではあるのですが、既に人間では捉えられない俊敏さに育っています。

 彼らが人間に大人しく捕まる時と言うのは、逃げるのにさしたる理由がなく結果的に捕まっているだけだと言う事を思い知らされています。

 そして仔猫と言うものは好奇心の塊なので、万事が逃げるに足る理由ばかりなわけです。

「あれ見にいきたいから邪魔すんな、シャー!」

 実際、保護団体が野良猫を捕まえる時には、猪を捕まえるアレ(檻の中に餌がぶら下げてあるやつ)を使う事がままあるようです。

 

 参考までに、人間界の短距離走の世界記録は時速44.7キロだそうです。

 対して、そこらへんのイエネコが走る速さは時速48キロ。

 この時点で既に、種族の絶対的な格差がうかがえます。

 また、反射神経も人間離れしており、室内で縦横無尽に飛び回っても決して頭をぶつけたりコケたりしません。手摺のような狭い足場を渡る時も全く失速しません。

 一説によると、成猫が本気で殺しに掛かってきた場合、人間側(成人男性)は日本刀で武装してようやく対等、と言った所だそうです。

 勿論、猫の場合、耐久力と長期的なスタミナと言う点で人間に劣る部分もありますが。

 

 ネコ科で最も非力な種ですらこれです。

 走ると時速100キロを超すチーター……まして、ファンタジーやSFに出てくるような魔獣だの品種改良されたクリーチャーだのを敵に回したらと考えると、どれだけ厄介なものか。

 イケメン剣士が颯爽と翻弄し「フッ」とニヒルな笑みを浮かべてあしらうなど、そんな余裕は与えてくれそうにありません。

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