イタズラ心と超展開

 人は何故、時にしょうもないイタズラをするのか。

 日常に何か、ちょっとしたスパイスが欲しくなった瞬間、魔が差すように思い付いてしまうのでしょう。

 例えば、友人数名がバザーで出店していた日に、飲み物の差し入れがてら顔を出したのですが、

「コカコーラとかのわかりやすい銘柄ではなく、あまり見掛けない微妙な物ばかり持っていったら、みんな戸惑うのではないかなイヒヒヒヒヒ」

 と思い立ってしまい、わざわざそんな自販機の所まで行って買い集めた事があります。

 結果は思惑通りでした。

 策が思った通りにハマった時の喜びは、かなりのものです。

 あ、でも飽くまで銘柄がマイナーなだけで、チョコレートドリンクだのゼリー飲料だの、中身が変化球なものは避けました。飲んでみれば普通のサイダーだったりオレンジジュースだったりします。

 イタズラするにしても、越えちゃいけないラインは守らねばなりませんからね!

 

 イタズラとは、良いカンフル剤になり得ます。

 小説にはイタズラ心が大事だと言うのが持論です。

 特に物語の最中、少しでもマンネリを感じた時にそれを意識するようにしています。

 それまで日本で戦っていた作品で、唐突にグアムに居る場面を差し込んだりしました。これも、感覚としては、先の「マイナー飲料投下」と似たような感覚でやりました。

 敵幹部が順に襲ってくる展開の真ん中あたりで、丁度中弛みが危惧されていたタイミングです。

 社員旅行でグアムに行った直後と言う事もあり、偶然に得たインスピレーションでもあります。

 しかしそこから、グアムに行った必然性とグアムでしか書けないものが何かは真剣に考えました。

 自画自賛の域は出ませんが、このあたりの展開は成功したのでは無いかな? と思います。

 やはり、しれっとグアムに居る場面で「えっ? 何で?」と思わせる筈ですし、アメリカ由来の魔物や(射撃場に置いてあったと言う事で)様々な銃火器を取り入れることが出来て、日本の時とは毛色の違う戦闘を書けました。

 以前挙げた「料理勝負で負けると死」も同様です。

 それまでオーソドックスな戦闘ばかりだった所に料理デスマッチを投入する意味、それでしか書けない展開(いくら剣術や魔法戦が強くても通用しない)を意識し、なおかつ大筋の人質救出作戦の進展にも繋げるよう意識しました。

 

 極端な話、主役陣をバタバタ死なせていく“皆殺しエンド”なんかも、通じるものがあると思います。

 ただ、そこに必然性がなければ、掴みこそは「えっ?」と思わせられるでしょうけど、最後には「わけわからん」と言われて投げ捨てられる事でしょう。

 

 思い付きは気軽に、掘り下げは真剣に……と言うのがちょくちょく出来れば、マンネリ回避に役立つのでは無いでしょうか。

 マイナー飲料投下事件においても「パッと見はわけわからん、かつ、中身はそんなに癖が無い物」と言うチョイスを友人の人数分するのに、かなり心を砕いたものです。

 しょうもないイタズラとは、真剣勝負である……。

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