かませ犬

 かませ犬と言うと、主役(あるいは仇敵)の引き立て役として瞬殺されてそうなイメージがあるのではないでしょうか。

 しかし私としてはむしろ、かませ犬の役割とは逆なのでは無いか? と思いました。

 かませ犬が猛威を振るい、時に主役の仲間を何人も惨殺するくらいの事をしてこそ、その背後に控えるボスの強さが映えるのでは無いでしょうか。

 

 この事に気付いたのは、先日、長らくエタっていた「めざめ」の打ち切り話を書いていた時でした。

 ついに黒幕と相対した主人公ですが、その前座として襲って来たペット二匹に、4人居た仲間のうち2人を殺されます。

 辛くもペットを殺した時、残った二人も満身創痍。辛うじて首が繋がっているような有り様です。

 そんな状況下、無傷の黒幕との最終決戦が始まる……。

 何と言うか「本人に圧倒的な力で叩き潰される」よりも「そのペットにすら勝てない」と言う方が、より精神的に“来る”気がしてなりません。

 ボス本人が強いのはある意味当たり前ですし、本人と戦っていると言うことはゴールも間近に見えているわけです。

 まあ「めざめ」の場合はパワーバランスをわざと大味にしていますし、プロットも極端なので、これくらいの暴挙が許された所はあります。

 世の人気作では、HUNTER×HUNTERのゾルディック家で飼われている“ミケ”(賞金稼ぎがよくおやつにされる)だとか、ラオウの乗っている馬だとか。

 ドラゴンボールにおいて、ナッパとベジータが襲来してきた時の無理ゲー感もなかなかです。

 前座のナッパに仲間の半数を殺されても、依然ナッパは無傷同然。よしんばそこから逆転できたとしても、更に格上のベジータがこれも無傷で控えている。

 この並べ方だと、なんか暗にナッパをペット扱いしているようですが。

 

 先にも述べましたように、敵のペット(or前座)に主要人物を喰い殺されると言う展開が書けたのは「めざめ」と言う作品の特殊性もあったと思います。

 ミケやらラオウの馬やらは、被害者が専らモブですし。

 前座にすら太刀打ち出来ない無理ゲー感を味わうには、文字通り、そう言う連戦のあるゲームをやるのが良いかと思います。もしくは、大ボスが二段階以上に変身するやつ。

 ゲーム自体の難易度にもよりますが、プレイヤーキャラを極力低レベルの状態でぶつけてみましょう。

 と言うか私は、素で敵の前座に殺される、もしくは辛勝の後に本命に瞬殺される気分を味わったことがあります。

 

 直接的なもの、間接的なもの。

 強さの表現も色々です。

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