中央ヨーロッパ旅行記 異世界見てきたお話
私事ですが、今から数年前、チェコ・オーストリア・ハンガリーと言う中欧三国を旅行しました。
断っておきますが、まだ新型コロナのコの字も存在しなかった時期の話です。炎上はやめてさしあげてください。
余談ですが、中欧はヨーロッパ旅行の中でもかなり安価なので、おすすめです。
担当してくれた旅行会社は少し変わり種で、旅のプランは(数回の面接を経た)オーダーメイドで、ホテルの手配等の手続きはきっかりやってもらい、当日はほぼガイド無しで自由に行動出来ると言うスタンスでした。
そんなわけで、ツアーでは経験できない自由とスリルをかなり味わえたと思います。
その時に見たものから、主に創作に役立ちそうな部分を抽出してみます。
三ヶ国に共通しているのは、中世の面影を残した町並みで現代の生活が営まれていることです。
これは昨今のネット小説においてのファンタジー世界(またはテイルズオブ○○シリーズに代表されるようなJRPGの世界観)に結構近い絵だと思います。
当たり前ですが道はきちんと舗装されていますし、それなりの清潔さが保たれています。
トイレにも悩まなくて良い。
そして、常にスリ等に神経を張り詰めねばねらないと言うことでしょうか。
ボディバッグに意識を馳せなかった瞬間は、ホテルの部屋以外では無かったと思います。
あと、地味に英語圏ではないのもあり、食べ物のメニューもわけわかりません。
まだ、現地語の脇にbeefだのTomatoSauceだの書いてあれば、何となく推測できますが……案の定、レバーだかの肉団子スープを引き当ててしまい、生臭さに撃沈しました。
しかし、フォアグラを甘いパンケーキでサンドしたやつ(店主曰く、実験作なのでタダであげるよ!)は当たりでした。運が良かっただけ、とも言えますが。
特にチェコのプラハは、建築博物館と称されるほど多種の様式が見られます。ロマネスク様式、ゴシック様式、ルネッサンス、バロック、アールヌーボー……質素なものから華美なものまで、ステレオタイプの“中世ヨーロッパ的世界観”を見る事が出来ます。
有名な火薬塔や、お城まであるので、至れり尽くせりです。
RPG的な町並みと言うとどうしても碁盤の目のような風景を想像しがちですが、そうではない曲線的な道などもあります。
実際に訪れないと掴めない感覚もあるので現地に行くのが理想的ではありますが……色んな意味で難しいので、ネットで調べるだけでもかなり違うでしょう。
小高い丘に沿って並ぶオレンジ屋根の家々や、モルダウ川に架かるカレル橋など。
町並みとは地形によって大きく姿を変えるし、立体的なものであると肝に銘じるにも、チェコは最も適したモデルだったと思います。
“人”で印象深かったのは、駅で迷っていた時に声をかけてきた人物が二人。
一人はおじさんで、通りすがりに何番ホームに行けば良いかを教えてくれ、颯爽と去っていきました。
もう一人は比較的若い男性で、細かいやり取りは忘れましたが、ああでもないこうでもないと話した後に「良い所を教えてあげるからカモン」と誘導してくれました。
この方に関しては背中を向けた瞬間に人混みに紛れて逃げました。
善意だとしたら大変失礼な事をしてしまいましたが、不明瞭な義理よりも完璧な安全が大切なのは母国に居ても同じです。
少なくとも、知らない人からの、その場から移動する提案は受けてはならないと思います。
とにかく、異国と言うのは常に的確な判断を秒単位で求められる。ネットで予習していてでさえ立ち回りが難しかったと思います。
スマホはあれど悠長にググらせて貰う暇もありません。
二国目、オーストリアはウィーンに一日だけ滞在。
三国の中では最も近代的で都会だったと思います。
壁の落書き(グラフィティ)こそ無秩序に激しく描かれていたものの、夜に女性が平然と一人で歩いていたあたり、見た目よりずっと治安は良かったと思います。
極薄の豚肉をトンカツのようにした揚げ物をレモンでいただく“シュニッツェル”が定番グルメのようです。見た目に反して、何枚もいけます。
専門店もあれば、市場でシュニッツェルバーガーとして言うB級グルメとしても出品されていました。
ザッハトルテの起源となったホテルもあり、実際に食べてきました。
オーストリアに関しては、ここで語れる事があまりありませんでした。
最後にハンガリー。
この国に関しては、旅行会社に必須だと言われた通り、ガイドさんを付ける事となりました。
経済的な困窮もあり、ホームレスが目に見えて多い国でした。
地下鉄で、別件のような顔をしてホームレスの人が物乞いをしに話し掛けてきて、あわや応対しそうになった私を、ガイドの方が(後にも先にもこの瞬間だけ)鋭い剣幕で咎めたほどです。
ブダペストのお城では、有事に脱出用の地下迷宮を歩きました。いわゆる、ダンジョンというやつですね!
文字通り一条の光もない真っ暗闇のダークゾーンもあったりして、とても怖かったです。手がかりは、右手側に張られたロープしかありません。
(遭難しそうなら、最悪スマホで照らす事も出来ますが……)
とりあえず、こう言う迷宮は、敵に攻め込まれる時の驚異を少しでも抑えるためか、結構狭いです。
剣や長柄武器を振り回しての大立ち回りにはかなり気を使いそうですし、ティルトウェイト(もしくはイオナズンだのメギドラオン)を唱えようものなら、自分もろとも生き埋めです。
もしくは、爆燃の逃げ場がなくて、敵味方仲良くグリルです。
無粋な事を言うようですが。
また恐らく、追手を撒くという機能的な意図が無かったとしても、“ダンジョン”と言うものに取れる面積は、思われているほど広大にはならないと思います。
なにせ、かの巨大なブダ城の地下でこれですから。
これ言うと、ウィザードリィとか全否定してしまうようですが。
しかし考えようによっては、逆にもっとこう、インファイトに特化した戦闘描写のダンジョンものとか書けるかも知れませんね!
出会い頭にナイフでグサッ、とか、曲がり角から飛び出して弐百拾弐式・琴月的なの(胸ぐらとか引っ掴んでゼロ距離爆破)喰らわしたりとか。
狭っ苦しさを逆利用した殺陣と言うのも面白そうです。
この他、人骨で作られた聖堂やプラハ城の門番交替式、ドナウ川クルージングなども見てきましたが、さしあたりファンタジーを書くのに役立ちそうな情報はこんな所です。
また何か思い出せば、改めて書くとは思います。
とりあえず昨今のJRPG的ファンタジー世界にも思うところはありますが、その辺もまたの機会に。
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