ストイックさとは?
余暇の大半を執筆、あるいは読書(もしくは小説の為の映画ドラマアニメ等鑑賞)に費やし、四六時中、小説と共にある。
アイディアはお題を決めてでも捻出し、とにかく書く手を止めない。
……と言う方が実際に何割居るのかはわかりませんが、少なくとも私には出来ません。
書きたい時に書きたいものを書きたいだけしか書けない。故に、私がプロの作家になるのは無理だと、以前述べた通りです。
しかし、私ほど極端なのもアレですが“ストイックさ”の形は、果たしてそれだけなのか? とは常々思います。
それは小説のみならず、仕事や他の事柄においてもです。
どうにもこの国は「血のにじむ努力こそ真の努力」「苦しまない(苦しんだ顔を見せない)奴は手を抜いている」と言う風潮が強いように思えます。
まあ、私が個人的に、最前までそう言うブラック企業に身を置いていたせいも多分にありそうですが。
かつて、ある作家が某新人賞(その年の大賞の該当作品なし)の選考員としてコメントをした際、
「私は自分の小説を一語一句漏らさず暗記しています。それくらい必死な作品が、今回見受けられず残念です」
と言うような檄を飛ばしておられました。
恐らく、この作家をはじめとして、そうして伸びてプロに至った方も居るのでしょう。
自分の作品が隅々まで頭に入っていれば、ある時に直すべき箇所が閃く機会にも出会うかも知れない。
ただ少なくとも、“私にとって”それは無意味であり、私が自分の作品を全て暗記しても、あまり身にならないと思います。
無論、プロットや大事な描写の内容は全て頭に入っていますが、文字を丸暗記するやり方は“私には”考察中に不要なジャンクデータが混入してしまって効率が悪い。
それよりも作品の先にある推敲や、次の作品のために、同じ時間と頭の労力を使いたいタイプです。
このアドバイスは恐らく「自分を追い込んで伸びるタイプ」にとっては金言なのでしょうが、人によっては挫折・悪くすれば無意味な過労にすら繋がると考えます。
また、些か横道に逸れますが、先程ちらっと触れた前職のブラック会社について。
この会社で私は、直属上司に「後輩や、係長・部長クラスの凡ミスを見逃した」時にひたすら対策案を求められ続け、
「宿題を与えるので、休日は仕事の考察に費やせ!」
とご鞭撻を頂いていました。
それから紆余曲折あって、別のまともな
(少なくとも福利厚生・法令遵守はきっちりしている=場所が人を作るのも確かのようです)
会社への転職が叶ったのですが、
そこでは割りと上司・先輩のミスに気付けたり、後輩のミスを未然に防げており、勿論、自分自身の凡ミスもほとんど無くなったのが皮肉なものです。
(勿論、現職でのそれは、私だけの力では無いと思います)
前職ではブラック上司の揚げ足取りに身構えながら通常業務も間違いなくこなさねばならなかったのが、「敵に背中を撃たれる」心配が無い現職では、余剰分のキャパシティが使えるようになったのでしょう。
しかしこう言う場合「鍛えて頂いた」などと思ってはなりません。ブラック上司の滅茶苦茶な扱いで「結果的に鍛えられた」に過ぎません。
偶然の産物です。
一昔前に横行したウサギ跳びのトレーニングは選手を故障させる愚かしい手法とされていますが、スタミナや脚力が全く付かないわけでもありません。
この辺は別エッセイ「ブラック職場脱出マニュアル」でも触れましたが、
追い込む鍛え方にしても、休息が無ければ消化出来ません。
試合の前日に満身創痍になるようなトレーニングを行い、肝心の試合でパフォーマンスを落としていては本末転倒。
私もそのブラック職場で経験しましたが、ある程度の精神的なゆとりが無いと良い小説は書けません。
追い詰められながら、義務感で書いても失敗するのがほとんどではないでしょうか。
メンタルを含めた体調管理は、大人として当たり前の心構えであります。
そんなわけで“私にとっての”ストイックさとは、
今大事なのは・作品のために必要なのは何かだけを一生懸命考え、それを書くと決めたら一点集中。
(書いている最中に話し掛けられると、話題が家事の事であれ何であれ割りと怒ります。サーセン)
つまるところ、執筆と遊びにメリハリをつける事が、私に合ったやり方なのだと思います。
だから逆に、合わない人が私のやり方をやったとして、潰れる事もあると思います。
ストイックさの形とは、自分のそれを他人に押し付けるものではないと言う事です。
自分には努力が足りないのではないか、とお考えの人は「どんなタイプの努力が合っているのか」を間違えているだけの可能性は無いでしょうか?
ちなみに。
言い訳がましくなりますが。
先日、自主企画に参加した際、文字数制限があったのですが、条件を満たしていると思い込んで参加したらかなり字数オーバーをしていたミスをやらかしてしまいました……。
結果、それでも読んで頂いたようで、大変申し訳なかったです。
このように、他人が関わる事については、把握を怠ってはならないと思います。
少なくとも文字数に関しては、一目見ればわかるように出来ているのですから。
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