料理勝負に負けると死
ファンタジーで、タイトル通りの勝負を書いた事があります。何を思ったか。
ちなみにその場面に至るまでは、普通に剣や魔法の入り乱れるオーソドックスな殺陣ばかりでした。パルクールとかカーチェイスとか色々組み込んでみたりはしましたが。
シチュエーションは、テロリストが人質を取って立て籠った所へ、主人公陣営が突入した場面です。
主人公側とテロリスト、それぞれの代表者が料理を作り、それを人質に食べさせる。
つまり人質が審査員をさせられています。
人質の思考に連動した爆破魔法により「より旨い料理を作った方が勝ち、負けた方が爆発する」と言うフィールドに誘い込まれた格好です。
当然、命が助かりたい人質は、嘘でも主人公に味方したい所ですが「どちらが旨いか」と言う誤魔化しようの無い思考が検知され、爆破のトリガーとなるのでえこひいきは効きません。
知人には「唐突に料理デスマッチが始まるとかまるで意味わからない」と不評でしたが。
この魔法の良い所は、武力で負けていても、そんなの関係ない土俵に勝負を持ち込める事です。
実際、この例でも単純な戦力は主人公側が圧倒的に有利でした。しかも、個人戦闘力が人類全体でも三本指に入る剣士すらも同行していました。
官軍として人質を救わねばならないハンデはありますが、かといってテロリストからすれば人質を見捨てた上で攻め込まれるとひとたまりもありません。
そんなわけで、人類第三位の剣士が居ようが「料理勝負に負ければ死」と言う場所に誘引出来れば、テロリストにも勝ち目が出て来るのです。
当然、こんな土俵を用意するからには、敵の代表者は一流シェフに相当する腕前です。
対する主人公は、そこそこしか料理の心得が無い方が面白いでしょう。
当然、こんなところで爆死させるわけにも行かず、収拾にはかなり頭を悩ませました。
ヒロインの方は料理が突き抜けて達者だったので、素直にそちらを代表者にさせた方が自然に勝たせられたのでしょうけど……意外性を出したい欲に負けました。
結果「どんな豪華な(庶民には今一馴染みの無い)料理よりも、幼い頃に食べたカレーライスが最強よね」などと言う、かなり陳腐なオチになりましたが。
(旨い、と言う主観に依存する前提条件の穴を突いた……つもりです。あと、人質の中に、サブリミナル効果で援護したテレパシー使いも居ました)
ちなみにこのノリ(爆死トリガー理論)で次は相撲勝負にしようとして、作品自体が頓挫しました。
もしかしたら、エタった原因の何割かは相撲と言う、そんなに興味の無い題材を次の戦いに選んだのもあるかも知れません。
まあ、料理や相撲に限らず、敵にとっての得意分野なら何でも良いと思います。
魔法がある世界なら何でも有り……と開き直るなら、いつもの“闘い”から離れてこう言う変化球を投げられるのも“ファンタジー”の良さでは無いでしょうか。
どうしても突飛な展開になり、シリアスさがいくらか損なわれるデメリットもありますが。
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